読んだ! 公式発売日の2日前に紀伊国屋新宿で見つけて、アマゾンで予約してあるのをその場でキャンセル。ゲットして3日で読んだ…っていうか、読み始めてみたら、結構すでに読んだ文章も多かった角幡唯介さんの新刊「旅人の表現術」
探検家/ノンフィクションライターの角幡さんが雑誌などに書いたエッセイや書評、人の本に寄せた解説、はたまた他の作家さんとの対談などを行い雑誌に発表されたのを、まとめた本です。
私はここのブログに何度も書いているように角幡さんの大ファンであるが、いくら大ファンでも雑誌に載ったものなどは情報を追いかけきれてないし、角幡さんの文章が載っている!と分かっていたとしても雑誌の短い発売期間中にゲットしきれてないものがたくさんあるのだわ。なので、こういう本は助かる。
このブログを読んでいる人がいったいどのくらい角幡さんの作品を読んだことがあるかは分からないが、角幡さんの作品は、探検をしながら自分の内面、そして探検の意味、生きる意味を深く、ふかーく掘り下げる哲学的な内容なんですよ。それが、もうなんというか私みたいに悩み多き人間には、いちいち響きまくる。
角幡さんは今、40歳。早稲田大学探検部出身の探検家で、ちゃんとしたノンフィクションは3冊しか出してないんだけど、そのどれもがすごい賞を受賞し、とにかくすごい人なんです。頭がいいっていうか、なんていうか。身体能力もすごいし、探検家ってすごい! 私は最初、グリーンランドであちこちネットを検索しているうちに角幡さんのブログに出会い、そして本を読み、めちゃくちゃ感動してしまったのであります。そして調子にのって、今は自分が普段お世話になっている高校に来て講演していただいたり、こんな風にグリーンランド犬の写真をウチのチラシに使わせていただいたりしている。(プロデューサー業っていいよねぇ、なんだかんだ理由つけて憧れの人と一緒に仕事が出来るわけだから!)
もちろん、私みたいなハードコアのファンに一番楽しみなのは、こういうあちこちにのった文章ではなくて、この夏に発売になるらしい「アグルーカの行方」に続く超大作、マグロ漁師本「漂流」の方なのではあるが…そしてさらに楽しみなのは北極極夜探検の本(来年後半くらいか?)なのだが… それまで待てない!というわけで角幡ワールドに飢えた読者には超嬉しい新刊なのであった。
もちろん大作には及ばないかもしれないけど、この本も充分読み応えありますよ。短いけどパワフルな文章が続く。本は3部形式になってて、第1部「旅を書く、自分を書く」、第2部「人はなぜ冒険をするのか」、第3部「旅から見えること」そして最後には嬉しい事に角幡さんの活動年表が付いている。これを見ると今まであちこちで読んだ文章が、あれこれ整理されて私のような新参者のファンには助かるのわけです。
それにしても、ご本人も書いているが、この本は装丁がかっこいい。本っていいよねぇ… アマゾンじゃなく紀伊国屋とか老舗の本屋で買えばさらにいいわ…。それにハードカバーって、大好き。お風呂で読んでもダメージが少ないし。
内容について言えば、まずは冒頭の1部の頭に書かれている導入の部分でもう響きまくり。角幡さんはことあるごとに探検という行為と、それを書くという行為の間で悩んでいたことを、書いていた。アグルーカにも書いてあったかな…。つまり「書く」という行為がこの先にある、ということが前提にあるため、どうしても今やっている探検の行動の部分が影響をうけてしまう… 「旅とは本来、絵を描く私自身がどのような結果になるのか分からない、そういうものでなければならないはずだ」
でもそれについて今は、角幡さん、一歩自信を得たようだ。今はどんな状況でさえ、そこに意味を見つけ,行動し、それを作品にまとめることが出来る…って事かしら。角幡さんが30代から40代に突入していくときの…なんというか心の変化?…とでも言えるものがここに書かれている。それがなんかいい。今、自分が現在進行形で読むことが出来る作家、ってことだよね。うーん、いいねぇ。今は「書くという手段を封印されても探検に行くかと訊かれたら、行くかもしれないが、それは探検にはならないだろう」とまで言っている。ここでまず響きまくり。角幡ファンは、まずここをチェック。
