がんばれ、荻田さん! 冒険研究所書店


 

日本からグリーンランドへ行く人は、だいたい研究者(科学者)か探検家に分類され、それなりの数の渡航があるけれど、みんなだいたい国際空港があるKangerlussuaqから直行で北へ向かってしまう。首都のヌークに行くのは、わたしも知っているだけで、みんぱくの岸上先生や能町みね子さん、そしてわたしくらいだ。

まぁ、ヌークは言ってみれば、デンマークの飛び地みたいなもんだ。文化もとってもデンマーク。言葉も半分はデンマーク語。わたしはそのあとシシミウトという場所に飛んだのだが、そこでやっとイヌイットの文化とデンマークの文化が半分・半分といったところか。いずれにしてもすごくユニークな場所だった。

そんなわけでヌークに一週間くらい滞在していたわたしは、日本から見たら貴重なヌークの美術館の図録や、トゥピラクの写真集やグリーンランド語の絵本、そしてグリーンランドの音楽のCDなどを持っている。こういう物は北に直行したら得られるものではない(笑)。

加えてグリーンランドのバンド、ナヌークをプロモーションするため自分が誰よりもグリーンランドのことを知っていないといけない。だから本も買ってたくさんたくさん勉強した。これらの書籍も山のようにある。

ナヌーク。いいバンドだった。おそらく歴代THE MUSIC PLANT最大の赤字ベスト3に入るであろう案件だが、本当にこの「お勉強」プロセスは楽しかった。偶然このバンドに出会い(この出会いのきっかけを作ってくれたN嬢には、本当に感謝だ)「お勉強」プロセスの中で新しい世界を知れたり、大好きな作家さんや関係者ともリアルにお話ができたり、本当にこの仕事はこういうところがおもしろいんだよな、と改めて噛み締めた。(で、「お勉強」が終わり、プロモーション方針が終わり、実際、仕事としてスタートしてしまえば、もうあとは苦行以外の何ものでもなかったりするのだが…笑)

グリーンランド、北極圏って不思議な場所だ。行ったことがある人は2種類に分類されるという。「もう二度と行きたくない」人と、「何度でも通ってしまう」人。わたしは後者になりそうだ。いつか体力が回復したらまた必ず行ってみたい。たぶん現地で4泊5日70万くらいかかっちゃうんだけど、犬ぞりのキャンプツアーみたいな、アウトドア未経験の中年女にも体験できそうな観光パッケージツアーにも参加してみたい。もう海外出張なんて、どこに行こうが内容すら覚えていないが、グリーンランドに行ったことは一生忘れない。すごくユニークな旅だった。また絶対に絶対に行きたい。


そして、このたび極地探検家の荻田さんが、冒険研究所を書店にするというのを知った。ナヌークのプロモーションがひと段落した今、わたしがこれらの本を所蔵しているよりも、冒険研究所としての資料や、荻田さんの何かの役にたつ方がずっといいのではないかと思った。

探検家というと、みんな植村直己さんや角幡唯介さんや高野秀行さんやいろんな人を思い浮かべるだろうが、みんなそれぞれやっていることは大きく違う。植村さんは本当はめちゃくちゃ不器用で無垢な人で、でもメディアが巨大だったころ乗せられて担ぎ出された感がある。そんな自分を悩みながら、生きているという感覚を得るため冒険を追求している。

一方で、角幡さんはインディペンデントに自分の内側をぐいぐいと突き詰めていく。高野秀行さんはエンタテイメント系であり好奇心のおもむくまま、それがとても読者を刺激する。そして荻田さんはといえば、冒険や探検が社会に対してできること…それをしっかり考えている探検家さんだ。(というのが、わたしの解釈だけど違っているかしら)

角幡さんも書いていることだが、おそらく探検家・冒険家としての荻田さんの能力は、ものすごく高い。冷静な判断、強靭な体力。そして何より、冒険が社会にできることというのをしっかり意識し、社会に貢献していくべく努力を重ねている。これは角幡さんや高野さんがどんなにすぐれたノンフィクションライターだからといって真似できるものではない。この点、荻田さんは突出している。ものすごく尊敬している。

子供たちを連れて歩く夏のイベントや、今回の冒険研究所を書店にすることもそうだけれど、こういう社会的に頑張る人をわたしは絶対に応援したい。

荻田さんの本もおすすめです。あっっ、やばい。「考える脚」速攻購入したはいいけど積読になっちゃってる。早く読まないと。


ぜひぜひ皆さんもぜひ荻田さんのクラウドファンディングにご協力ください!!!