赤羽パン講座その2:森本智子先生 奥深いドイツ・パンの世界


さて本日は赤羽パン講座の第2回。森本智子さんによる「奥深いドイツパンの世界」をレポートします。あくまで野崎が録音もせず手書きでメモったものなので、何か聞き違えや、誤解、間違いなどが多々あるかもしれません。その点、ご了承を。

森本さんはドイツの西の方に10年以上住まわれていたというドイツの食品のエキスパート。最近「ドイツパン大全」という本も出されて、ドイツの食品の振興に活躍されています。森本さんのホームページはここ。

まず皆さんはドイツパンというと固くてすっぱいというイメージがあるかと思います、と森本さん。北欧とちょっと似ているのだそうです。でも一応ドイツは「世界1パンの種類が多い国」で、大型パン300種、そして小型パンは1200種類もあるんだって。そしてざっくり言うと南部では小麦が多く、北部ではライ麦が多い。ライ麦は土壌を選ばないので、ドイツの北部など寒いところでも育てることが出来るんだそうです。(昔、札幌/ミュンヘン/ミルウォーキーってのがありましたが…あれは緯度が同じ3都市という意味。ドイツの南部であるミュンヘンが札幌と同じ緯度なので、ドイツはやっぱり緯度が高いですね)

ちなみにドイツ人は2012年の統計で1人のパンの消費量が85kg。日本人のお米の消費量が年間54.6kg(2015年の統計)をかんがえるとやはりすごい量。ドイツのパン文化は2014年にドイツ国内のユネスコに登録された彼らが誇る文化なんです。そして地域の1つ1つの特徴がすごく強い。地域独自のパン文化がある。これは先生によると東西の統一の歴史が短かったので、地域の文化が残りやすかったとも言えるのだそうです。ドイツは州制度をしいていて州政府があり地方分散型。それも重要ですね。

では,パンはどんな風にドイツで食べられているのでしょう。ドイツ人のライフスタイルは朝も夜も早い。朝は早起き、夜も早寝。お昼をしっかり食べることが多く、夜は軽くパンにハムとかチーズで済ませることも多いんだそうです。 面白いのは日本では食事のことを「ご飯」と言いますが、ドイツでも夕飯のことは「夜のパン」という言い方をするんですって。(ちなみに朝ご飯は別の言い方だそうです)

まず朝食の特徴は小麦の丸いパンを食べることが多いということ。今はそうでもないが、ちょっと前までは皆、朝イチでパン屋に行って焼きたてを食べるのが一般的だったんだって。ちなみいンドイツの一般的な朝食では卵(ゆで卵/半熟が多い/スプーンで食べる)が出ることが多い。そして果物も大好き。

そして夕飯のパンはライ麦系をスライスしたものが多く、ハム、ソーセージ、チーズを載せてフォークとナイフで食べるのが一般的なのだそうです。

ドイツパンの種類。代表的なものを…(ちなみにリンクは私がググって見つけたもので、先生が推薦されたものではありません)

シュヴァルツブロート
ラインラント風、そしてミュンヘンに代表されるバイエルン風があり。

フランツブレートヒュン
ハンブルグエリアでポピュラー。このパンだけ売ってる専門店が駅前にあり!

プンパニッケル
これ、私苦手だったんだけど、先生の言うとおりよく噛んで食べたら美味しく感じられた! 身体によさそう。日持ちして保存食としても機能するんだって。

ドッペルゼンメル
朝ごはん用の丸いパン。2つくっつけて1つにしているものもあるそう。

シュトレン
これは有名ですよね。マジパンが真ん中に入っているのだけど、ドイツの人はホントにマジパンが好き。日本ではクリスマスのイメージがあるかもだけど、現地では冬を通して食べるもの。10月くらいから出回って、イースター前まで食べるんだって。元東ドイツのエリア、ドレスデンが中心。

ゼーレ
本日の試食コーナー。豪華です。
南のパン。死者をとむらう意味もある。キャラウェイが入っている。

プレツェル
あの焼き色はアルカリ液をつけているからなんだって。へぇ… あの形の由来は古代ローマの腕輪が変化した、という説もあり。オクトーバーフェストなどでも売っているんだけど、先生が見せてくれた写真では異様にデカいのが写っていた。その大きさで500円くらい。

ここでパンの食べ方について:しっかりバターをたっぷり塗るのが特徴。重要。バターは素材とパンの間に膜をつくりパンに水分が来ないようにしたり、また具材が安定しやすいように糊の役割をしたりする。ドイツでは無塩バターも比較的よくパンに塗る。

扱い方のコツとして:焼かない。イギリスやアメリカのトースト文化とは異なる。というのも焼いてしまうと内側のしっとり感がなくなると考える人が多いらしい。そのかわりクラスト(外側)はしっかり、内側はシットリ。美味しいパンは「ジューシー」と表現するドイツ人も多いのだそう。

あと保存は紙につつむなど、密閉しないのがいいとされている。パンは呼吸すると考える人が多いらしい。また結構みんな大きなパンを買って切って使うことが多い。

日本でも美味しいドイツパンが体験できるのは、日本橋のタンネ。北松戸のツォップなど。でもドンクでもドイツパンおいているし、アンデルセンにも。比較的入手しやすいです。

森本先生、ありがとうございました〜 いや〜面白かった。ドイツはやはり国が大きいからすごいですね。地域性があって、これは食べ歩きするのも時間がかかりそう… あとドイツ人は何でもルールを作りたがるってのに、ちょっと笑っちゃいました。私の持ってるドイツ人のイメージもそんな感じです。ふふふ…

さて来週は野崎がアイルランド/英国の食文化について語りますが、当然食べものに関する音楽も多少用意していきますので、お楽しみに。