で、いきなり1本目の「開高健」論ですよ。すみません、さっそくなんだけど、私、開高健って、1冊も読んだことがありません。開高健って、なんかおっさんの読み物ってイメージがあるんだよね。偉い先生なのは分かるけどさ。面白いの? でも角幡さんのこの文章は、いつも読者が角幡ワールドに期待する「生きることとは何ぞや」という事を追求には、これはもうド真ん中のパワフル・エッセイだろう。で、あわててポチりました。開高健。「夏の闇」を読んでみるとするか。
続く沢木耕太郎さんとの対談は正直ピンと来なかったかな… でもそもそも私、沢木耕太郎さんも読んだことないんですわ… これもいけない。こちらも慌ててアマゾンでポチリ。まずは沢木耕太郎さんを読んでから、もう一度この対談を読もう。他の対談相手の石川直樹さんにいたっては、名前も知らなかったよ。ってなわけで、こちらもポチリで、またまた読まなきゃいけない本が増える…っていうか、私はホントに物事を知らなすぎる! 50にもなって呆れるよなぁ…アイルランド音楽とかに人生のほとんどを捧げてきちゃったからかしら。ホント常識知らなすぎる! で、こうやってると、知識欲が止まらなくなるのだ。ただでさえ角幡本に出会ってから、昔の探検ものの古典とかスコットやらアムンセンやら何やら、とにかく読んでも読んでも終わらない。
話を「旅人の表現術」に戻すと、中でも好きだったのは、でも、その石川直樹さんとの対談。京都と探検の話「梅棹忠夫と西陣、北山」。そしてこれは前にも読んだことがあるのだが「サードマン 奇跡の生還へ導く人」の解説。こちらもネットで読んだ気がするつい最近話題になった「外道クライマー」の解説。新聞記者時代のエピソードと松本清張を書いた「『影の地帯』と黒部の強盗」などなど…
まぁ、でも角幡さんの作品を読んだことのない人で、もし興味を持ってくれた人がいるとしたら、やっぱり私はあいかわらず「アグルーカの行方」を大プッシュします。こっちを先に読んでほしい。あんな完成度の高い傑作は滅多にないから。「雪男」も「5マイル」も複数回読んだけど、やっぱり迫力、完成度、時々笑わせてくれる度、そして古典探検ものに対するおタク満足度… すべてにおいて「アグルーカ」が一番だよな、と思ってしまう。もちろん「空白の5マイル」もすごいけどさ。
あ〜、また読もうかなぁ「アグルーカ」。積ん読状態の本が、あまりにたくさんありすぎて早く読まないといけないんだがな… それからなんとしてでも選挙前に「日本会議の研究」を読み終えて、ここに紹介しなくっちゃ。ってなわけで、中断してしまったけど、今日からまた「日本会議の研究」に戻ります。
あ、そうそう、アグルーカの冒頭のところはここで読めます。でも「このあとからが面白いのよ」ってところで終わってるから、やっぱり本を買うべし。
探検家/ノンフィクションライターの角幡さんが雑誌などに書いたエッセイや書評、人の本に寄せた解説、はたまた他の作家さんとの対談などを行い雑誌に発表されたのを、まとめた本です。
私はここのブログに何度も書いているように角幡さんの大ファンであるが、いくら大ファンでも雑誌に載ったものなどは情報を追いかけきれてないし、角幡さんの文章が載っている!と分かっていたとしても雑誌の短い発売期間中にゲットしきれてないものがたくさんあるのだわ。なので、こういう本は助かる。
このブログを読んでいる人がいったいどのくらい角幡さんの作品を読んだことがあるかは分からないが、角幡さんの作品は、探検をしながら自分の内面、そして探検の意味、生きる意味を深く、ふかーく掘り下げる哲学的な内容なんですよ。それが、もうなんというか私みたいに悩み多き人間には、いちいち響きまくる。
角幡さんは今、40歳。早稲田大学探検部出身の探検家で、ちゃんとしたノンフィクションは3冊しか出してないんだけど、そのどれもがすごい賞を受賞し、とにかくすごい人なんです。頭がいいっていうか、なんていうか。身体能力もすごいし、探検家ってすごい! 私は最初、グリーンランドであちこちネットを検索しているうちに角幡さんのブログに出会い、そして本を読み、めちゃくちゃ感動してしまったのであります。そして調子にのって、今は自分が普段お世話になっている高校に来て講演していただいたり、こんな風にグリーンランド犬の写真をウチのチラシに使わせていただいたりしている。(プロデューサー業っていいよねぇ、なんだかんだ理由つけて憧れの人と一緒に仕事が出来るわけだから!)
