納豆こそ辺境食! 高野秀行「謎のアジア納豆 そして帰ってきた日本納豆」を読みました。

すごい装丁
ひたすら楽しい本である。こんな本に出会っちゃうと、世間にあるいろんな難しい研究も高野さんのペンにかかれば、もっと楽しく一般人にも分かりやすい楽しい物語になるのになぁ、なんて思ったり。

学者の人は見習ってもらいたい(笑) 

しかしこんな装丁は見たことない。赤文字に白の縁取り、白文字に赤の縁取り(笑)。「海の向こうにもナットウがあった!!」の!!が赤だったり、フォントに微妙なこだわりがあったり、ラーメンの器の縁に描かれているような謎の雲みたいなイラストが飛んでいるし(ホント謎!)、いやいやこんなハッチャけた装丁なのに、すっきりしているのが、すごい。この装丁やった人、高野さんのことをよくわかっている。プロの技。

それにしても高野さんはすごい。私も一般にはなかなか広まらない音楽をプロモーションしていて、こういう風に楽しくなんでも説明できなくちゃ駄目だよなぁ、っていつも反省する。こんな風に何でもワクワクさせてくれる高野さんは、本当に素晴らしい。何が素晴らしいって、納豆もすごいけど、高野さん本人の人間的魅力が最高なのである。

それにしてもテーマは「納豆」。私も納豆は大好きななのだが、日本にしかないものだと信じていた。ところが違うんだよね、納豆って。そして納豆とは何か。納豆の定義は。それを探して著者の探検は続く。

そして実感するんだわ。まさに納豆って、辺境食の最高峰だなって。そして納豆によって世界の辺境と辺境はつながっているんだ、と。日本だけと思ったら大違い。っていうか、日本はどちらかというと納豆後進国。いつだったか鶴岡真弓さんが言っていた「中央はガツンガツンに固まっているから共鳴しない。でも世界のエッジは共鳴する」(ここ参照)ってのに通じる。

えらく楽しく読んだ。読んでいる間,始終わくわくさせられ、ドキドキさせられ、本当に楽しい時間をすごした。本当に高野ワールド全開の素晴らしい本だった。

今回探検らしい探検がないから、探検家としての高野さんファンは満足度が足りないかもしれない。しかし本来探検というものは、ものすごくインテリジェントな活動なのだ。好奇心を追求していく活動なのだ。危ないことをする、危ないところに行くだけが探検なのではない。探検とは「知的情熱の肉体的表現である」(チェリー=ガラード)登山家と探検家が違うのは、そこだ。学者と探検家が違うのも、そこだ。探検はスポーツじゃないんだよ。探検は机の上では出来ないんだよ。そこが絶妙にブレンドされた職業、探検家は、やっぱりすごい!! 

そういう私も実は「辺境」をテーマにちょっと実験的なコンサートを作ります。タイトルは「辺境の歌」っていいます。「辺境」は高野さんのコンセプトから勝手にもらった。これで私も勝手に高野チルドレン(?) 私も「歌」によって世界はつながっていると表現したいのだ。世界は響き合うと言いたいのだ。人間は同じなんだと言いたいのだ。高野さんみたいに説明は上手じゃないけれど。詳細は今月25日発表。お楽しみに。



好きな食べ物(得意な料理)は納豆トースト。チーズをかけて焼くと最高です。特にパンがヴィロンの100%ライ麦パンだった日には最高のご馳走に。