矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』をやっと読みました。

いや〜 やばかったわ… 今まで読んだこのテの本の中で一番ヤバかった本かもしれない。とにかく読んで震え上がる。

いや、日本は馬鹿な国だというのは分ってましたよ。でもここまで馬鹿だったとは… とにかく絶句。これじゃ、まるで主権国家とは言えないじゃん? いったい何をやってきたんだ、今まで…

4年くらい前に出て、当時はかなり話題になってたこの本。信頼できる筋が皆さん、推薦してらして、超気になってはいたのだ。で、今やっと読んだ。『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』

まずは、著者の矢部さんがテレビに出た時の映像を上に貼りました。テレ朝、玉川さんの「そもそも総研」。



沖縄の空をブンブン飛ぶ、アメリカ空軍の飛行機。彼らはアメリカ人居住地の上は飛ばない。なぜって、もちろん危ないから。でも日本人が住んでいる上にはブンブン飛ぶ。学校に墜落した。墜落しても日本の警察は近寄れない。そして、これは沖縄に限ったことではない。東京に発着する民間の飛行機、なんであんなに大きく旋回しているのか(そして日航機事故もあった)。

とにかく知れば知るほど驚愕の事実。そのいきさつも、さすがは相手はアメリカで、今や公文書で明らかにされているのだ。知らないのは日本だけ?

びっくりしてしまうのは、日米地位協定は憲法よりも上にある、ということ。1959年、最高裁における砂川裁判で、そういう事態が確定してしまった。日米地位協定の前に憲法はまったく意味をなさない。つまり日本人の人権はない、ということなのだ。だから軍の危ない飛行機がブンブン飛んでも何も文句は言えない。軍にとっては、アメリカ本国で禁止されていることが、日本では出来てしまう。

なぜ鳩山さんは失脚したのか。実はポイントはそこだった、と。日米合同委員会というものがあり、そこで官僚はみんなアメリカの方を向いて仕事をしている、と。だから鳩山さんが「内緒だよ。絶対にバレないようにしないと」と言って一部の官僚に明かした「最低でも県外」は、翌日の朝日の夕刊にすっぱぬかれ、彼は失脚に追い込まれた。一体誰を信じたらいいんだ、と…

憲法の問題は2つある、と矢部氏は指摘する。私も憲法は大好きだし、9条も素晴らしいと思う。でもそれは、ふたつのある矛盾するこの2つの事実を包有している。

(1)憲法はアメリカの占領軍が密室で書いて、受け入れを強要した
(2)その内容の多く,特に人権については、日本人にはとても書けない良いものだった

ドイツや他の国は、戦後、国家の主権を取り戻すべく、政治的指導者や知識人が大変な努力をしてきた。例えばドイツも、敗戦国ではなかったけどフランスも、国が一部でも占領されていたら、その間は絶対に憲法に手を触れてはならない、としたわけです。それが国を救った。日本はそれをさぼった。

しかし日本人って,自分で考えて行動しない、自分の行動の責任の取らない、そして文句ばっかり言ってて行動することをせず、行動する人に対して文句ばかり言ってる、そして問題を次の世代に押し付けて先延ばしして、自分が逃げ切ることばかり考えている。頭で分ってたけど、ここまでひどいとは思わなかったわ。政治家、そして官僚は今まで何をやっとんたんじゃ? 

そしてこれまたビックリなのが、昭和天皇に関する記述。これってある意味、タブーとされてきたことかもしれない。よく書いたよね…この著者。これを読むと、昭和天皇って、すごい策略家だったんだということが分る。いや、確かにそれが日本を穏やかに移行させたのも事実。今、私なんぞが何を言えようか。なんかいつもモグモグ口を動かし「あ、そ?」と言っている世間知らずの坊っちゃんかと思っていたのだが、すごい戦略家だったんだ。そして、今、それがアメリカの公文書などで次々明らかになってきているわけ。

しかしそんな事を思うにつけ、今の天皇陛下は、やっぱりすごいよな、と思う。彼は来年引退するわけだけど、昭和天皇を戦前から戦後まで側で見ていた近い人でもあるわけで、もしかしたら引退後は、そのへんを現した本でも書くんじゃないかなとさえ思う。今の天皇は、前の天皇のことも見て来た。そして今の天皇のあり方というのを体現してきた。もしかすると今後の天皇制のあり方というのを、明確に示したすごい世代なのかもしれない。だから「厳しく自分を律して来た」わけだ。人権も持たず、発言の自由もない天皇。まぁ、でも、そんなことは私なんぞが何を言えたことかと思う。おいおい歴史が決めていくことだろう。それにしても、今の天皇陛下のファンになったよ、ますます。

とにかく、この本は、一度読んでおいて損はない。



PS
こちらも参考までに貼っておきます。