もちろん、私みたいなハードコアのファンに一番楽しみなのは、こういうあちこちにのった文章ではなくて、この夏に発売になるらしい「アグルーカの行方」に続く超大作、マグロ漁師本「漂流」の方なのではあるが…そしてさらに楽しみなのは北極極夜探検の本(来年後半くらいか?)なのだが… それまで待てない!というわけで角幡ワールドに飢えた読者には超嬉しい新刊なのであった。
もちろん大作には及ばないかもしれないけど、この本も充分読み応えありますよ。短いけどパワフルな文章が続く。本は3部形式になってて、第1部「旅を書く、自分を書く」、第2部「人はなぜ冒険をするのか」、第3部「旅から見えること」そして最後には嬉しい事に角幡さんの活動年表が付いている。これを見ると今まであちこちで読んだ文章が、あれこれ整理されて私のような新参者のファンには助かるのわけです。
それにしても、ご本人も書いているが、この本は装丁がかっこいい。本っていいよねぇ… アマゾンじゃなく紀伊国屋とか老舗の本屋で買えばさらにいいわ…。それにハードカバーって、大好き。お風呂で読んでもダメージが少ないし。
内容について言えば、まずは冒頭の1部の頭に書かれている導入の部分でもう響きまくり。角幡さんはことあるごとに探検という行為と、それを書くという行為の間で悩んでいたことを、書いていた。アグルーカにも書いてあったかな…。つまり「書く」という行為がこの先にある、ということが前提にあるため、どうしても今やっている探検の行動の部分が影響をうけてしまう… 「旅とは本来、絵を描く私自身がどのような結果になるのか分からない、そういうものでなければならないはずだ」
でもそれについて今は、角幡さん、一歩自信を得たようだ。今はどんな状況でさえ、そこに意味を見つけ,行動し、それを作品にまとめることが出来る…って事かしら。角幡さんが30代から40代に突入していくときの…なんというか心の変化?…とでも言えるものがここに書かれている。それがなんかいい。今、自分が現在進行形で読むことが出来る作家、ってことだよね。うーん、いいねぇ。今は「書くという手段を封印されても探検に行くかと訊かれたら、行くかもしれないが、それは探検にはならないだろう」とまで言っている。ここでまず響きまくり。角幡ファンは、まずここをチェック。
で、いきなり1本目の「開高健」論ですよ。すみません、さっそくなんだけど、私、開高健って、1冊も読んだことがありません。開高健って、なんかおっさんの読み物ってイメージがあるんだよね。偉い先生なのは分かるけどさ。面白いの? でも角幡さんのこの文章は、いつも読者が角幡ワールドに期待する「生きることとは何ぞや」という事を追求には、これはもうド真ん中のパワフル・エッセイだろう。で、あわててポチりました。開高健。「夏の闇」を読んでみるとするか。
続く沢木耕太郎さんとの対談は正直ピンと来なかったかな… でもそもそも私、沢木耕太郎さんも読んだことないんですわ… これもいけない。こちらも慌ててアマゾンでポチリ。まずは沢木耕太郎さんを読んでから、もう一度この対談を読もう。他の対談相手の石川直樹さんにいたっては、名前も知らなかったよ。ってなわけで、こちらもポチリで、またまた読まなきゃいけない本が増える…っていうか、私はホントに物事を知らなすぎる! 50にもなって呆れるよなぁ…アイルランド音楽とかに人生のほとんどを捧げてきちゃったからかしら。ホント常識知らなすぎる! で、こうやってると、知識欲が止まらなくなるのだ。ただでさえ角幡本に出会ってから、昔の探検ものの古典とかスコットやらアムンセンやら何やら、とにかく読んでも読んでも終わらない。
話を「旅人の表現術」に戻すと、中でも好きだったのは、でも、その石川直樹さんとの対談。京都と探検の話「梅棹忠夫と西陣、北山」。そしてこれは前にも読んだことがあるのだが「サードマン 奇跡の生還へ導く人」の解説。こちらもネットで読んだ気がするつい最近話題になった「外道クライマー」の解説。新聞記者時代のエピソードと松本清張を書いた「『影の地帯』と黒部の強盗」などなど…
まぁ、でも角幡さんの作品を読んだことのない人で、もし興味を持ってくれた人がいるとしたら、やっぱり私はあいかわらず「アグルーカの行方」を大プッシュします。こっちを先に読んでほしい。あんな完成度の高い傑作は滅多にないから。「雪男」も「5マイル」も複数回読んだけど、やっぱり迫力、完成度、時々笑わせてくれる度、そして古典探検ものに対するおタク満足度… すべてにおいて「アグルーカ」が一番だよな、と思ってしまう。もちろん「空白の5マイル」もすごいけどさ。
あ〜、また読もうかなぁ「アグルーカ」。積ん読状態の本が、あまりにたくさんありすぎて早く読まないといけないんだがな… それからなんとしてでも選挙前に「日本会議の研究」を読み終えて、ここに紹介しなくっちゃ。ってなわけで、中断してしまったけど、今日からまた「日本会議の研究」に戻ります。
あ、そうそう、アグルーカの冒頭のところはここで読めます。でも「このあとからが面白いのよ」ってところで終わってるから、やっぱり本を買うべし。