萩尾望都、すごすぎる『100分de萩尾望都』


めっちゃ面白かった! NHK100分de名著の『萩尾望都』特集。9日まで見られるそうなので、ぜひNHKPlusでご覧ください。リンクはここ。(その後On demandでも見れるんじゃないかな…)このシリーズ、NHKの番組の中でも好きなんだけど、久しぶりに見たねー。今は司会はカズレーサーさんなんだね。

同世代の女性の皆さん同様、私も漫画が大好きだが、子供のころ家が厳しくてあまり読ませてもらえなかったため、大学生以降に読んだものが大多数を占める。かつ同世代の女性の多くの皆さんよりは読めてないように思う。(でも、まだまだ未読の作品がたくさんあるというのはうれしいものだ。これから老後の楽しみにしたい)

萩尾望都の短編集はどれも大好きだが、番組の中でヤマザキさんが紹介されていた二つは特に好きな作品だ。特に番組でも紹介されてた『半神』は圧巻で何度も何度も読んだ。番組の出演者であるヤマザキさんの解釈:実は同じ人間の内側の2面という考え方にはふるえたわ… そうね、自分の知っている自分、そして人から見た自分。それのどちらに現実を寄せていくか。そう思って読むとこれがすごく深い。本当にこれは双子ではなく一人の人間についての話だね、これ。ものすごく面白い。

番組では紹介がなかったが、他に私が好きなのは『百億の昼と千億の夜』。キリスト教や仏教など大きな宗教を興味深い視点で捉えた作品。光瀬龍の原作があるのだが、原作も読んでみたものの漫画以上の感動は得られなかった。というか、難しすぎてうまく理解ができなかったというところ。これをイラストも含む漫画という媒体に落としこんだた萩尾先生、すごい! 登場人物の阿修羅がすごく魅力的に書かれているところと、いわゆる原始的な宗教、祈りみたいなものへの理解が進んだ気がする。今思えばそれが自分の仕事のケルトやヴァイキングのような、キリスト教の下での解釈では理解がおよばないものへの理解につながっていくのだから、やっぱり漫画だといってあなどれない。

そしてやっぱり『ポーの一族』。これより前に番組で紹介された『トーマの心臓』も読んだことがあるのだけど、14歳の少年というキーワードは気づいてなかったな。13歳でもなく15歳でもない、微妙な時期。ヴァンパイアのエドガーとアラン。エドガーの孤独は根が深いものだ。死ねないものは、生きていもいないんだという絶望。それがストーリー全体を覆っている。

話はそれるが山岸涼子先生(あえて先生と呼びたい!)にも人間の生と死をテーマにした作品があり、その作品『朱雀門』にはもっと具体的な内容が書かれている。婚活女子のおばさんを中心にポップなタッチで実は「生」を生きれない者は「死」をも死ねない…というとてもすごいテーマを描ききっている。いやーすごすぎるわ。

一方で『バルバラ異界』はまだ未読だ。これも読まないとなー。気になってはいたんだよな。