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2016年2月17日水曜日

映画「ファブリックの女王」を観ました


良い映画でしたよ、これは! 「ファブリックの女王」 試写会で拝見しました。ありがとうございます。

北欧を代表するファッションブランド<マリメッコ>の創業者アルミ・ラティアの波乱万丈な人生模様を描いた映画です。

まずこの映画。映画としての完成度がものすごく高い! 構成が複雑なようでいて、すっきりしていてインテリジェンスを感じさせる。余分なものなどいっさいなし。まさにマリメッコのデザインそのもの、と思った。いや,素晴らしいです。

映画の中に、このアルミの生涯を綴る舞台を演じるという女優さんが出てくる。つまりそういう二重構造(笑)。(←このヘンがベルイマンへのオマージュなのだそうです from いただいた資料より)その女優さんが、アルミを演じるにはどうしたらいいか、彼女はいったいどんな人だったのか、数々の伝説化されたエピソードの裏にかくされた彼女の本心は?… などと自分の演技を試行錯誤していくのを中心軸にして話が進んでいくのだ。これが、かなりチャレンジングな手法ながら、ホントにシャープに決まった!! また同時に低予算をもこの手法で克服したようにも感じられるんだけど、それは意地悪な味方だろうか。でもホントにシャープな映画だと思った。何度も言うが無駄なところが一切ない。

監督はベルイマン監督の「ファニーとアレクサンデル」(1982年)のプロデューサーを勤めたというヨールン・ドンネル監督。(現在唯一のフィンランド人のオスカー受賞者)彼はなんと74年までマリメッコの役員でアルミの元で働いていたのだから驚きだ。「アルミは会社の魂でありつづけた」という監督。なんとか彼女の生涯を、会社への愛を、平凡な伝記映画にしないように描ききるべく頑張った。まさに構想50年、やっと出来上がったのが本作である。

さてではそのアルミはどんな人だったかというと、華やかにみえる彼女の人生は結構ボロボロ。弟たちを戦争で失い、財産を失い、事業をはじめたものの、破産寸前にまで陥ったり、ギャンブル同然のチャンレジをしかけたり、まるで嵐のよう。家庭内もボロボロで旦那とはうまくいかず不倫に走り、子供との関係も上手くいかず非常に不安定。時には自殺をはかり、これは未遂に終わるものの、とにかくボロボロ。アル中であり浪費家でもある。ちなみに死ぬ間際には「自分の人生には特別なことは何もなかった」と死んでいったそうなのだが… うーん。

それでも仕事をしている彼女はすごい。極度の緊張屋さんだったようだが、とにかく仕事仕事…。夜中の2時に会議だといってメンバーに招集をかけ、タバコをすぱすぱ吸いながら女同士で意見をぶつけ合う。妥協もなくポジティブなパワー満載だ。今でもマリメッコは、女性90%の会社なんだって。

そうそう、それから「ファブリックの女王」、っていう邦題が素晴らしいね。まさに「女王」だったのだから、アルミは。原題はちなみに「Armi elää!(Armi Alive!)」「アルミ健在!」「アルミ参上!」ってなもんか? 「ファブリック」という言葉を選んだのもいい。これが「テキスタイル」だとまた違っちゃうと思う。それにしてもフィンランド語がたくさん出て来て、なんか分からないけど気持ちよかった。ウチのお客さんにもおなじみの坂根シルックさんが字幕監修を担当。

ところでフィンランド語だったからはっきりと分からなかったのだけど、エンドクレジットが流れる中、音楽クレジットの中にMiikka Huttunen(アラマーイルマン・ヴァサラット)の名前を発見。スタジオの名前と一緒にクレジットされてたってことは録音のエンジニアでもやったのかしら…世界は狭いね。

ちなみにこの映画、音も極端に少ないです。だから集中して観ることが出来る。重ね重ね素晴らしい。是非皆さんもご覧ください。5/14よりヒューマントラスト有楽町/渋谷他で全国順次ロードショー。劇場情報はこちら

また年末から来年2月にかけて文化村ではマリメッコ展が展開されるようです。あわせてチェキラ。今は3月27日まで高知で行われているようです。その後のスケジュールはこんな感じ。

 4月23日(土)~7月11日(月) 島根県立石見美術館
 10月8日(土)~11月27日(日) 西宮市大谷記念美術館
 12月17日(土)~2017年2月12日(日) Bunkamuraザ・ミュージアム(東京)


いただいた資料に掲載されていたアルミのお言葉… 響く!