高野秀行『ミャンマーの柳生一族』を読みました。最高!


高野秀行さんの名著。すみません、ミャンマー情勢が最近の状態になるまで読んだことありませんでした。まだまだ読んでない高野本がある。早く制覇しないと…

で、早速購入。そして購入したあとにKindleでもバーゲンの時に買ってたーーー 失敗! でもやっぱりリアルな本はいいな。

高野さんの本は、たとえ文庫本という限られた中でも装丁が毎度素敵である。このデザイン、字体、帯キャッチ、表紙裏のコピー… すべてに出版社の愛が感じられるよなぁ。 

内容はもういつもの高野本のとおり。もう最初からぐいぐい引き込まれる。そして絶対に読者を置いてけぼりにしない語り口が最高だ。

著名作家(船戸与一)のかばん持ち(笑)という立場で軍事政権下のミャンマーに流れ着いた高野さん。高野さん、なんというか、毎度毎度「流れ着いた」というのがぴったりなんだ。なぜだか。

そして当然のことながら、この二人の珍道中。(船戸先輩がこれまた良い味を出しているんだ)。そして妙にはっきりしない軍事政権下で生活する人々…

ニコニコしているが、やっぱり不穏な空気は拭えない。そして妙に表面だけつくろっている感がある。一応安定はしているものの、これが正しいのかなんとも言えない。そんな感じ。

確かにこのあとミャンマーは解放され一応民主政権が発足し、そして今また軍に支配されそうになっているわけなのだけど…  

やっぱり戦国時代はよくない。理不尽に家族が引き離されたり、命をおびやかされたり… 高野さんの語り口にひきづられてついつい軽く読んでしまうが、いろいろ考えるね。

いつぞやそれこそ高野さんが「辺境チャンネル」で言ってたことだけど、民主主義には欠陥がたくさんあるとはいえ、民主主義は大事なのだ。民主主義な選挙のもと、自分たちで自分たちの未来を決めることは本当に大事なことなのだ。

決めて、それを実行させ、そして失敗してもいい。失敗をすることも含めて、彼らの自由なのだ。(まぁ、いつまでたっても学ばない日本みたいな国もあるけどね)

今だからこそ、読むべき(あ、「べき」ってまた言っちゃった)貴重な一冊。最近のアフガニスタンの情勢などもなんか考える。一方でたとえそれが恐怖政治だったとしても、人々が一定の安定を必要としているのもわからないではない。だって毎日のことなのだから。中東のことはよくわからない…アジアのことも。結局世界は知らないことばかりだ。


PS
昨日のNHKのミャンマーの番組よかった。日本の保守親父たちと軍との癒着も取り上げている。