どうでしょうD二人の傑作エッセイ『けもの道』(藤やん)と『ぬかよろこび』(うれしー)


ご存知「水曜どうでしょう」のディレクター二人のエッセイ。昨年夏に読んだ。どちらも素晴らしかったよ。でもって二人のスタイルがまるで違うのも面白かった。

まず藤やんこと、藤村忠寿さん。藤村さんは「どうでしょう」登場の4人(大泉洋さん、ミスターこと鈴木貴之さん、藤村D、嬉野D)の中で私が一番尊敬する人だ。藤村さんは「どうでしょう」の心臓だと思っていて、本当にすごい人だと思う。ナレーション、編集をすべて手がけ(「どうでしょう」って編集がすごい天才的だと思う)、はたまた登場人物としても大活躍。大泉さんとのかけあいも最高で、とにかく面白い。イベントやグッズなど「どうでしょう」自体を事業として回してる中心的存在も、この天才藤やんなのである。

藤やんのエッセイは、期待通り、想像していたとおりの内容だった。愛知県から出てきて営業として活躍した日々、そして「どうでしょう」の制作を手がけるまで、実家との距離感、家族のありかたなどなど…とにかく響きまくり。「出演者という素材を使って<場>を作る」とか職業の選択とか、「結局は自分の武器で戦うしかない」とか働きマンに響きまくりの内容で、あと植村直己さんのファンで「負けない」ってのがテーマだってのも、すごく共感ポイントだった。仕事の目的(数字)をはっきりさせるということ。3万人いるという「どうでしょう」の確固たるファン層を失望させないこと(そこさえ押さえておけば、道民全員に指示される必要はなし…とか)死なないかぎり失敗ということはない、とか… とにかくいつまでも覚えておきたい内容満載なのだ。

この本には載ってなかったけど、藤やんのインタビューで感動した動画があるので、それも未来の自分のために忘れないように貼っておこう。この動画の7分半くらいから始まる「後進を育てる」ということについての藤やんのお話。



そうなんだよね。今の時代、ノウハウ教えてもあんまり意味ないのよ。だってその子が活躍する時、時代は変わっていて、そのノウハウはすっかり役に立たなくなってる可能性が高いから。でも新しい道を切り開いていく、チャレンジするその姿を見せるということは常にできる、というわけ。

結局のところ人に教えるなんておこがましくて、そんなことよりも面白い姿を見せることで、それが気になった人が自然についてくるような展開に持ってかないと後進を育てる(なんて言うと偉そうだけど)ことはできない。人には伝わらないってことなんだよね。これチームを作るときも同じことだと思う。人は頑張ってる人を応援してくれるし、面白いことをやってる人を応援してくれる。リーダーが頑張らない組織は、やっぱり全員だめだめだ。

いずれにしてもこんな風に藤やんには影響たくさん受けてる私ですので、この本は響きまくりました。会社員としてTV局に籍をおきながらヒットを作る。組織にいながらヒットが作れる人は本当にすごいと思う。そしてTVマン以上の新しいこと(グッズ作りとか、DVDとか)をどんどん手がけていく。それが会社に多大な利益をもたらす。それは地方局のスポット売ってたら得られないくらいの金額だ。それこそ番組が成功しているからできる技だとは思うけど、素直にすごいと思うよ。藤やん、これからも応援してますので、頑張ってください! あなたの前進する姿を熱くみつめる、私も後進の一人です!

一方の嬉野さん。これが意外な内容。思いのほか、おしゃべり好きなのではないか、と思った。「鹿でした」に始まり、うれしーはあまり語らないが、言葉を発するとめっちゃ面白い。で、語らないと思うのは、番組を見ているこっちの勝手なイメージであって、実は饒舌な方なのではないかと想像した。確かにYou Tubeで「どうでしょう」チャンネルのトークなどを確認すると藤村さん以上に確かにかなりしゃべっている。そしてそれがとっても面白いんである。

うれしー本の中で特に印象に残ったのは犬がなくなったあと奥さまがバイク乗りで一人で出かけちゃう話とか(お子さんがいなくて自由な夫婦のライフスタイルだとお見受けしました。かっこいい!)、4人の絶妙な番組作りのアンサンブル(まさに「どうでしょうマジック」!)の話。あと戦争からお父さんが日本にいる家族のために友人の名刺を持って帰ってくる、それが紙っぺらなのにあまりに重い。その理由の答えを「どうでしょう」撮影中に気づくというエピソードとかには心からぐっと来た。いずれにしても、すっごく読みやすくて、本当に一気に読めちゃいました。

さすがお二人、とても面白い。久しぶりに「どうでしょう」をググれば、イベントにブログにインスタグラムに精を出すお二人の姿が。グッズの販売も充実で、とにかくファンを常に楽しませてくれているんだよね。これからも知るひとぞ知るという存在ながらも「どうでしょう村」は安泰だろう。いや、藤村さんや嬉野さんの必死な努力あってこそなのであるけど、これからもずっとファンを楽しませてくれることは間違いない。私もずっと応援している。「どうでしょう」は永遠です。

10月にイベントがあるみたい。北海道の人が羨ましいなぁ〜 セミがミンミン鳴く暑い真夏に厚手の冬の衣料を宣伝するお二人(爆笑)



あと私がこの番組を知るきっかけになった樋口了一さん(以前、東芝所属のころプロモーションのお手伝いをしていました)のベスト盤へのリンクも貼り付けておきます。「1/6の夢旅人2002」めっちゃいい曲。よく出張中に気合いれる為に聞いています。歌詞が素晴らしいと思う。J-POPは歌詞が聞こえないとダメだと思うが、まさにその典型。ポップでキャッチーで歌詞が聞き取りやすい。本当にいい歌だと思う。

公式映像がなかったので、こちらを貼り付けておきます。本当に素晴らし曲。いつも「たどり着いたら、そこがスタート」ってところで泣けてくるんだ。






PS
とか言ってたら、新作完成ですってよー