一気読み!! 谷口真由美『おっさんの掟』を読みました。これは共感を呼びますわ…

 

小学館さん、帯はちょっと「煽りすぎ」です(笑)

本当によく書いてくれた!と思う。だってすべて実名だよ、これ。すごい勇気ある。っていうか、記録しておかなければダメだと思って書いたという谷口さん。本当に素晴らしい。

なんか久しぶりに目のさめるような一冊だった。めちゃくちゃ感動した。よくここまで書いた。でも「わかりみ」がありすぎるよ、これーーー 

私もまずは帯につられ、最初、めっちゃ私も鼻息を荒くして読み始め、1〜5章にいたるまでは本当に詳細に書かれており「うわー」「あるあるだよなぁ」と思いつつも読み進めた。

でも、ちょっと細かすぎやしないか…と思ったのも事実。でも最後の6章でぱーーーっと目が覚めるようなすごい感覚がやってきた。

これ、これ、これ! 最初の5章がなければ、この6章の説得力はなかっただろう。

なんでおっさんはそのままそこに存在しているんだろう。若い人たちや女性は、このままではつぶされてしまう。こんなんじゃダメだ。

これがラクビー協会だけではないのは、もう明らかな事実。日本社会に巣食う「おじさん」たち。いやーーー 一気に読んだわ。あっという間だったわ。

本当に問題がこんなに山積なのに、なんでどの問題も解決していかないんだろうと思ったら、それはそのまま逃げ切れればいいと思っているおじさんたちに社会が牛耳られているから。谷口さんの言葉を借りれば「若い人のために人肌ぬぐなんてことは地球最後の日が来てもやらない」。

これじゃこのあと何十年もそこで生きていかなくちゃいけない若い人たちが可哀想すぎる。

いや、こういうの、わかるよね。「おじさん」たちがダメじゃない会社は、そして多くの女性社長の会社は、ちゃんと若い人たちが育っているもの。

しかし谷口さんの言うとおり、ラグビーって微妙な位置なんだよなぁ。野球でもないし、サッカーでもない。そういえば、五郎丸さんとか流行っている選手がいたよなぁ…と一般の認識はその程度。

あとは強豪アイルランドに戦ってえらい盛り上がったこともあったので、それは私も覚えている。日本チームの選手たちが国際色豊かだということも、すごく感動した。

普段スポーツ観戦しない私もその程度は覚えているのだから、スポーツ好きな人はもっと覚えているだろう。でもそれがちゃんと根付いていかない。一時の「神風」で話題が去ったら、とっとと終わっちゃってる。それがラグビーに対する世間一般の考え方。

ラグビーを愛する谷口さんいわく「ラグビーこそ、いろんな体格、性格の選手が活躍できる多様性を体現した素晴らしいスポーツ」なんだって。そこをしっかりプロモーションしなくちゃダメだよね。

それにこんなに時間が取られる大変な仕事だったのに、最初はまったくボランティアだったいうのも、びっくり。出るのは交通費と宿泊費一泊一万円(爆)。

うーん、名誉職ならともかく、こんなにフリーの人の働く時間を搾取しておいて、これはないだろう。いったいどういう世界なんだろうか、これは。

それにしてもまさに「おっさん、あるある」の嵐だ。自分の言ったことを覚えていてくれない、一度話したことが、いつのまにかなんの説明もなく立ち消えになっているなど、もう頷く箇所、多数。

そして「相談」ではなくいきなり「決定」で物事がやって来るところなども…あぁ、もう共感でしかない。

私はもうフリーになって長いし、仕事相手は厳選してきたので、もうほとんど仕事できないおっさんと組むことはないラッキーな自分なのであるが… それでも…それでも時々自分が相手を選べない立場になることもある。

例えばクライアントの担当替え、取引先の社長の部下、公的機関に務める人々…相手を 選べない。そういう時、やっぱりそういう世界においては、この「おっさんあるある」を思い出してしまうのだ。

(ちなみにそういう時、どうやって乗り切るかと言うと、その人の長所を見つけて一所懸命その人を好きになる努力をする。それでもダメな場合は諦めて、とっととこちらから距離を置く。自分を犠牲にしたりしない)

でも谷口さんもおっしゃるとおりで、本当に素敵な、努力家の素晴らしいおじさんたちもいる。本当に未来を心配し若者や女性のやることを気にかけてくれる人も。でもそう言う人たちは「おっさんの海」を渡っていけず、次々沈没してしまったり…。

あぁ、もうっっ。ヴィヴィッドに思い出すよ、サラリーマン時代よ。

ていうか、ラグビー!! 公益財団法人が、これでいいのかいっっ(怒)

