いやーー やっぱりすごいな、マシュー・バーニーは。
ポール・ブレイディが出ているので、また見てきた。マシュー・バーニーの映画…というか、アート・フィルムと呼んでいいと思うんだけど『クレマスター』シリーズの3。
これって「ケルト」がテーマなんだよね。シーンの最初はジャイアンツ・コーズウェイに住む巨人から。緑が美しい大地に、魔物が住む…
その後も出てくるギネス・ビール、そして「再生」のコンセプト。
是非是非ケルト・ファンにも、この世界のトップ・アーティストが「ケルト」をどう取り上げたのか見てほしい。
それにしても一度見ているはずなのに、自分の記憶とまったく違うから、そこが面白かった。
まずポールが出てくる箇所。この映画、長くて3時間かかるので途中休憩が入るんだけど、自分の記憶ではポールが出てきたのは後半の頭の方…だと思っていたら
全然違った。登場するのは前半の後半だった。
あと記憶に残っているより、本当にたくさん出てきた。
エレベーターの空気音をチューニングするところは、なんかよく覚えてる。
しかも、えっ、ピアノなんか弾いたっけ…というシーンも。いや、ポールはよくライブでもキーボード使うし、最初の楽器はピアノだったからピアノは弾けるんだけど、この映画でこんなに弾いてたっけ。
あと結構ポールの顔のアップが多い。こ、怖い…(笑)全然笑わない、というか表情まったくなし。すごいな、ポール。すごいな、演出。
ポール以外のシーンにおいては、結構グロいシーンもあり「うわっ」と思ったり「こんなの見せられたら一生忘れられないよ」みたいなシーンの連続なのに、数年たつとそのすべてを忘れている自分に感動すら覚える。
っていうか自分が単にボケたのか。
そのくせ車がボッコボコにされるシーンはめっちゃよく覚えている。なんでだろ。何度も出てくるせいか?
そして最後のグッケンハイムでのシーンは圧巻。あの義足のモデルさんもすごい。
あとポールが「Irish Tenor」とクレジットされている音楽だけど、一回目に見た時は、あまり印象に残らなかったけど、気にしながら見ていると、結構頻繁にポールの声が流れてくるんだよね。
でもどうもアイルランドの伝統楽器(本物を使っているのかサンプリングしてるのか?)とか、ダンス曲の取り上げ方は、クラシックの作曲家のそれであった。なんか根本が違うんだよな…
正直、サヴァールがケルトやった時も思ったけど「なんか違う」
…あっ、言っちゃった。世界のジョナサン・ベプラーに!!(爆)
でも本当だもの。まぁ、伝統音楽を普段聴いている人なら一発でわかる、この違和感。
でもそれが嫌かというと、そうでもない。なるほどこうするのね、とおおらかな気持ちで見ていられる。映像が圧倒的なせいか…
だいたいポールにシャーン・ノスのスタイルで歌わせるのも実はどうなのよ、と言う気がしないではない。ゲール語だって、北出身のポールはネイティブじゃないし。(どうやらポールは作詞も担当しているらしい)
が、これが意外とハマってる。これはこれで結構面白いのではないか…と思った。というか、この映画の話がなければ、ポールもやらなかった事ではあろう。
そう思えば、これも相当な評価に値する。
っていうか、映画って結局は監督のもの。監督の世界観に自分がどうフィットさせられるかということなんだと思う。そう言う意味では、マシュー・バーニーはもちろん、ポールもすごい。
もっと俳優業やればいいのに…って感じだ。そういやメアリー・ブラックが女優をやったミニフィルムもあったな。あれは良かった。
さてさて、今さらながら、公式ページにSNS投稿用のちゃんとした公式画像を発見。さすがにきちんとされている。(クレジットの表記なども丁寧に案内がある。私、適当にしてたけど、今からさかのぼって、自分が書いたすべてのブログにクレジットいれます>主催者様)
まだ9月の第1週まで上映は続きます。詳しいことは公式サイトへ。