アコースティック・アンサンブルにおける低音の役割

フルック、ヴェーセン、ルナサ、LAUなど、ウチのバンド連中に共通していることは、低音がしっかり存在する、ということだと思う。

いや、ホント伝統音楽アンサンブルで、低音弱いバンドってホント多いよ。

まず第1の問題として、そもそも伝統音楽はソロで、もしくは団体であったとしてもユニゾンで演奏されるという基本がある。そこに70年代になって、ギターなどのバックアップ楽器が入ってきたわけで、それらは、あくまでメインのメロディを加速・盛り上がり感を演出するためのバックアップであった。

そして伝統音楽がポピュラーミュージックのように地元だけではなく世界的に聞かれるようになった現在においても現状はあまり変わっていない。伝統伝統音楽において、いやすべてのインストルメンタルにおいてそうかもしれないけど、普段音楽を一つの固まりとして全方向から聞いてない人は、メインのメロディーしか聞き取れないという弊害がある。面白いんだけど、そういうリスナーは歌ものなら歌しか聴いていない。インストならメインのメロディしか聞いていない。いつだったか椎名林檎がインタビューに答えて「歌が入ったら、すべて音楽は食べもので言うところの丼もの」と話していたのは、言い得て妙だなぁと思う。(PS. 椎名さんの正確な発言はこんな感じです

だけど私にとって…というか、THE MUSIC PLANTのラインアップとして、インストルメンタルにおいては、やはり全体の「サウンドスケープ」が重要だと考えている。メインのメロディがかっこいいのは当たり前である。要はそれをどう料理するか。そこがアンサンブルの妙なのだ(と、私は考える)。

で、低音(笑)。

フルックも低音は重視してきた。エドのギターはベースもカバーしているし、ジョン・ジョーのバウロンがあるし、セーラのフルートもベースみたいな役割をすることがとても多い。



スウェーデンのヴェーセン。ローゲルの特種チューニングの12弦ギターは、このバンドにものすごい個性を与えている。ヴェーセンはPA卓とか見ていると分るんだけど全音域が、すべて均等にあるのがすごい。まるで音の壁になって、ぐいぐい押して来る。 メインのメロディ(ニッケルハルパ)は周り(ヴィオラとギター)が輝く時に最高に輝く。これがヴェーセンの最大の魅力の1つなのだ。これなんか低音が入って来る1分すぎくらいから、すごいでしょ? ヴィオラも最高にいかしている!!



そしてルナサは当然トレヴァーのベースだ。ベースがルナサを最高にスペシャルなものにしている。これなんかパイプのドローンも手伝って、ホントに完璧。ちなみに冒頭の「サウンドスケープ」という言葉は、トレヴァーがインタビューで答えていた表現。気に入って,自分でも使っているんだけど、ホントにルナサみたいなバンドことを適格に言い当ててるよね。



ラウーもそうだ。ラウーはトリオなんだけど、実はプレイヤーは4人いる。4人目のプレイヤーはマーティンの左手だ。アコーディオンは絶対に右手より左手の方が重要だと思う。ジャバラ使い(これがリズム感を決める)、そして低音。



そういうバンドを揃えているTHE MUSIC PLANTだから、チェロとかも大好き。伝統音楽じゃないけど、やっぱりこのアンサンブルにおいては、低めの音域が重要なんですよ。特に1:50くらいのチェロが低くなるところ。この音域がチェロがもっとも素敵に輝く音域だと思う。3分すぎからもすごくいい。ウィーンのバルトロメイ・ビットマン。



だから低音が弱い伝統音楽のアンサブル聞いてると、やたら気になるのよね。低音がないアンサンブルの例をここに貼ろうと思ったけど、それは敵を作るだけなので辞めておきます(笑) でも上のバンドと他のバンドのアンサブルの違いを比べてみてほしい。

というわけで、これらの中ではフルックがいちばん早く来日しますよ。あと2ケ月。もうすぐだね。詳細はここ