輝&輝10周年記念コンサートに行ってきました。


いや〜、なんか「いい公演」だった。この「いい公演」ってのが、しょっちゅうライブに行ってても、なかなか出ないのよ、ホント。

ここには自分が行ったコンサートの感想はほんとど書かない。映画や本の感想は忘れないように、ほぼ必ず書いておくのに対し(そう、ここは自分の備忘録なのだ)、なぜコンサートの感想を書かないかというと、書くとほとんどが批判ばっかりになっちゃうからだ。もちろん、自分が学ぶべきところ、忘れちゃ行けないところがあれば、書く。でも、最近はどの公演行ってもさ、演奏がすごかった、照明がすごかった、音響がすごかった、会場が良かった… いろいろあるけど、そんなのは大抵の場合お金を払えば誰でも手にいれられるものであって「学ぶ」ものではないし、お金がなければ学べやしないものなのだ、という境地に達してんのよ。で、最近はあんまり「これはすごいな、学んだな」ってことが、どんな公演に行ってもあまりないのよ。(偉そうな、オレ。でもそれが本音だ)

でも、今日は今日の感動を自分が忘れないように、ここに感想を書く。いや、ホントに学んだから。ほんとに勉強になった。この感動を自分のためにも忘れたくない。だから書く。

今日のコンサートの主役は津軽三味線の女の子デュオ「輝&輝(キキ)」。可愛い女の子2人なのに、とてもしっかりしていて、頑張っていて、努力してるんだよね。そしてパンチのある演奏なんだわ、これが。

いや、なんというか、いろいろあるだろう。自分たちでこれだけのことをやっているのだから、大変に違いないのだ。でも大変な中、悩みながらも、彼女たちはしっかり前進している。こういう子たちはホントにこれからまだまだ伸びると思うし、私もホントに学ぶところが大きい。

今日のコンサート前半/後半とあったんだけど、前半はデュオをベースにゲスト(民謡、尺八、ピアノなど)を加えていく感じ。後半はバンドの演奏中心で、でも最後の最後に「津軽じょんがら節」を2人でびしっと決めて、ホントにかっこ良かった。若いしJ-POPとかのコンサートにも良く行っているんだろう、とにかく構成が上手い。ウチのトラッドバンドたちにみせてやりたい(笑)

彼女たち、全然津軽出身とか、そういうわけではないんだよね。でもこの音楽がかっこいいと思って自分たちでこの音楽を手にすべく努力してきた。2人の見事な桴捌きを聞きながら、「Wild Music」「野生の音楽」ってキーワードをふと思い出した。これ、今から私がやろうとしているポーランドの伝統音楽をSONGLINESっていうワールドミュージックの雑誌がこう名付けたんだ、「Wild Music」って。こういう、伝統音楽が持つ生(ロウ)で野生な感じを「かっこいい」と感じる、その若者の感性が素晴らしいって思うんだよ。若者の感性はピュアで幅が広い。年寄りだけだよね、耳障りが良くて、自分が聞きやすい音楽を好むのは。彼女たちは伝統音楽がかっこよく輝く、その神髄をつかもうとしている。今、ちょっとポーランドでもそうなんだけど、伝統音楽とか、生(ロウ)な音楽というか、この感じ。この感覚の中にソウルがある。この伝統音楽の持つパワーの、この感じ。この感じをかっこいいと思う感じが、かっこいいんだわ。コンサート聞きながら、それを思い出していた。(上手く日本語に出来ていない)

2人の歴史〜
バンドとの演奏もはじめてみたけど、思ったより全然まとまっていて、ふたりがしっかりとこのバンドのことを纏めていていいな、と思った。

いや、もちろんまだ未熟なところもたくさんあるよ。でも私が言いたいのは、そんなことじゃない。なんというか、彼女たちの目指しているところがきちんと見えるステージだったんだ。それが良かった。セットリストもよく考えられていて、一緒に曲にあわせて太鼓代わりの複雑な手拍子にお客を誘ったり、曲にあわせて簡単なフリがあったりで、全然あきさせない。こういう感じが、こういう感じが、今、私がやっっているバンドには欠けているものかもしれない。「楽しんでもらって良いコンサートだったなって思いながらお客さんに帰ってもらうことが大事」って白藤さんが言ってたかな。それが良かった。それこそホントにプロだと思う。

小さい会場ながらも後ろのスクリーンを充分に使い、ライブ・ペインティングしたり、とにかくそこここに彼女たちの表現したいことや拘りがある。いや、まだまだ伸びしろがあると思う、彼女たち。いろいろ大変だろうけど、ルーティンの仕事だけで充分食べていけるのに(というか余計なことしなければ、充分楽だろうに)、こうやってしっかり節目にきちんとした公演を自分たちのリスクで作るって、ホントに偉い。伝統音楽のミュージシャンはみんな学んでほしい。伝統音楽やっていれば、それは和物だろうが、アイリッシュだろうが、北欧だろうが、ハワイだろうが、営業仕事や文化施設からのオファーはいくらでも来るだろう。でもそんなんじゃ表現者としてはダメなんだ。この規模で、このチケット代で、バンドまで従えて,スタッフもたくさんいて、ホントに制作が大変だったろうと想像する。でもこういう公演をやることが、彼女たちが音楽を続ける意味なんだよね。これが彼女たちの表現なんだよね。

ぴかりちゃん、かなみちゃん、おばちゃんは、いつも応援していますよ。ガンバってね。オレもマジで負けてられない。ホントに頑張ろう、って思ったさ。あ、そうだ、近くに座っていたかっこいいおじさまが、伝統曲に関して、かけ声とか合いの手とかプロで、私もアイリッシュ・トラッドなら上手くかけ声出来るのになぁ、と思ったのでした(笑) それにしてもアンコール前のじょんがら節は、空気が違ってたよね。ホント、かっこいいなぁ、津軽三味線。 

さて明日は月曜日です。1週間頑張っていきましょう。そして、頑張れ、輝&輝!