でも谷口さんに川淵三郎さんがいたように、私にもラッキーなことに今まで働いてきた中で尊敬できるおじさんちも何人かいた。

川淵さんの「(迷ったら)大義は何かに立ち戻れ」はめっちゃ響く。そう、仕事で迷った時、何が当初の目的だったのか、手元の目的ではなく、大きな目的を見失っていないかをよく考えることはとても大事なのだ。

目先のことではなく、本来の目的を何度も何度も確認すべきなのだ。そこからずれなければ、大きく間違うことはない。

それにしても、この自分たちと意見の違う人を仲間はずれにして情報などを共有せず、孤立させるこの感じ。わかりみがありすぎる。

またレポートをちゃんと書けない、いい加減なおっさんも… 大企業だから自分は大丈夫だと、あぐらをかいてるおっさんも…  あー おっさん、あるある! そしてあの企業とこの企業(本では実名で書かれてます)のパワーの駆け引き… あぁ、もうあるある!!

谷口さんの「全日本おばちゃん党」の活動とか、私は全然知らなかったよ。谷口さん、おばちゃん党の復活を激しく求めます。

私、東京の支部やりたい! 本当におっさんの世界では常識が全然常識として扱われていないのが、本当にやばすぎる。日本はこのままだと滅ぶよ、マジで。

そして谷口さんは、このおっさん化は老若男女共通の病理だとも解く。高齢の男性だけではない。いたよなぁ… 保守政治家に。何もわからないのに突っ立てる感の女とか、極右で笑顔が怖すぎる女とか…あぁ、もうわかりやすすぎる。

またメディアの報道にも気をつけろと、谷口さんは警告する。さすがに「美しすぎるなんちゃら」はもう誰も言わないにしても、女の敵は女という構図に何事でもあてはめたがるのはマスコミの常套手段だ。気をつけないとね。

谷口さんの言うとおり。嫉妬という文字は男編にした方がいいんじゃないか… 。

そして、ラグビーの良さって何ですか?と聞かれた時に、きちんとプレゼンできるおっさんがいなさすぎる、と。

みんなわかりやすい言葉で説明するのができないから(面倒くさいから?)、「やったらわかりますよ」で片付けてしまう。

「わかる人だけがわかればいい」という時代はもう終わったと谷口さんは警告する。「ラグビー村で通用する言葉以外での答えができない」まさに「おじさん、あるある」だ。 

あぁ、このおっさんたち、すべてが引退するまで私たちは待たないといけないのでしょうか。そんなことしてると、知らない間に軍に加担して武器買うお金に自分の税金が使われていたりするんだよ。

知りませんでしたじゃ、ダメなんだよ。本当に手遅れになる前に…

この本を知るきっかけになったポリタスTV。過去放送は普段アーカイヴされて会員しか見れないのだけど、この回はずっと無料で公開しておくそうですので、ぜひご覧ください。 

ちなみに津田さんによれば、この本、Kindleで読むと面白いんだそうで…。というのも、Kindleで購入して読んだ人は自分の気に入った箇所をマークしておく習慣がある。自分が響いた箇所などをマークする以上に、人がマークした箇所もわかったりするのだそうだ。

そして、そこで共感の嵐がふきまくっているそうなのである。ちっっ、しまった。私もKindleで買えばよかったなぁ!(笑)

津田さんも感動しておられたこのページですが…


同じ箇所が関西のラジオでも紹介されていたよ(笑)Twitterで教えていただいたラジオ番組。谷口さんがゲストとして出演した時のもの。関西のノリが楽しくもあり、加えてとてもわかりやすいです。ポッドキャストになってますので、よかったらぜひ聞いてみてくださいね。

おっさんたち…『さよなら俺たち』も読んでほしい。あれもおもしろい、痛快な本だったから。

それにしても谷口さん、ポリタスで聞かれて答えていたけれど、今後スポーツのパワハラなどを止める団体を作りたいとおっしゃってた。うん、それ、すごくいい。

谷口さんにとってこの本は自分が次に行くためのステップだったのだと思う。私もあるもん。こう嫌なことって、自分の前向きな性格もあって、すぐ忘れちゃうんだわ。だから私自身は大丈夫なんだけど、それじゃ自分の経験が社会に活用してもらえない。それだと誰も何も学ばない。

それじゃいけないからと、自分の記憶がはっきりしているうちに…ということで、書いて発表する。だからあえて詳細に書いたそうなのだ。そして自分は次に行く。

そして本当に強い人は前を向いて、つねに「今」を一生懸命に生きている。谷口さん、素晴らしいよー 本当に刺激的だ。私もそうありたい。