民藝さんの公演「ルナサに踊る」に行ってきました。観劇、久しぶり、感激!(笑)
この一個前の観劇ってなんだったっけと思ったら「ゴドーを待ちながら」だった。
ベケットはこの作品をフランス語で書いたらしいけど、アイルランドって本当に舞台や演劇の世界でも本当に強いよね。「演じる」ということに向いている民族なのかもしれない。「演じる」ということ自体、ケルトなのかもしれない。
文学や、感情を「言葉にする」というのもそうだけど。
アイルランドはノーベル文学賞とか人口比で言ったら一番排出している国だと思う。すごいな。
で、「Dancing at Lughnasa」ですよ。ブライアン・フリールが書いたドニゴールに住む貧しい5姉妹の物語。たくさんの賞を取って、世界的に評価されているっ脚本だ。
長女は学校の先生で家計をささえ、あとの4人は編み物でわずかな収入を得ている。末っ子はシングルマザーで7歳の子供がいる。物語はこの子が大きくなって、おばさんたちと暮らした過去を回想する形で始まる。
彼女たちが住む家におじさんがアフリカの駐在任務から帰還したり、ボーイフレンドがやってきたり…という内容。ざっくり言っちゃうとエドナ・オブライエンの「カントリー・ガール」にテイストが似ているかな。
色んな意味で切ない。この頃の未婚の女性の人生って本当に出口がない。それでも小さな幸せもある…って感じ。っていうか、彼女たちは私よりも楽しそうだ。フェミニズム視点から女の人の人生をいろいろ考えたりもできる作品。
パット・オコナーの映画も有名だけど、見てない。日本で公開されなかったけど、当時ビル・ウィーランが音楽を手がけてそれなりに話題にはなっていた。まさに「リバーダンス」の大ヒットの直後だったから。
今、思えば、メリル・ストリープのアイルランド語なまりの英語を聞くだけのためにも、アイルランドあたりで見ておくべきだったと思う。彼女の英語はすごい。ポーランドなまり(「ソフィーの選択」)、デンマークなまり(「Out of Africa」)、イタリアなまり(「マジソン郡の橋」)などなど。
ま、映画は見逃しちゃったけど、いつか配信で見れることもあるかもしれない。英語版のDVDでも探していみるかー
さて、話を劇に戻すと販売していたパンフレットに、我らが山下理恵子さんがアイリッシュダンスについての短いエッセイを寄せていらっしゃるのが、これまたすばらしいので要チェック。
アイリッシュ・ダンスについての研究は本国よりもアメリカよりも何よりも山下さんの視点が一番フェアで正しいと思う。アイルランド人とダンスについての関わりを体系的にきちんと説明できるのは世界広しといえども山下さんだけじゃないだろうか。
そう、そして「ルナサに踊る」ではアイルランド人の生活をとてもリアルに感じることができる。山下さんも書いておられるが生活におけるラジオの存在はとても大きい。これは現在のアイルランドでも同様に思うことだけどね。
とにかく、おととい初日でまだ何日かやってますから、ぜひチェックを!
さて、劇中音楽でうちの「ルナサ」を使ってもらえないかなーと民藝さんのスタッフさんにお土産でCDを持っていったりしたのだけど、なんと今回の劇のエンディングはこの曲だった。
最初「あれ?」ととっさに曲名が思い出せず。あれ、これウチのCDだよな…あ、LAUだー LAU …で、しばらく考えて正確に思い出した。エイダン・オルークだ。エイダンのこのソロ・アルバムは大好きで、私は本当に擦り切れるほど聞いた。
本当に良い曲。劇団の誰かが見つけて使ってくれていたんだろうか。
うちのCD、本当にテレビの旅番組とかでよくかかってる。アラマーイルマン・ヴァサラットですら良くワイドショーの殺人事件の報道とかでかかってた。先日とある作曲家さんとランチしてて、そういうのは丁寧に申請すると結構な金額になったりもするらしいと教わった。
考えるよなぁ。
何はともあれ、民藝さんの公演「ルナサに踊る」は紀伊國屋サザンシアターにて6月4日まで。詳細はこちらへ。