本日も「バンドにエイド」の発送作業に追われています。
今、セットリターンの梱包にとりかかっているのですが、CD5枚選択のところ6枚選択してしまっている方がいたり、「バンドにエイド」CD2枚でお申し込みなのに、なぜか備考欄にルナサとか書いてるお客さんがいたりまちまちなので、一人一人ご連絡をとりつつ処理しております。そういうわけで大波はさったものの時間がかかって申し訳ありません。この分だと週末もかかるかなー
「ゆうメール」と「クリックポスト」で投函していますが、どちらも集荷に来てくれないというのもミソ。自分で郵便局(800m)に運んだり、クリックポストは投函もできるので近くのポスト(50m)に投函したり、いろいろ。ポストに投函するにも一度にポストに入るのが20個くらいが限度なので、次の集荷時間になるまで待ったりして… 結構手間がかかる。近所の皆さん、ごめんなさい。数日ポストの大きい方の口は私が占拠しております。
ここ数週間「バンドにエイド」と「ケルト市」のプロモーションが続いたので、本や映画の話題が少なかったと思うのですが、ちゃんと本も読んでました。というわけでたまったブックレビューを投稿していきます。本日はおすすめのこの本。
というわけで、ブックレビューです。
うわー、こういう本がついにでたか! という感じ。美術展だけではなく、いわゆる催し事の裏側がわかる、すごい本。音楽ファンでも特に放送局や新聞主催の大きなコンサートなどに行く人には、ぜひ読んで欲しい一冊。
まぁ、裏側なんて知らなくてもいいだろう、それが良いと思ったら別に偏見もなく参加すればいいだろうと思うのなら、そういう人はこの本を読まなくてもよい。そして、そういう大衆がゾロゾロとメディアに動員されて、企画展を見に行く。一方で本来の美術の世界は、疲弊しまくりだ。
美術展だけではない。なぜ新聞やテレビのような巨大メディアが映画を作ったりコンサートを作ったりイベントを作ったりするのか。その仕組みは一般の人でも知っておいて損はない。
そもそも「主催」とはどういうことか。どういう存在か。「貸しホール」と「主催」のちがい。そしてイベントに出資し、利益回収に余念のない大手広告会社。「後援」とは名前を貸すだけで何もしない。「協賛」はお金は出すが、収益は分配されない等々、チラシを1枚取り上げて眺めただけで、いろんなことが見えてくる。本当にそのイベントを開催することに真剣にリスクをとっているのは誰か、誰が楽をして儲けているのか、いろんなことが見えてくる(かもしれない)。
また国際的な展覧会ともなれば上に座るものにとって華やかな場面が多く、接待づくしの海外出張、オープニングなどセレモニーでのスピーチ、うまくすれば海外の文化団体から勲章がもらえたり… かかわる会社の社長たちや重役たちは大した知識もないのに、そういった旨味を享受するのをやめられない。
また日本の場合、学芸員は「雑芸員」とも呼ばれ、本当に雑用が多く本来の「美術品のことを研究したり多角的に考えたりする時間もないのが現状だという。そして館長も学芸員経験者ではなく企業の天下りだったりもすることから、海外の著名博物館の館長さんとも話がまったくあわない等々。うーん、想像できるわ…
しかしテレビ局はともかく、美術批評を載せている新聞社が資金的にも内容的にも運営している、というのはまずいのではないか…という著者の指摘には大きくうなずくしかない。しかし今や部数が減っている新聞社にとって事業部のこういった収入は馬鹿にならない。うーん。また著者も外国政府から小さな勲章をもらったそうで、だからこそあえて書くが、勲章をもらって喜ぶのはジャーナリストにふさわしい姿ではない、とも書いている。
これ、ほんとに悩ましいところで、仕事のできる人なら上や横からのそういった企画を受け止めつつ、何年かに一度こっそり自分のやりたい企画を実現させていく…というのがいいところではないかと著者はいう。うーん、日本の組織で働くって本当に大変。
例えばコンサートの制作も大きなツアーとなれば私ですら2年はかける。大きなホールツアーであれば、3年かけるプロモーターさんもいる。美術展などは3〜5年かけることもざらだという。
先の大坂選手の広告の、日本向け作られた広告の子供っぽさ、幼稚さが露呈する。彼女の素晴らしさやメッセージに共感しないで、何がスポンサーなんだろう、と思う。いずれにしても音楽ファン、美術ファンともチラシを手にとってみたときに、そこにどんな政治が流れているのか理解していてほしい…とは贅沢な悩みか? でもお客さんもきっとこういうことにも興味があると思うんだ。
某経済評論家さんが「お金を使うことは社会的なこと」というのを言ってらした。今やお金を持っているものには社会的責任がある。お金を使うことは社会的なことだ。のほほんと、ぼんやりと「可愛いから」「楽しそうだから」「テレビでやってたから」というだけではなく、よく吟味してチケットを買ってほしい。そんなことは小さいながらもバタバタと企画を作っているウチみたいな音楽事務所が願う贅沢なんだろうか。
PS
そうそう、著者がおすすめする「ここならばすべての展示がみたい」と思う美術館は国立近代美術館(竹橋)一館だけだという。紹介されている企画展の一つに2013年のフランシス・ベーコンがあり、アイルランド生まれの画家ということで、私も見に行ったが、確かにすごい迫力だった。これからも要チェックだ。