ステージでの飲酒 才能のある人の振る舞いをどこまで許すのか…

 


昨日の夕日 at 岩渕水門


まったくや。いっとき盛り上がっていたこの話題。

なんかいろいろ考えるよなぁ。確かに酔っ払ってもいい演奏をするアーティストはいる。でもうちの子たちみたいに器楽系のバンドは「酔っ払うと自分は気持ちいいけど、あとで録音を聴くとダメダメだなって思うことが多いんだよね」と多くのバンドがライブ中は禁酒だ。

そして100%シラフでみんなステージにあがっていく。ステージ前に飲むのは… ちょっと思いつかない。みんな相当、お酒強いけどね…

そうそう、グレン・ティルブルックはよくビールをステージで飲む。二部構成の自分のソロコンサートにおいて、1部で1杯、2部でまた1杯のジョッキ(イングランドではパイントグラスになる)の生ビールを飲むのはよく知られている。

このビールの飲み方にグレンのストイシズムが現れていて、自分でペースがしっかりコントロールされていることがわかる。ちょっと説明しますね…

1部が始まり、曲間でグレンは本当に美味しそうにビールを飲む。そして、曲が進み、このパイント・グラス…じゃなかったジョッキをグレンが高く持ち上げて最後まで飲み干した時、「あ、次の曲で前半が終わりだな」と観客は思う。

グレンが楽屋に休憩に帰ると、そこにはまた冷え冷えのフレッシュな生ビールが待っている。

続いて2部。2部が始まると、またフレッシュなビールがステージに置かれている。曲が進んで、またグレンがビールを飲み干すと、「本編終わりだな」と観客は無言のサインを受け取る。

…と、お客さんが気づいているかわからないけど、私はいつもそれを思う。あ、ビールが終わった、次のビールを楽屋に用意しなくっちゃ、と。

確かにグレンは酔っ払うし、飲む量もものすごい時があるけど、ライブ中はこれ以上飲むことは絶対にない。

他に酔っ払ってご機嫌でステージに行くのはポールぐらいかな…。御大はもっぱらワインで、サンテミリオンがお気に入り。高いワインが好きなんだ、ロックスターは(笑)。

それにしたって絶対にライブは外さない。っていうか、外すようなアーティストと私は一緒に仕事をしない。

いや、いいんだ、自分のライブなら別に外しても。自分の名前が汚れるだけだから。

この日本人アーティストが悪いのは、一点だけ。人の現場でそれをやったことだ。人の現場に来たら、それが後輩だろうが、師匠だろうが、自分の身内のコンサートだろうが、主役のルールに従うべきだろう。

それが主役と、それを見に来ているファンの人たちに対する礼儀だ。最低限の。

お客はみんな主役の名前のもとチケットを買っているのだから。チケットを売っている・買っている人のルールに従うのが基本だろう。それがひいては「客層」だし、お金を出してその場に集まっているこのコンサートのクライアントなのだから。

なんかこの件について、多くの人があれこれ言ってるけど、ここが結構皆さんが指摘していない重要ポイントだと思ったので、私が思うポイントをここに書いておく。

…っていうか、ポイントはそこにしかないだろう。

人の現場でそれをやったらダメだ。ましてや打ち合わせした演出をすっ飛ばすなんて、ひどい裏切り行為じゃないか?

自分の現場で酔っ払って、それをファンが許すとか許さないとか、外野が口を出すことではない。そんなのはほおっておけばいい。誰に迷惑をかけるというのか。嫌だと思うならお客さんは離れればいいことだし、もう二度とチケットを買わなければいいことじゃないか。

人の現場に来たら、人のルールに従う。どんな仕事だって、そうあるべきじゃないか?

あっ、いかん。また「べき」とか言っちゃった(笑)。こんな風に正義の話をする人間は要注意だよ。正義は他人を幸せにしない。でも書いちゃった。

私もいったい何様のつもりだ。誰に何を言えた人生を送っているんだ。

というわけで、この文章、ずっと前に書いていたんだけど、プロモーションしないといけないイベントが続いて、アップするのが遅れました。でもポイントは極めてクリアだと思うよ。

というわけで今日も張り切っていきましょう!!