たまっていたブック・レビュー行きます。
期待していたリリー・フランキーとの対談だけど、いまいちかなぁ。これ文字起こしというか編集がまるで手をいれていなくて、単に書き起こしただけのような感じ。かつリリーさんも是枝監督も照れがあったのか、リリーさんは終始エロ話してるし、期待していたほどじゃなかった。
でもリリーさんの「すずが台本もらった? ということはあいつは大人枠だな」と言うところがあって、それはちょっと笑った。(是枝監督はご存じの方も多いと思うんだけど、子供の俳優さんたちには口伝えで脚本を伝えることで有名なのだ)
樹木希林の短い文章もあって、それもよかった。とんずらした配給会社の社長が何食わぬ顔をして業界に復活していたりとか。こういう話は樹木さんじゃないと言えない。
一番良かったのは、実は「まえだまえだ」のお兄ちゃんとの対談。なんか自然で、本当にこんな感じなんだろうなぁ、という空気が伝わってきた。「海街」での弟の演技を見た話とか。
是枝監督も「(柳楽)優弥は大丈夫」と言ったり、お兄ちゃんに「この子は作り手側になるな」と言ったり。
巻き込んだ子役の子については「何の責任も取れないんだけど、責任は感じる」という発言するとこに響いた。
次を撮るなら、「奇跡」よりも「誰も知らない」よりもすごいものが出てこないと声がかけられない・主役をやった俳優さんには、越えられる何かを自分で見つけないと、また声をかけられない、と。わかる!
前田のお兄ちゃんは「樹木希林、阿部寛、YOUさんはよく出てますね」と。
でも監督しては樹木希林さんは自分の想定をいつも超えてくる、すごい人だ。YOUさんは演出家として来てもらっている。
俺がやりたいと思っていることを一番わかってくれるから、いてくれるととても助かるし、同志的な感じ。(わかる、めっちゃわかる)阿部さんはかっこい悪いから好き。かっこいいんだけど、いくらでもかっこ悪く撮れる、などと話す。これがなるほど、なのだ。
あと分福のスタッフのコメントも良かったなぁ。是枝監督って絶対に怒ったり声をあらげないんだけど、唯一あげたのが「蒸気機関車とのツーショットを撮りそこねた時」とか(笑)。とあるスタッフが「怒られるのは私だけです」と言ったり(笑)。
うらやましい。是枝監督に怒られてみたい!
あ、あと好きだったのが、釜山国際映画祭のヤンシオンさんの言葉。「どんな映画が良い映画か」と聞かれた時、「劇場を出た時に始まる物語を持つ映画」「答えではなく問いをくれる映画」=まさに是枝作品。
などなど響いた箇所をメモ。でも文字数が多いから、読み終わるまで大変だった。情報量多い。
PS 全然話は変わるが、樹木希林のすごさで誰も彼女のことを悪く言えない空気の中、先日私のすごく尊敬する人が彼女を批判しているのを聞いて、ちょっと嬉しく思う。みんな関係ない人たちまでもが樹木さんを神格化しすぎだ。それでも是枝作品での樹木さんは、確かにすごい。