2020年1月14日火曜日

片山杜秀+山崎浩太郎 田中美登里(聞き手)『平成音楽史』を読みました


平成の終わりにこういう時代がまとまった本を読むのは良いわ…。というか、あまり本を読んでいる気がしない。お話を聞いているという感覚。どうやらラジオの対談をまとめた本だそうだ。なるほど。だから読みやすいのか〜。平成の30年間の流れが集約されている、すっごく面白い内容の本だった。

私はクラシックはまったくわからないので、わからないところもとても多かったけど、いや〜そうなんだ、マーラーってそういう位置なんだとか、三大テノールとか、佐村河内さんが世間に受けた理由とか、私でも知ってるフジコ・ヘミングさんとか、辻井伸行さんが大ヒットしたこととか、あとびっくりしたのがオウムがオーケストラ持ってたこととか驚愕!…とまぁ、忘れてることもあるし、実体験している時代なのに知らないことも山ほどあるしで、楽しく読みました。

時代の流れと音楽。特に最初の方は私も(まっとうな)音楽業界にいた時期だし、やはり1989年というのは先日の石田さんの本じゃないけど、すごい年だったんだなぁ、と改めて。

911のこれも思い出した…



阪神淡路、311の復興ソングなど音楽は常にそこにあった。

そして冠コンサートの全盛期、そして三大テノールやら何やら… バブルだよなぁ。あったよなぁ、そういう時代(笑) 



大型外資のレコード店相次ぐ出店とそれがクラシック・シーンに与えた影響など。マーラーやブルックナーの攻勢や、それと同時に出てきたアマオケの話など非常に興味深かった。そうなんだ、クラシックの世界!?

異様な大ヒットとなったこのアルバムは私も覚えている。カラヤン(笑)パッヘルベルの『カノン』



ピアソラのブーム、ヨーヨーマのヒットも。これも平成ならでは?





中村紘子さんが亡くなったこと。中村さんといえば子供のころに行った千葉文化会館でのコンサートが忘れられない。なぜか自分は最前列に座っていたのだが(おそらく親がC席とかケチったか)、私の2列くらい後ろで結構うるさかった幼児のことを中村さんは時々演奏しながら睨んでいた。オーケストラもいたのでピアノ協奏曲だったのだと思う。中村さんのほぼ足元で彼女の演奏を聴きながら、あの時の彼女の厳しい表情が忘れられない。私も小さかったが「こっわー」と思ったことを記憶している。でも未就学児童NGだったろう公演なのに、困ったもんだよね…



そしてエル・システマの話題、オーケストラの運営危機やアマチュア・オーケストラの頑張り。

佐村河内守さんについての話題も興味深かった。新垣さんの立ち位置とか。そうなんだーって感じ。



なんと新垣さんがあの事件のあとに「佐村河内風」に作った曲があるとか…これは初めて知った。



お二人が平成の時代を「ハッタリ、キッチュ、まがいもの」つまりすべては消費社会の中で消費されていくものだ、とバッサリ切っているのも非常に興味深い。帯にも書かれているんだけど片山先生の「平成という時代に特徴的なことといえば、やはり壮大なまがいものにこそ感動するところじゃないでしょうか」とか面白い(笑) 

まぁ、その辺は最終的にこの先200年後の聴衆が判断するもんなんだろうけどね…。確かにそうだよね。

あ、そうそう、クラシック界のピアソラ・ブームとともに「グローバリズムに反撃するヨーロッパ古楽ブーム」という章は、ちょっと私の今の仕事にもつながるのかな、と思ったりもした。この辺はちょっと私も勉強したい。特にカウンターテナーのこの方! 美登里さんの言うとおり「いかにも」って感じがしなくて、すごく自然で歌い方がめっちゃいい。



そしてピリオド楽器の話題も。確かにこれはクラシック音楽ファンを伝統音楽側に引き込む追い風!(笑)こちらはロトの『春の祭典』やばい。これは買っちゃいそう! 



それにしても平成ってへんな時代だったのかも。この本の冒頭でも書かれているとおり、昭和天皇の死から始まって(あの頃のことは実はほとんど記憶になし。学校とか休みになったんだっけ?)、今回平成の終わりは天皇陛下の引退で終わったわけで、いろいろと感慨深い。

読んでて興味がつきない本だった。そもそもこの対談本、ラジオ番組がもとになっているそうで、ラジオってやっぱりいいよねぇ。なんといっても音楽も聴けるわけだし。田中美登里さんに拍手。そして、これからも頑張って面白い番組を作っていってください!!

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