【稲垣えみ子「『図書館で借りて読みました!』、私の本を読んでいただいたのはありがたいのだが……」/AERA】とても面白い記事でした。私は図書館複本購入肯定派ですが様々な論点が含まれており、稲垣さんの批判だけになるのは惜しい気がします。https://t.co/IpBf4h5QEU— 小林えみ:編集者(よはく舎) (@koba_editor) 2017年8月20日
このAERAの記事が話題になっているのだけど、Twitterで検索をかけてみたら、皆さんちゃんと文章を読んでないのにタイトルだけでアフロ記者の批判していて、ちょっとゾッとする。この編集者の方のツイートはとても落ち着いていて、興味深く読ませていただきました。興味をがある方は連続ツイートになっているので、是非全部読んでみてください。
とか言ってる私自身は、実は図書館はほとんど利用しない。そもそもそこまで行く時間がもったいないし(最寄りの小さな地元図書館まで徒歩10分。北区の素敵な図書館へはバスで10分、そこから徒歩15分)、だから本はだいたい買ってしまう。では本という「現物」に対して愛着があるかというとそうでもない。高い本だと古本もよく買うし抵抗はない。でも新刊が多いから、結局は新品を買うかな… そしてだいたいはお風呂の中で読み、濡れた指でページをめくって,本をガビガビにしてしまう。(という話を某編集者にしたら「絶対にダメ、オレは絶対にそれは許せない」と呆れられた)
でもって、その本をいったいどこで買うかというと、これが申し訳ないけどアマゾンだ。本屋に行って自分が探している本が見つかったためしがないし、本屋に行くのは、応援している作家さんの本、もしくはリアルな作家の友人の新作くらいか…。本屋で買うことが、業界の応援になると分かっていても、それはせいぜい3ケ月に一度くらいになってしまう。そして読み終わって二度目に読むことはないだろうなと判断した本は、とっととBook Off(赤羽店)に持っていって処分する。私の持ち込む本は、だいたい新しいので結構良い値で売れる。私が執着するのは自分の知識欲だけで、それが満足されれば基本OK。物には執着しないんだ、私は…
一方で、角幡唯介さんの本などは新刊で本屋を見つけると何度も在庫チェックし、イベントなどでも何度も買ってサインをいただき、友人にプレゼントまでして嫌がられている(笑)
しかし私が作家だったとして、もしくは出版社とかに勤めている人だったりして、図書館に対しては死んでも悪くは言えないよな、と思うのも事実だ。私も「ヴェーセン、大ファンなんです。CDRで全部持ってます」というのを聞いた時には落込んだが、しかしそういうのは、お客さんにそれを言われた場合、なんというかやせ我慢しなくてはいけないのだ。まぁ、図書館とはだいぶ違うかもしれないが…
っていうか、稲垣さんも「いや借りたっていいんです。読んでいただいたことに感謝いたします。しかしやはり……」と書いている。でもその前の「それが何であれ、仕事には相応の苦労が伴います。そして、それに敬意を表してお金を払ってくれる人がいて初めてその人は仕事を続けることができる。あなたが懸命に作ったものを当然のようにタダで持っていく人がいたらどう思いますか。自分にはそんなにも価値がないのかと傷つきませんか」という部分が、どうしてもイコール図書館批判と取られてもしょうがない、ということなのかもしれない。
しかしこの話で、一番最悪なのは、この行政機関の担当者である。これはちょっとありえないだろう、と思った。普通、そういうの、もっと気を使うだろうが…。行政だったら経費も落ちるだろうし、まともな給料貰っているだろうし…とか、思っていたら、上記の編集者さんのツイートによると「行政だとしたらきっと予算は出ない」そうで、それこそありえん、と思った…。世の中、世知辛いというか、余裕がないというか…
ま、いろいろありますな。アフロ記者については、私はよく知らないので批判も何もないし、かばう気もないけど、この文章には、自分でも反省する部分がある、って書いてて、それは誰でもできる事ではなく偉いなぁ、とも思ったよ。誰もがそんな葛藤の中で生きてるんだと思うよ。こんな時代なのだから。そして、これがもっとゆとりがあった時代だったら、みんなが大らかでいられるのにな、って、そんなことも思ったよ。
さーて、今日も張り切って行きましょう!
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しかし図書館は時間がもったいないから行かないとかTwitterに書いたら、最近はweb予約や、駅ビルの中の図書館もあるのだそうで、へぇ〜と思った。便利になったねぇ…。でもやっぱり私は買っちゃうかな。だって期限内に読み終わる自信ないし。本を借りることで奪われる自分の時間に帯する自由が一番いやなのかも。図書館に行くことは本屋に行くよりハードルが高い。あ、あと風呂の中で読むからやっぱり借りた本ではダメだ。
PPS
そういや友達の作家の本が、某高校の図書館に入って、それが結構借りられているよ、というのをその高校の図書館関係である友人が図書カードを写メして送ってくれたので、嬉々として本人に転送してあげたのだが、あれはもしかしたら作家としてはあまり嬉しくなかったかもね…でも相手は高校生なんだもの、いいか…。
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今朝のタイタンビカス。太陽の方に向いちゃうため、鑑賞者に背を向けちゃうのが問題なのだが、それにしてもよく咲く。
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あと1コ忘れてた。友達とSNSでしゃべっててやっと気がついたのだが、大事なことなので書いておくと、私たち自営でこういう仕事してると、本やCDを買うお金は経費として落とせるのだ… いや、もちろん自分の稼いだお金で買ってるわけだし、資料ばかり買っていれば、自分の収入も減っちゃうよ。でも領収書を取っておけば、経費として落とせる。これは結構大きなファクターだ。それを書かないとフェアじゃないので、一応書いておく。
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フィンランドの事例、興味深い…。確かに業界全体の問題…というか課題として、本を書いた人の励みになるようなシステム構築が正しい行き先なような気がする。
図書館で本を借りると、作家に1冊15円の印税 フィンランドの先進的図書館事情 https://t.co/So21jQ2sse— シルック フィンランド (@Sirkku_Finland) 2017年8月25日
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そして小田嶋コラム登場! さすが…
さすが小田嶋さん❤「きれいごとといえばたしかにきれいごとだ。が、書籍という商品は、関係者がきれいごとを信じることで流通している。このことを忘れてはならない」図書館よ永遠なれ https://t.co/6kPpjqOuFi— 野崎洋子 (@mplantyoko) 2017年8月25日