すごく良かった。堀江さんが収監されて、復活して出した2013年の本。結構前に買ったので、なぜこの本を手にいれたのか理由は忘れてしまったけれど、いや〜、意外な驚きでした。
この本ならホリエモン・ファンじゃない人が読んでも抵抗なく入れるのではないか。堀江さんって、いろいろ言われているし、私から見ても「子供っぽいなぁ、この人」と思うことが多いのだが、でもなんか憎めないし、言っていることには共感できることも非常に多い。というか、物言いが過激なだなとは思うけど、かなり普段から共感している。というか子供みたいな好奇心や自分のやりたいことを諦めずに欲望に忠実に動くからこその堀江さんなのだ。そもそも桁違いにビジネス的にも大成功しているわけで、その言動が敵を作りつつも、同数の信者をつくり、若い人が憧れるのも、とてもうなずけるのだ。
そりゃあ、彼の言うことすべてには共感しないが、例えばYou Tubeの動画をみていると悩み相談などにかなり真摯に答えている真面目な人なんだよ、知ってた? 例えばこれ。かなり感動した。
演技や歌でやっていきたいというすごく地味な高校生に対して、きちんと真面目に正面から答えてる。子供扱いしてないし、本当に素晴らしい。一方で同席している男性の方は堀江さんの言うことが全然わかってないようにも思う…それはさておき。こういうのを見ると結構感動しちゃったりする自分もいるのだ。
そして彼の「どいつもこいつも真剣に生きてないんだよ」「よく考えて行動しろ、バカ」みたいな言動からも察することができる、彼の、他人に期待して裏切られる寂しさとかも感じられるんだ。もしかすると私なんかよりよっぽど人間的で優しい人なんだろうな、と思う。
しかし驚愕なのは、この本、約90ページほど読み進むまで、いわゆる「自己啓発」みたいなことが一つも出てこないことだ。では、そこまで何が語られているかというと孤独だった子供時代や学生時代の話。これがなかなか興味深い。
どうやらこの本を出すにあたって堀江さんの担当編集さんは「もっと人に分かってもらえるよう努力せよ」ということを非常に強調していたらしい。ちなみに最近のヒット作『多動力』の方がイケイケ&ブイブイの堀江さんなのに対して(すでにこっちも読み終わっている。また感想をこのブログに書きます)、こちらで描かれている堀江さんは、読者に少しでも近づこうとしている意外な堀江さんなのだ。
堀江さんの…複雑なというよりかなり変わったご両親の不器用な空気の家庭環境。理不尽な父親、働きウーマンの母親。そして一人っ子でめちゃくちゃ頑固でありながらも頭がよかった堀江さん。田舎を早く出たいと思っていた少年時代。なんとなく私は、自分にも重ねながら入り込んでしまった。塾に行くことを進めてくれた初めての理解者である先生との出会い、そしてその先生に「今、会ったら泣けてしまうかも」とまで言ってるんだから、ちょっと意外な堀江さんの姿でしょ? そして刑務所の中でも仕事の楽しさみたいなのを見出していく堀江さんは本当に根っからの働きマンなんだなぁ、と思う。ここが私が堀江さんを尊敬するポイントなのだ。
そもそも堀江さんは事業で大成功しているように見せているけど、実はそのトライ数がとんでもないのだ。やりたいと思ったことは絶対に言い訳をしないで実行に移す。そのパワーが素晴らしい。
私は基本的に働きマン、働きウーマンが好きだ。学生時代にはわからなかったが、これが社会に出るとびっくりするほど、多くの人がいかに楽に生きよう楽に生きようと考えているかを実感し(特に私より上の親父たちに多い)、本当にがっかりしてしまう。だから働き体質というのはそれだけですばらしいと思う。
(世の中の働き体質の人に言いたい。あなたは「自分ばっかり頑張って、損をしている」って思っているかもしれないけど、そんなあなたを見てくれている人は絶対にいる。だから働かないやつなど相手にしないで頑張って! BGM:「ファイト」by 中島みゆき)
そして堀江さんは東大に合格し起業する。そして90ページをすぎたころ。ようやく「自己啓発」本的な記述が出てくる。自分が女の子にもてなかったこと。かなり歳をとるまでキョドってしまっていたこと(挙動不審な行動を取ること)などの話が興味深かった。堀江さんはそれを「圧倒的な経験不足」と説明する。そして「経験とは時間ではなくて踏み出した足の歩数」だとも。いい事、言うねぇ。
そして「小さな成功体験を積み上げよう」とも。これって多くの人が言っていることなんだけど、出来てる人はとても少ない。また「チャンスは誰にでも平等にやってくる」、「チャンスに飛びつく力 = ノリの良さ」と説くのもいい。これは分かりやすい。
そして「仕事は最も時間を多く割くもの。それを楽しくすれば人生は楽しい」とか、「時間をお金にかえてはいけない」(逆に時間はお金を払ってでも買っていい)みたいな私が普段考えていることとシンクロしていくので、読んでいて、とても気持ちがいい。
「貯金をするやつは自分に自信がない、不安なやつ」というのもバッサリであるが、非常に同意できる(まぁ、現在のこういう社会の事態になると、こっちの考え方に賛同してくれる人は少なくなるのだろうけど)。私もいわゆる「貯金」はない。これはミニマリストの生き方にも通じる。物をたくさん持っているやつというのは自分に自信のない証拠なのだ。お金ではなく大事なのは「信用」。信用はお金では買えない。逆に信用さえあれば、お金は借りれる、と。なるほど。「つまり10の信用があれば、100のお金を集めることができる」「けれども100のお金を使って10の信用を買うことはできない」「本当に困った時、助けてもらえるのは信用。お金ではない」確かに今後インフレ時代が来たら、そうなるのかも…
そしてそこに加えて、堀江さんはどんな事態でもひとりだけあなたを確実に信用してくれる相手がいる。それが「自分」であり、それこそが「自信だ」と言う。信用のゼロからイチは、まず自分を信じるところからスタートしろ、と。そして「やりたいことは全部やれ」と「大切なのは自分の手で選ぶ、という行為なんだよ」とも。
しかし堀江さん、いろいろ共感するよな。「時間」や「自由」が大事だという考え方は私も普段からすごく強く考えている事だ。自分のことならどうにでもなると思っている根拠のない自信(笑)も似てるかも? あと堀江さんは、お金の亡者と見られがちだけど、本当の幸せは「シェア」することから成り立つと説明する。他者を信じるということは裏切られるリスクを引き受けること。「わからないからこそ、僕は信じる」という言葉に唸ってしまったよ。私もそうありたい。そうあれるよう努力してる。
世の中、多くの人が堀江さんの言動に顔をしかめるし、私がここにこの本の感想を書くことにもあれこれ言う人がいると思う。私だって彼の言うことすべてに100%賛成しているわけではない。
でもそもそもそんな風に堀江さんのことを悪く思う人たちが堀江さんより働いているとはとても思えないんだよね… やっぱり私は働きマン・働きウーマンを認めているし、彼らが好きだ。これからも彼らの良いところは真似していきたいと思う。
次に読んだこれまたベストセラーの『多動力』は全然違った感想になると思います。ちょいお待ちください。すでに読み終わっているのだけど、感想文を書く時間がない…
今日は天気もいいです。張り切って行きましょう!