クリスチャン・ビルケランドとオーロラの秘密

実は今週は急遽頼まれ仕事で、ノルウェーのとあるアーティストのアテンドをしておりました。ハープ奏者のエレン・ボートケルさん。普段は90年代のアイルランド人ミュージシャンを彷彿させるチャーミングなキャラクターながら、演奏の方はかなりアグレッシブで、私はすっかりファンになりました。コンサートではおおたか静流さんとのコンビも最高で、いや〜楽しませていただきましたよ。

おおたかさんとご一緒するのも久しぶり。ホントにすごい。何でも歌えちゃうんだもの(笑)

その他に、エレンはラジオに出演したり(放送日近くなったらご案内します)、六本木でコンサートをしたり。彼女のCDは今、タワーレコード渋谷で絶賛発売中なので、皆さん,良かったらぜひ手にいれてみてください。まさにオーロラの音が聞こえてきそうな不思議な音楽で、この不思議なコード感はちょっとクセになります。ハーモニクスとか、すごいでしょ。テクニックも相当ある人とみた!



彼女と仕事をしている中で、とあるオーロラの権威である物理学者さん(パル・ブレッケ博士)が用意した資料を訳したりしていたのですが、こんな物理学者を知ることが出来ました。クリスチャン・ビルケランド。今年は彼の生誕150周年、亡くなってから100周年という記念年なのだそうです。スウェーデン統治下のノルウェーのオスロに生まれ、18歳で最初の科学論文を書いたという天才。でも生涯ずっと偏執病に悩まされ、最終的には大戦中に帰国途中に立ち寄った東京の上野の精養軒ホテル(ホテルだったんだ、あそこ!)で薬物の接種過剰で亡くなられたそう。

ビルケランドが解明するまでは、オーロラはいったいなぜ起こるのかまったく分かってなかった。古代からオーロラは不吉なものの予兆、予感を感じさせる物として人々に受け入れられてきた。遠くはバイキングからサーミの人々まで。現在でもなぜオーロラが発生するのかは不明な部分が多いようなんですが、ビルケランドの出現で大きくオーロラ研究は飛躍を遂げるわけです。彼はオーロラが太陽から飛んで来る電磁気で生まれるという説を打ち出し、実際オーロラを実験室を再現することに成功し証明してみせたのでした。もっともまだまだオーロラについては不明なことが多いようです。


今回エレンの来日はこのビルケランドを記念する学会(at ノルウェー大使館)のための来日で、オーロラと音楽のコラボみたいなコンサートを行ったわけなのですが、それにしても普段のコンサート&パーティと違って物理学者の人たちと交流するのは、なかなか面白かった。しかし「物理学者」ってなんて素敵な職業なんだろう。みんな物理や科学が好きで、こういう仕事についたのかな?(笑)

そしてよくスーツ着た日本人ビジネスマンのおじさんが、みんな同じに見える…というのはあるんだけど、外国人でも全員にスーツ着てると、なんだか全部同じに見えたりするのでした。

それにしても、少しずつノルウェー人のことが分かってきたかも。フィンランド人ともスウェーデン人とも全然違う。何によせ、世界のいろんな人たちと仕事をするのは楽しいですな…。

オーロラの秘密に興味がある方は、エレンのコンサートでオーロラの解説をされていたパール・ブレッケ先生の書いたこの本も要チェックです。



PS
ちなみにビルケランドの自殺については「B教授の死」というタイチルで寺田寅彦がエッセイを書いているそうで、これについては青空文庫で読めます。