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2016年3月5日土曜日

伝統音楽のコンサートの楽しみかた



時々聞かれることがあるので、今日はこんな事を書いてみたいと思います。ここでも何度か書いているテーマですが…「伝統音楽のコンサートで手拍子はあり、なのか」

昔はMUSIC LIFEとかの音楽雑誌で、「洋楽のコンサートでは手拍子やめましょう」的キャンペーンをやっていたのを私ははっきり記憶しているですが、今やそういうオピニオン・リーダー的音楽雑誌もなく…

お金払って来てくれているお客にそこまで言うかというのはあるのだけど、しかし、主催者はお金を払ってくれているお客さん「全員」に責任がある。そして何かクレームが出るとき、それは決まって「他のお客」から出る。

そして普段ミュージシャン本人と話ををしたりする機会のある私の立ち場でお話しすると、やっぱり手拍子って音楽を演奏しているものにとっては、あんまり歓迎すべきものではないのです。もちろん聞いている者にとっても、です。

これは楽器を演奏する人なら分かってくれることだと思う。手拍子は音量も含め、楽器と一緒。お客さんが全員で手拍子をすれば、それはかなりの音量になります。PAが大音量で出ているロックのコンサートならともかく、手拍子は周りのお客、ひいては演奏しているミュージシャンにも非常によ〜く聞こえます。そしてそれは音楽の一部となってしまう。

だから手拍子をするなら、ものすごくリズム感がよくないと。

かつどこで手拍子するか考えないと。

そういや私が知る限り「手拍子をしないでください」ってはっきり日本のステージで言ったミュージシャンは、ドーナル・ラニーですね。確かにドーナルのあのうねるようなリズム感は、まっすぐ縦に入る手拍子があったら意味がまったくなくなる。

その点、ヴェーセンなんかほんとすごくって、お客から手拍子が起こってもだいたいは振り切ります。(実はそれを端で見学しているのも、結構楽しかったりもします)

反対に曲がチェンジするタイミングで「phew!!」とか「Yeah!!」とか叫ぶのは、すごく歓迎されます。例えば、この上の動画のお客さんは、かなり正しい位置で盛り上がってますよね。要は音をよく聞け、ということなんですわ。曲がチェンジする瞬間、分かりますか? 伝統音楽のアーティストは、特にアイリッシュとかの場合3つくらいの異なる曲をくっつけて1つの「セット」にしていることが多い。何も知らないと単なる1つの展開がある1曲にしか聞こえないだろうけど… この3つ、もしくは2つというのは、メロディが急に変わったり、一回ブレイクしてまた入ったり、展開はいろいろあるので、よく聞いていると分かります。曲が変わるタイミング。それが重要です。ホントによく聞いてみるといいですよ。

でも日本で行われるコンサートは、手拍子本当に多いね。日本のコンサートでは手拍子は標準装備だ… ときどき日本のミュージシャンの公演に行ったり、ビック・プロダクションの公演に行くとびっくりするのだ…お客さんは最初から最後までずっと手拍子をしていることに!!…それがどんなに悲しい曲でも! まぁ、でもそれはそれであの場では正しい楽しみ方なのだと思われます。そういった場合、私の方がマイノリティですから、それはいいんです。いいんですけどね。

ちなみにウチが主催をしチケットを売っている公演で手拍子がおこることは、ほぼ稀です。が、そんな伝統音楽の公演もお客が300人を越えると、手拍子をするお客さんが数人存在してくる。

でもこれ、日本だから、ってこともないんだよな…。例えば某有名アイリッシュ・バンドのコンサート(キャパ2,000人ほど)をアメリカでみると、お客さんは全員白人のお年寄りで、皆、さかんに手拍子をしています。

私個人の意見ですが、日本のリスナーの皆さんの素晴らしいところは、一音一音をホントに丁寧に聞いてくれることだと思います。それこそジャズの名演奏を聴くみたいに、みんなじっくり聞いてくれる。そして…ジャズのコンサートでは、手拍子は…しませんよね。

一方でアイルランドとかUKのお客さんがいいリスナーかと言うと、私はそうは思いません。あっちのお客は、大抵すごくうるさいい。ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ…、演奏中もよくしゃべる。特にアメリカ人! 特にアイルランド音楽のパブっぽいところでの公演! みんな音楽なんて全然聞いちゃいません。They just want to have a good time! それはそれでいいのかもしれません…が。でも手拍子は、それがお年寄りのお客でない限り滅多なことじゃない限り起こりません。

で、手拍子じゃなくて何がWelcomeかというと、実は足踏みなんです。面白いでしょ。でもこれもよく考えれば自然なことで、伝統音楽ってのは本来の立ち場ならば、最大限に讃えるためには、聴衆側は踊るわけなんですよ…。でも日本人はダンスが出来ない。よって足ぶみってことになるんだと思います。足踏みは音もそれほどしないし… でもそうか、コンサートホールとかで隣りの席と席が連結していると、隣りの人に振動が伝わって、隣りの人が嫌がる可能性もありますな…

なんか、こんな事書くと、また「すべてのジャンルはマニアが潰す」って事になりそうですけど… ま、でも率直に書いてみました。実際、ホントに素直に疑問に思っている人も、結構多いと思うんで。まぁ、でも、何でも楽しみたいように楽しめばいいんですよ。ただし周りに迷惑をかけないように、ってこと。私も自分が知らないジャンルの公演やイベントに行ったら、やっぱり周りの人が何をやってるか観察しますもん。

ホントにいろいろありますが、コンサートの場はミュージシャンだけではなくお客さんも一緒に作っていくもの。みんなでこの貴重な時間をシェアできることを本当に大切にしたいですね。

こちらも同じBathでの映像。ジョン・ジョーの素晴らしいソロを間に含む、Sleeping Tortoise (って、セーラがやってるヨガのポーズの一つだと思う)そしてPressed for Time。Pressed for Timeのブライアンのホイッスルがすっごく良い。

フルック来日公演。詳細はこちらです。