ギリシャ出張(DAY 5)最終日 ピリッポイ古代遺跡〜ナツコごっこ〜ヤヌシュレクチャー〜最後の夕飯


さぁ、またもや海沿いの道を走って、朝ごはんを食べて1日が始まった。今日はもう疲れたし、1日うだうだするかなー ブログも書けてないしーとか言ってたのだけど、直子さんが遺跡に行ってみようという。

そしてやっぱり行くならあまり暑くない時間帯に動こうということで、さっそく遺跡へ。

世界遺産なんだよー ここ! なお遺跡の詳しい情報は、この投稿の一番下に貼り付けてある直子さんのブログを参照ください(と手を抜く私)。









こんなに乾燥しているのにお花が咲いている。

しかしこれだけ巨大な古代都市で、劇場がしっかりあるのがいいよねぇ。こういう場所でウチもコンサートやりたいよなぁ。

と、ここまで考えて、よく考えたら、アーティストもお客さんも日本である必要はなく、海外でそういうことを日本資本で企画したら面白いかも…というまたもや危険なアイディアが脳裏に浮かぶのだった。今や日本がどうしたとか、そういう視野で考えてたら何もできないものねー。いつかやってみたいなぁ。









ここちょっとブースみたいになっているから、ここでケルト市やったら良くない?という話に。


いやー やっぱり来てよかった。しかし、とにかく暑いので、アイスを食べて、木陰でうだうだしてホテルに戻る。

再びビーチに行こうとしたら週末のせいか激混みで空いているパラソルもないので、仕方なくホテルのプールへ。こちらは空いていました。


泳げない私は浮き輪を買ったよ。大きなやつ!! 12ユーロ!


直子さんにこういう写真を撮ってと指示出しをしてみるも、直子さんも「うーん、なんか違うなー」と試行錯誤。どうも私にはナツコは無理みたいで…

何が違うんだろう!!? 視線? 逆光? サムソンさん、うまいよなぁ。私はナツコにはなれない。
しかしこのあと驚愕の事実が!
間違ったー こっちのイメージかーーー

…というわけでナツコごっこしているうちに早くも夕方に。
今日もまたレクチャーあり。街中の広場に戻るべし。それにしてもKavalaの夕方は気持ちいい。屋外


まずはテッサロニキの劇場のディレクター、パノスさんのギリシャ語でのレクチャー。英語のサマリーをプリントアウトしたものを渡されたけど、それより内容はうんと濃いように聞こえる。パノスさんは英語も上手なので、英語で聞けたら面白かったかも。

それにしても、うちのアーティストをギリシャでツアーさせたいよー


しかし素晴らしかったのは、このあとのヤヌシュの講義。

いや、ちょっとWake Up Callというか、思い出した。私は何のためにこの仕事をしているのかを。ヤヌシュいわく、伝統音楽を演奏するということは先代から受け継いだ宝物を多くの人とシェアし、次につなげていくことだ、と。

そうだった。助成金がどーしたとか、年度がどーしたとか、メディアがどーしたとか、プロモーターとかエージェントとか、そんなことは、どれも重要ではなかった。重要なのは、これだ、これ!! 

ヤヌシュいわく、伝統音楽とは先生から生徒へ受け継がれるもので、言語や母語と一緒。この大きな流れの一部に自分がどうしたらなれるのか、それについてお話しします、と。

伝統音楽をきちんと勉強するのはすごく大事。学校に教科書やテストがあるように伝統音楽には巨匠、マスターたちがいる。彼らに直接学ぼう。(ここで例の巨匠達の動画が流れる)

彼らとコネクションを作って、友情を作りあげる。宝ものを手に入れたことに感謝し、それを広めることに貢献しよう、と。

確かにこの世の中にはフェイクなフォルクローレもたくさんある。大袈裟なステージ・アンサンブルとか。それらと本ものとの違いをしっかり見極めよう、と。

80年代にポーランドでアンジェイ・ビジェンスキーが発見した伝統音楽は、本当に素晴らしいものだ、と。彼の講演を聞きに行って、自分は「これこそが自分の音楽だ」とわかった、と。メロディがいったいどこから始まって、どこで終わるのか、それもわからない不思議な音楽。でもエモーションとパワーがとにかくすごい。

この音楽に出会って、僕は20代でヴァイオリンを演奏しはじめた。これははっきりいって遅いほう。でも巨匠たちを村々に訪ね、曲をひたすら学んだ。

目の前で音楽がクリエイトされていく様はジャズに近いかもしれない。とにかく巨匠達の音楽は素晴らしく、何も帰る必要もない。まるで全く新しい原語のようだ。

この原語を手に入れればOKなのだ、と。そしてそのソーシャルファンクションを知ることも大事。冠婚葬祭のための音楽なのか、宗教のための音楽なのか。そしてどうやってこの音楽に対して踊るのか、も。

