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2017年1月12日木曜日

ICE STATION講座 第2回:畔柳ユキさん(2)


前半より)それにしても驚くのはパンク/ラモーンズの遺伝子の強さ。種がNYからロンドンへ、そして西海岸へと、あちこちに蒔かれている!

「いやいや、後輩達が頑張ったからラモーンズは評価されているだけ、後輩たちの頑張りがなければ全然評価されてないから!」とめちゃくちゃ謙遜するユキさんだが、ユキさんによるとラモーンズが蒔いた種の半分はメタルとかにも影響を与えているそうだ(メタリカに代表されるようなスラッシュ・メタルなど)。

またSUB POPは、1993年からソニーが日本に紹介していくようになるのだけど、その時の日本のリスナーの反応についてうかがうと、諸手をあげて大絶賛というわけではなかったようだ。1つは“ついに日本にSUB POPが来た!”という反応。もう1つは耳の肥えているコアな人たちによる“なんだ、メジャーかよ”というシビアな反応。それでも日本発売された事は大きく、洋楽のメイン・ストリームというには遠かったにしても、いくつもバンドが来日し、公演が満員で盛り上がったケースもあった。

ユキさんいわく「ラモーンズの評価に、ちょっと似ているのだけど、後輩たちが頑張ったから、今,認められている、っていうのはあると思う。グランジだって、あくまで後からの評価であって、90年代当時はそれほど大きな評価はされていないと思っている」とのこと。うーん、確かにシーンのど真ん中にいる当人にとっては、なんかありがちな事かもね…

普通の音楽ファンには決して浸透していない。普通の人はやっぱりニルヴァーナしか知らない…というのがユキさんの認識。

一方で95年くらいになるとグリーン・デイが出て来て、そこでジャンルや勢いに大きな変化が表れて行き、ロックはそこでメイン・ストリームの山に登っていくことになる。

「カート・コバーンが何故死んじゃったかということにも通じるのだけれど…」とユキさんは続ける。「インディに留まることと、メジャーに行くことは、売り上げやお金以上に、そもそもメンタルが全然違うんだよね。反体制であったり、DIY的なパンクの姿勢があるバンドたちであって、彼らはテレビに出たいとからバンドをやっているわけじゃないないしね。ニルヴァーナはすごく売れちゃったから、そのギャップに対処するのが大変だったのだと思う。フー・ファイターズはそういったメンタルを克服して上手く行って良かったけど」

またファストバックスについては「カート・ブロックのギターが好きな人多いと思う。個性的で、人に曲を書いたり、プロデュースをしたりの才能があるので色々やってたよ」

「日本のリスナーたちはレコードのクレジットなどにも目を通して勉強しているから、“すごいな”って思われていると思うよ。思われていて欲しいっていうか…」

うん、ホントにそうです。

「日本のリスナーは、ただ聴いてるだけじゃないからね。カートは他のバンドに首つっこんだりしていたから、そういう意味ではちょっと一目置かれた存在ではある」

確かにカートさん、今回の来日においてもこちらによこすメールの返事は速いし適格だし、すごく頭のいいスマートな人という印象がある。

ちなみにカートがプロデュースしたバンドやアーティストはこんな人たち。

ザ・プレジデンツ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
トーキョー・ドラゴンズ
Les Thugs
Flop 
Sicko 
CrackerBash

「その頭の良さやスマートさがパンク・バンドに必要かどうかはまた別なんだけどね~、実は。(のざきが作ったカートのプロデュースしたバンドたちリストを見て)スーパースナッズは日本のバンドで、女の子バンドだよ。頑張って長くやっている」

うーん,こういう人たちもチケット買ってカートに会いに来てくれると嬉しいんだけどなぁ! 

「スーパースナッズもSUB POPから当時レコードが出ているんだよね。あと下北沢のぷあかうっていうロック・バー(http://poorcow.net/)の店長は私よりもっと詳しいので、面白い話聞かせてもらえるよ。みんな私より(年齢は)ちょっと下くらいだよ。90年代だからね~」なるほどシアトルおそるべし。

「私は、今もスーパースナッズとか彼女達の周囲にいるバンドは全部好きだけど、商業的な成功は正直、厳しいかも。でも、90年代当時の音をちゃんと継承しているバンドだから、すごく良いのよ〜」

ユキさんと話していると音楽ジャンルって音やサウンドじゃなくって精神面、もっと言っちゃえば哲学的な事の方が大事なんだな、って思いました。というか、音楽だけではなく表現活動って、すべてそうだし、そうあるべきだよね。そう、ウチは伝統音楽中心のレーベルだけど、いつも精神的には反体制でありロックの姿勢でやって来た。それをちょっと思い出した。

それにしても、かっこいいなぁ、ユキさん。私も“ワン・ツー・スリー・フォー”で頑張りたいと思います。

最後にカート先生@ギブソン

ICE STATIONは、カート・ブロック他、アメリカのインディロックを代表するミュージシャンたちが集結します。
featuring ピーター・バック、スコット・マッコイ、マイク・ミルズ、リンダ・ピットモン、スティーヴ・ウイン、ナヌーク

2月7日(火)京都 磔磔
2月9日(木)渋谷 WWW
2月10日(金)渋谷 WWW
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