佐々木俊尚さん『家めしこそ最高のごちそうである。』『新・家めしスタイル』を読みました



せっかく読んだのにまだレビューを書いてなかった本がたまっているので、少しずつ紹介していきますね。

ちょっと前に出たこの本。2冊。佐々木さんは元毎日新聞のジャーナリストで、毎朝8時ごろにTwitterのタイムラインに「朝のキュレーション」ということで面白いネット上の情報を流していて、私は毎朝それをチェックしている他、光栄にもここのブログも何度かそこで紹介いただいたこともある。もちろん著作も何冊か過去に読んだことがある。まぁ、いわゆるファンである。その佐々木俊尚さんの「家めし」シリーズ。確かに時々奥様がアップする食事の写真が素敵だなぁ〜と、ずっと思ってた。だからこの本が出るのは、とっても自然ななりゆきなんだよね。この本は佐々木さんのお家での料理を紹介した本だ。

男の人の料理はうまい人は本当にうまいし、だいたいはすごく凝ったものを作ってくれるし、ご馳走になるのは大好きなのであるが、みんな何ってウンチクがすごすぎて語りが多く(笑)ちょっとうざいんだよね(男友達、ごめん!)「なんとかは何々しないといけない」「この方がおいしい」「あそこの店ではこうやって出すんだけど、あっちの店では…」みたいな。

一方、佐々木さんの料理はそういった気負いがなく、本当に日常の様子が伝わってくるし、なんというか自然体なのである。そこがとても良い。

昨日はこの本に習い、冷蔵庫に死にそうなパセリがあったので、白身魚のお刺身を買ってきて(鯛でした〜)一緒にオリーブ・オイル、塩、レモン果汁であえてさっぱりといただきました。こういうシンプルな料理が佐々木さんのレシピなのだ。ちなみに佐々木氏の奨励はレモン果汁ではなくシークァーサー果汁だったんだけどね。今度買い置きしておこうっと。でも場合によっては「酢」でもいい、ということ。どうだい、美味しそうでしょ?(下の写真参照)

『家めしこそ〜』の方では、それこそ昭和70年代の食卓の様子などいろいろ分析され、詳しく書かれており、懐かしくあれこれ思い出しながら読んた。そう、昔のお母さんの料理って赤いウインナーだし、味の素だった。ウチの場合は当時としては珍しく両親共働きだったので、母の料理は正直あまり美味いと思うものはなかったかなぁ。それでも出来合いの気の利いた惣菜が今みたいにあるわけでもないし、コンビニもないこともあって、あれこれ手作りで作ってくれていた。とにかく料理のレパートリーは少なくて、たぶん10種類くらいを行き来してたと思う。

そしてバブルのころ。私が大学生のころ。いろんなお店が出来てきて、イタリアンの高級なものとかエスニック系とかたくさんレストランが出来て本当に東京での外食が楽しくなった。

でも今は、私も自炊思考。病気をしたこともあって、ここのところ自分のブログに紹介しているように家で自炊するのが大好きになった。前にも書いたけど、料理をすると「ちゃんと生きてる」「丁寧に生きてる」って気持ちになる。とにかく私にとってとにかくホットクックの導入は大きかった! ちょっと科学の実験みたいなところもあるけど、とにかく自炊で何が入っているのか明確にわかるのが良い。だから何がどのくらい入っているか自分でばっちりコントロールできることが素晴らしい。特に塩だけで味つけともなれば、あまりに明確。そんなホットクックが大好きだけど、本来、日々の料理とは佐々木氏の本にあるように、あるものでちゃっちゃと作れないとダメなんだよね。あと佐々木さんの料理はお皿がいつも素敵なのだわ…  (一方の勝間和代さんの料理がお皿があまり褒められた感じじゃないのが面白い。でも彼女の場合、食洗機で洗うのに便利な食器を前提としてるというお話でした。なるほど人にはいろんなスタイルがある)

それにしても、ちょいちょい残した野菜の切れ端などを使って料理する佐々木さんの「シンプル料理」は本当に素晴らしい。これらが自分でも応用できるようになれば、かなり料理のうまい人間になれることだろう。レシピは本当にシンプルなものばかりで、材料は多いものでもせいぜい3種類くらい。1種類、2種類+調味料みたいなシンプル料理がたくさん紹介されている。

2冊の本の違いはというと『家めしこそ〜』は文章、エッセイ中心。従来の佐々木さんのスタイルで書かれた非常に読みやすい本。一方の『新・家めしスタイル』はカラーのグラビア中心でレシピがずらっっっと並ぶ。こちらはうんと料理本といった体裁なんだけど、詳細なグラム数や分量などは明記されていない。佐々木氏曰く、そこは個人の好みでやってくれ、とのこと。また道具もほとんど必要なく、とはいえ佐々木家ではル・クルーゼが大活躍らしい!! うーん、やっぱり欲しいかなぁ、ル・クルーゼ。でも重いと特に今の私には無理だし、これからどんどん歳をとるんだし、私は引き続きホットクックで行こうかな。(それにル・クルーゼは高い。まぁ、いいものなんだけどね…。あ、ウチもお米は専用のおかまで炊いてます。これまた美味いんだ… もう炊飯器には戻れない)

あとこの本読んで気づいたのは佐々木さんが素材のテクスチャーをとても大事にしている、ということ。野菜はしゃきっととか、パリっととか… そういうや、そういうこと、今まで自分の料理で重視してこなかった。ホットクックなんて、本当に全部一緒に煮込むから、煮崩れているわ、一部の素材はがっつり残り、一部の素材は姿もなく…なんてのが、ざらなんである。まぁ、でもじっくり煮込んだ美味しさはすごくあるんだけど。でも本当に素材のテクスチャー。大事だよね。今後の私の料理の課題は、まずそこだな…

それにしても料理道は果てしなく続く。でも結果、最終的に自分がそれを食べられるってことも含めてとても楽しいし、幸せだ。

あ、そうそう、『新・家めし〜』に載ってたペペロンチーノのヴァリエーションには息を飲んだ。さっそく今度試してみよう。ペペロンチーノの料理法って、本当にすごいんだね。

そうそう、写真下はこれも本に載ってた人参のしりしり。シンプルなのに栄養満点で絶品だ。

『家めしこそ〜』はKindle Unlimitedでも読めるので、登録している人は是非。またここでも連載されている