角幡唯介・阿部海太『ほっきょくでうしをうつ』 これは圧巻!!!




すごい本が出た!! このブログでも何度も紹介している私の大好きな探検家の角幡唯介さんが北極でジャコウ牛を打って食べた話を絵本にしたものだけど、一言では簡単には片付けられない凄みがある。

これは角幡さんのヒットした『極夜行』ではなく『アグルーカの行方』の時の旅がベースになっている。

だから実際歩いていた時、これに書かれているように角幡さんは一人ではなく荻田さんが同行していたし、親子牛にとどめをいれたのもそれぞれだし、そのあとお腹を壊したシーンとかめっちゃ面白い(角幡さん、荻田さん、ごめんなさい)。

だが、これはそんなごちゃごちゃをすべて削ぎ落として他の動物の命をうばうということの真髄が表現された物語だ。

そういやトークイベントなどに行くと、角幡さんはその文章力のものすごさから「フィクション」を書かないのか、とよくファンの人に質問されているが、こういう手法ならありうるのかも、と思った。

角幡さんがどっかで言ってた「(実際に起こったことを積み上げる事ではなく)一気に真実を表現のがフィクション」ということなのかなともちょっと思った。いや、ファンの勝手な思い込みか?

とにかく角幡さんがずっと今までのノンフィクションでたくさん書いてきたことの何か大事な部分のすべてが平仮名だけのこの文章に凝縮されているようにも思った。

もちろんイラストもものすごい凄みがある。筆の動きが感じられる迫力のイラストだ。

あまりにすごいので花と一緒に撮影してみた(笑) 早くも今年のNO.1決定かも?





他の動物の生命をもらって、次の世界、命が続いていく感じがこのピンク色によく現れている。

それは東京にいたとしても、食べ物を食べた時に感じる身体があったまる、あの感覚かな。それはスーパーで買ってきたものを食べても感じる、人間の動物としての感覚なのかもしれない。いやー、ほんの少しの文字数なのに、めっちゃパワフルな読書体験でした。