実はポーランドの音楽はダンスを知ることでとてもシンプルに楽しめるようになる。ダンスは人間の身体の動きであり、そこに奇跡が起きる。ダンスと音楽がシンクロするんだ。

音楽によって何を表現したいのか。悲しみか喜びか。90年代に始めた僕たちの活動は最初全然広まらなかった。でもダンスをしかけることによって、状況が動いてきた。

これはハンガリーの「House of Dance」のムーブメントと一緒だ。この活動がのちに(自分が毎年主宰している)ワルシャワのマズルカ・フェスティバルになった。

ちなみにハンガリーの「ハウス・オブ・ダンス」については、こちらの本に詳しいです。


ポーランドの音楽もいわゆる3ビートだけど、そのビートがEvenではないのが特徴だ。バルカンのビートも同じだよね。少しずつそうやって世間が注目しはじめた、友達を巻き込み、そのグループに責任が生まれ、だんだん強固なムーブメントとなった。

伝統音楽が伝えるメッセージ。それを共有できれば一緒に演奏することができる。最初は誰もが無視していたが、徐々にジャズのミュージシャンやクラシックのミュージシャンも伝統音楽とは何かということに興味を持ち出した。

2010年からは会場をいっぱいにできるほどフェスティバルは大きくなった。

伝統音楽はとにかくネットワークが大事。参加してもらう、経験してもらうことが大事。
それによってネットワークは大きくなり、文化庁みたいなところも注目してくれるようになった。とにかく人とのつながりが大事なんだ…

以上ヤヌシュの講演でした。気がついたら、必死にメモをとって聞いてました。

ちなみにこちらがその巨匠達の演奏。もうこの動画収録当時90overで、現在二人とも亡くなっているのですが、正直理解ができない。メロディのどこに頭があるのかがわからない!? どうやってリズムを数えるんだ?

でもこれは単純にエネルギーを感じればいいんだ、ってヤヌシュは言ってた。基本即興で規則せいがないのが、この音楽なんだって。





なんかすごいよなぁ、ヤヌシュは。このレクチャー聞いて、すっかり惚れ直すというか、この人、本当に伝統音楽のために生まれてきたような人だなぁって思った。私たちスタッフはとてもじゃないけど、追いつけない。

明日は私も帰国だし、ヤヌシュたちは飛行機の関係でもう1日ここに滞在するということなんですが、基本的に最終日ということで、ヤヌシュたちと夕飯に向かいました。その道中もマネージャーのアーシャ(ヨハンナ)と話をしていて、ヤヌシュは本当にすごいという話になりました。

私も日本の彼のコンサートプロモーターとしてヤヌシュの返事が遅かったり、彼がいろんなややこしいことを言い出す時は、「こっのやろー」と思うこともしばしばあります。(あ、でもDon't Worry。そんなのはどのアーティストに対してもしょっちゅうですから!)でもこういう話を彼が熱く語るのをみちゃうと、やっぱり彼はすごいと思う。信念の人です、ほんとに。

ヨハンナも、彼女がマネジメントしているバンドの中にはヤヌシュよりも利益を生むアーティストもいるんだって。「でも私はこれが結局一番好きなのよねぇ」なんて言っちゃうヨハンナも、とっても素敵だと思う。

とにかくヤヌシュの講義、すごくよかった。今度日本でもやりたいなぁ。そしてそれは音楽だけにかぎらず、伝統に関わる人たち全ての人たちにアピールするものだと思うんですよね。うーん、ほんとにすごいわ。


そしてギリシャの食べ物もすごい。このレストラン、もう何度めだろう(笑) 彼らのお気に入りの場所。




この奥のタラコみたいなやつが良かった。これをパンに塗って食べると無限ループ。


シュリンプ・パスタ。トマトソースで激ウマ。

とまぁ、最終日はちょっと変わったものを食べましたが、とにかく美味しかった。ヤヌシュたちとも今後の仕事の話をしたりしてとても充実したディナーでした。

それにしても、ノルウェーで始めて会った彼ら。よくここまで縁がつながりました。またギリシャみたいなところで会えるってのがいいよねぇ。地球は狭いわ…





レストランには、野良ワンコも来るよ。



最後はまたもや水道橋コンサート(笑)アラチェリが連れてきているスペインのバンドを数曲聴いた。なかなか良かった。「スペインのバンド」とか私がいうとヤヌシュが「バスク」と言い直すのが、これまた良かった。さすがだよなぁ。



こちらは直子さんのレポートです。