幡野広志『なんで僕に聞くんだろう』を読みました。心地よいナイフ!



いや〜、やっぱり素晴らしいわ、幡野さん。Cakesでの連載の一部をまとめた珠玉の一冊。大事にして何度も何度も読み返したい。幡野さんの言葉は「心地よいナイフ」(本書参照)になって私の心にずさずさとくる。あぁ、なんて素晴らしいんだろう。幡野さんは私がほしいと思っている言葉をくれる。

そうなんだよね、「背中を押してくれる人」を誰もが探している。自分を肯定してくれる人。自分でなんでも決めなさいと余計なことを言わず見守ってくれている人。さすがに後半になってくると連載時にすでに既読のものも多かったが、いや、やっぱりすごいよ。

好きだったのは一人旅がしたいけど親に心配をかけたくないという女の子の相談。あれは本当にさわやかな気持ちになった。あと子供との関係に悩むお母さんの相談に、子供の立場にたってズバッと回答した回かなぁ。あれは素晴らしかった。

他にも今回読んで心に残った幡野さんの言葉のメモ:

「コミュニケーション能力が低い人というのは(シャイな人ではなく)人との距離が近すぎる人」

「親子関係が近ければ近いほど相手を否定してしまう」

「他罰的な人がいる。善人には悪いことは起こらないと信じている」

「病気になると(人間が変わるのではなく)その人の性格が色濃くでるようになる」

「自殺は切り札。いつでも死ねる。それがあなたを生きやすくしている」

「褒められてうれしい感覚は、安かった時に買った株が高騰して喜んでいるのと一緒。結局誰かの評価でしか人を見ることができない」

「なんとかしてあげたいと思う人ほど、ストレスを感じてあなたの(辛かったという)話を聞きたくないと思うの」

「死んだあとのことよりも生きているときの関係性の方が大切」

「(病気になったら)病人自身が指揮官になること。家族が指揮官になって病人が兵隊になったらズタボロになって死んじゃう」

こんなページも見つけた。


次に読んだら、また別の言葉が心地よいナイフとなって私に刺さることだろう。ありがとう、幡野さん。なんか同じ時期に病気になって、不謹慎だけど私はラッキーだったと思った。