2020年10月12日月曜日

馳星周『少年と犬』を読みました

あいかわらず「バンドにエイド」「ケルト市」でバタバタだったので、このブログにだいぶ前に読んだ本のレビューなどアップできておりませんでした。この本は9月に読み、書評もだいぶ前に書いたのですが、今ごろ、アップ(笑)


なるほどこれは素晴らしい。久しぶりにフィクション行ってみた。『少年と犬』直木賞を受賞したということで話題の作品だ。結論から言うと素晴らしい作品でした。

一匹の犬が、いろんな飼い主のもとを渡りながら、最終的には「南」へたどりつく、という話。震災の東北から、地震があった熊本へ…  いろんな飼い主たちと出会いながら。

最後の子供を救う話はちょっと出来過ぎな感じもしないわけではないが、いずれにしても後半に入ったら本を読み止めることができず、あっというまに読み終わってしまった。おかげで翌朝はめっちゃ眠かった。

実は途中まで読んで、なんとなくこの物語のオチを想像してしまった。というのも各章の終わりがいつも飼い主と犬との別れみたいなことになっており、犬は再び放浪の旅に出て食糧もなく痩せ細って次の飼い主のもとにたどりつくというストーリーだからだ。なので、最後は実はこのお話は書かれている順番ではなくて、バックワーズに読んでいくといいんだよ、みたいなオチが待っているのかな、とも思ってしまった(笑)。私、深読みしすぎな読者?

が、そんなオチを想像しながら読んでいたら、実際はそれをはるかに上回る、犬をめぐるサークルがこういう形でコンプリートされたのか、というオチにつながっていた。なるほど、こういうことか、と。いや、この作家さん、すごいです。

それにしても、この本の犬と人間の距離感が好きだ。この本は動物ものにありがちな特別にお涙頂戴というわけでもない。ただ犬って不思議で、かしこくて、馬鹿な人間のことをよくわかっていてくれて…ということが、どのシーンにおいても非常によく描かれている。

いつぞやヒットして映画にもなった「おとうさん!」みたいな漫画(タイトルも忘れた)はまったく好きになれなかったが、これはすごく好きだ。(「お父さん!」の映画の主演は西田敏行だった。見たら泣けるのは必須だが、泣いてもあまり意味ないような気がしたので、もちろん見に行かなかった)

あぁ、それにしても犬が飼いたい。犬!! が、私が飼うと周りに迷惑、犬にも迷惑をかけることは必須なので我慢している。ググったら、著者はバーニーズ・マウンテン・ドックったかな…あの大きくて最高に可愛い犬を二匹飼っているのだそうだ。うらやましいよなぁ!!

さてこの作品も素晴らしかったが、犬についての書き物は、しかし角幡唯介さんのエッセイ『人間とイヌ』が一番やっぱり共感できるかな。『探検家40歳の事情』という比較的角幡さんのふざけた文章がたくさん載ったエッセイ集に収録されている。あの『無賃乗車』とか『マラリア青春記』みたいなラインアップが並ぶ中ではシリアスな一本だ。そこにあった「私は一匹のイヌとともにそこにいる。私が死んだらイヌは死ぬ。イヌが死んだら私も死ぬ。そのとき私とイヌのあいだに引かれていたあらゆる区分や差異は消滅し、二つの生物種を規定する異なる概念に意味はなくなるだろう」… あぁ、角幡さん、文章がすごすぎる。そういう深いところでつながる濃い極地での犬と人間の関係。あの一体感みたいなものはおそらく犬と犬では不可能で、人間と人間でも不可能で、人間と犬だからこそ可能な何かなんだろうと思いを馳せる。そこが最高だと思う。やばい。またあっちも読もうっと。


しかしワンコ、可愛すぎる。この動画よく見ている「今日のルンルン」。人間と犬、ドライな関係じゃないといけないと主張する私だが、実際飼ったらもうメロメロになっちゃうと思われ…  

毎朝ルンルンの動画を見ているだけで、すでにこのワンコがいなくなったら私はどうなるんだろうと心配している。ルンルンももう結構高齢だと思う。いつまでも元気でね。

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