川内有緒「晴れたら空に骨まいて」を読みました。感動です!

本は常に読んでいるのだが、感想を書く時間がまるで追いつかない。でも明日イベントがあるので、早く告知もしなくちゃ!って事もあり、今、あわてて書く。ほんとは3回くらい読んでじっくり書きたかったのだが、仕方がない。

というのも、これがホントにすごい本だからだ。

いや〜ホントに、これは、すごい本ですよ。川内有緒さんは「バウルの歌を探して」で新田次郎文学賞をゲット、高野はぐれノンフィクッション軍団のメンバーのノンフィクション作家。実はひょんなことから個人的におつきあいさせていただいているので、私の自慢の友達の1人。ホントにすごいんだよ。本人、ホンワカしているけど、実は何カ国語もあやつれて頭が良くて、料理が上手くて美人だし、しかも働くお母さんとしても頑張っているし、恵比寿エリアの文化活動にも貢献しているし、最高にイカしているのさ。かっこいいよ、ありお!!!(笑)

で、その川内さんの新刊です。ふとしたきっかけで散骨をした人たちに興味を持ち、時間をかけて取材した物語。合計5人の散骨ストーリーが語られているのだが、本人は亡くなっているわけで、その亡くなった本人のことを、本人を囲む人々による伝聞の形で伝えられているのがいい。みんながその人をどんなに愛している(愛していた)のかが分る。5本あるエピソードのうち、後半になるにつれ、グイグイとパワーが増す。圧巻は4つ目の「マカルーで眠りたい」と、5つ目の「インドの星の王子さま」。特に5つ目は最高で、読後のさわやか感ったらない。これは絶対にお薦めである。

まぁ、それにしても言える事は、めちゃくちゃ読みやすいってこと。新田次郎作家の有緒をつかまえて、今さらだけど、文章が上手い人っていうのは、こういうのを言うのではないかと思う。良く本読むの苦手って人いるけど、そういう人は出会った本が間違っているのだ。こういう本をよめば絶対にスイスイ読めるよ。それはさておき…

私のお気に入りの2つのうち、4つ目の登山家さんの話。実は、登山家については私は普段はあまり感情移入できないのであった。「あれ、野崎さんって探検家さん好きじゃなかったでしたっけ?」という人は全然わかっていない。登山家と探検家の間には、ものすごい大きな違いがあるのだ。どちらかというと登山家の方が正統派で世間には理解されやすい、かもしれない。が、普段の私は探検家さんたちの、あの分りにくさが好きなのであって…。それはまたどっかで書くとして……

だからこの話は,初めて登山家の人に感情移入できた話だった。そしてなぜ私が感情移入できたかという、その理由は、このエピソード自体の素敵さもあるのだが、川内有緒の文章力、そして構成力によるところが大きいのではないかと思う。とにかく読ませる! これはもう必読です。

そして、第5章にはホントにホントに唸る。さすがインド。生と死の概念が、ぱぁ〜っと理解できるような、頭の中のモヤモヤが晴れるような感動があり、圧巻。これはホントに超お薦め。

私は川内さんの本の魅力は、使い古された言葉かもしれないけど実は「自分探し」にあるのではないかな、と思っている。彼女が迷い、悩むからこそ素敵な本が書ける。「バウル〜」なんかはその真骨頂だ。重版を重ねているらしい「パリで飯を喰う」なんて、人の人生を書きながらも、実は川内さんは自分のことを捜している。だからおもしろく書ける。「パリの国連」なんかは、そうして実際に組織から飛び出してしまった。

いや〜、人生に悩むからこそ、川内さんはこういう本が書けるんだろうな、とホントに思う。残念ながらどんなに良い人生を歩んでいるにしても、人間は生きている限り悩みは尽きない。たまに美味しいもんを食べて、たまにいい音楽聴いて、気を紛らわすのだけど、それでは根本は解決できない。だからみんな悩む。でも、そんな時、私たちを勇気づけてくれるのが、川内有緒の本なのだ。だから大丈夫、生きていけると思える本。それが有緒の本だ。うん、どんなに大変でも、僕らには川内有緒の本がある!

時々「本」や「映画」が羨ましくなるんだ。音楽よりも、もっと具体的にメッセージを伝えられることが出来るから。この本はウチが提供している最高の音楽の良さにも匹敵する(あ、自分で言っちゃった)、そういうすごいハイ・クオリティの本だって断言することが出来る。

だから絶対に読んでね。すごく元気になれるし、例えば大切な人を亡くした人はちょっと気持ちがやすらぐんじゃないかな。特に5章は、どんな悩みを抱えている人でも浄化してしまうようなパワーがあるので、おすすめ。

しかし「バウル」についてはものすごい本だと思ったが,装丁がちょっと暗かった。もちろんあの写真は友達のカメラマンさんの作品で、あの写真と装丁になった背景があるのだろうから、あれこれ言うのは野暮ってもんだ。でも今回のこの本は、こんなに明るい装丁で、ポプラ社で、めっちゃ読みやすいし、長さも気楽に手に取れるヴォリュームで、この本ならたくさん売れて、多くの人を励ますことが出来るんじゃないかな。

そう、川内さんの何が羨ましいかって、たくさんの人を励ますことが出来るのが、羨ましいんですよ。ポイントはそこだ。今もこのブログを書く前に友達が「お金持ちのプール付き豪邸見学」みたいな事をツイートしてて、いいなぁと思ったんだけど、羨ましいのはプールや豪邸ではなく(掃除が大変そうだし)、そうやって自分の好きな友達に良くしてあげることが出来る事なのだ。先日の能町みね子さんもそうだけど、自分に知名度があれば、あぁやって好きなバンドを応援することもできる。ホントに羨ましい。そして本を書ければ、読む人を励ますことが出来る。

うん、オレも世の中明るくするために、少しでも頑張らないといけないな。この本に勇気をもらった。

さて! 明日ですが、その川内有緒のトークショウがあります。私も今やってる「辺境公演の怒濤の経理ファイル作成作業」が終ったら、行こうと思っていますが,果たして…! ウォリスももうすぐ来ちゃうし、やばいよ〜っっ でももし私が行けなかったとしても、川内さんの本も、お話も多くの人を勇気づけるに違いないよ。だから是非!