読み終わったー 結構、分厚かったけどすごく面白かった!! いやー マーティン、文章めちゃくちゃうまいな。インタビューとかでもいつもすごい良い事言うし、説得力あるんだけど、本当にうまいというか、文章書くの向いてると思う。
マーティン・ヘイズ、まぁここをご覧の皆さんには説明の必要もないだろうけど、一応さっと説明すると、まぁ、すごいフィドラーなんですよ。他の演奏家とは違う。まず伝統音楽に対する態度が違う。
そして演奏の仕方がまるで違う。メロディが何を言わんとしているかを理解し深く掘り下げていく、そういう演奏家。
ちゃかちゃか早いだけのアイルランド音楽とは違う。
まぁ、わかりやすいところで、Tiny Deskとか貼っておきますかね。こちらはDennis Cahillとのデュオ。
そしてこちらが話題のThe Gloaming。
よく聞かれた、野崎さん、The Gloaming呼ばないんですか?って。そのたびに私はカチンと来ていた。
私がこのバンドの存在を知らないわけないじゃないのよ! 努力してないわけないじゃないのよ!
でもこのバンドはツアーが不可能で、全世界から来たオファーの中から上位2つくらいしかオファーを受けないことになってんの。今や貧乏日本が、中国やアメリカに勝てると思う?
すみません、最初からキレました(笑)。
まぁ、とにかくマーティンってスペシャルなんです。あのNY Timesが「スティーブ・ライヒの弦楽四重奏や、マイルス・デイヴィスの『スケッチ・オブ・スペイン』に対するケルトからの返答」と呼んだすごい音楽。
まさにマーティン・ヘイズは、アイルランド伝統音楽のマイルス・デイヴィスと言っていいでしょう。
そのマーティンの音がどうやってできたか。それがこの本ではとても詳しく描かれています。
特にページが裂かれているのは幼少期。
子供のころの本当にルーラルなアイルランドの田舎、近所の人びと、近所の演奏家。著名なフィドル奏者でケイリーバンドのリーダーだったお父さん、尊敬する年配のプレイヤーたち、ダメダメだった学校時代(ほんとにダメダメで見てて可哀想になる)、初めて体験するコンテストなどなど……
子供の頃のことって、みんなこんなに鮮明に覚えているもん?! すごい。
っていうか、マーティンの書き方がうまいのか、とにかく臨場感たっぷりなんです。
そしてこのマーティンの音楽を深く深く追求するスタイルが、どうやって生まれてきたのか。その経緯も非常に丁寧に書かれています。
まぁ、細かいことは説明しませんが、とにかくものすごく苦労してる!! アメリカに渡ったのも、なかなかアイルランドでは仕事がたちゆかなくなったからだったそうで、またアメリカに渡ってからも最初は当然イリーガルな滞在だったらしく、本当に大変だった。
そして苦労する中で、自分の音楽を追求し、自分の生き方を変えた一冊の本に出会うのです。そして運命的なデニスとの出会いなど。
特にデニスは、本当にマーティンが無名のころから、彼を支えてきたんですね。出会った当初はデニスの方はかなりポップバンドやバーバンドで稼いで収入の方は安定していたそうです。一方のマーティンは本当に貧乏だった。
だから初期の活動で、デニスがいろいろ協力してくれたことが、マーティンのキャリアにはすごく大きなサポートだったんだそうです。
そして最初のマネージャーでもあるヘレンの名前が出てくるまでも結構時間がかかった。ヘレンは私も何度かあったとことがあるんですが(当時はすでに次のマネージャーになっていた)、そこから先は私が知っている人もバンバン出てきて、かなり面白かった。
終わりの方は最近のバンド(マーティンはたくさんバンドをやっています)についての話に多く裂かれています。The Gloamingの成り立ちは前にもこのブログに書きましたが、他にもMartin Hayes Quartet、そして、Brookelyn Rider、などなど。
しかし全てのプロジェクトがデニスが亡くなった今、どうなっていくのかはまったく想像できませんが、いずれにしてもマーティンの音楽追求の旅はまだまだ続く…と思いますね。
それにしてもマーティン、素晴らしい本をありがとう。
真ん中にカラーのページがあり、写真も数点、掲載されています。マーティンったら、子供のころから全然変わらない!
ふふふ…もう少しこの本の内容を詳細にご紹介するときもくるでしょう。
ま、そんなこともおいおい…