久しぶりに編み物をしながら、ゆっくりドキュメンタリーを見た。「暴かれた英国王室の秘密」
五回シリーズなのだけど、最初の回は王室のファミリー問題とか、ダイアナの暴露インタビューが本当は記者に仕組まれたものでダイアナはまんまとハメられたのだとか、そういうことをまとめたもので、まぁ、普通に見ていたのだけど、すごいびっくりしたのが、その中の「王室に潜り込んだソ連のスパイ」の回。
なんとソ連のスパイがバッキンガムパレスの美術品鑑定の担当者として、王宮の内部に潜入していた!
英国王室(ウインザー)は、もともとジャーマン系で、ドイツに親戚がわんさかと居た。だからナチとも親密にしていた時期があった…というのは、よく聞く話。
そしてこのナチとの危うい関係をあばくべく、バッキンガム宮殿の美術担当アンソニー・ブラントは長年ソ連のスパイをし国を裏切っていたことが発覚したのだという。
それにしてもシンプソンと駆け落ちした兄貴はともかく、あの素敵なジョージ6世までもがナチと親しかったのは、がっかりだ…
あっ、違った。これはコリン・ファースだった。こっち、こっち…
気弱だったけど、努力家だったバーティ。「英国王のスピーチ」大好きな映画なんだよね。
あ、話がずれた。とにかくこのアンソニー・ブラントは、クイーンマザーの従兄弟だったということで、スマートな身のこなしで上流階級の出身、王宮の仕事にめっちゃなじんでいたのだという。
なんかわかる。もう隠せない「お育ち」。私も良い家庭に生まれていたら、もう少し身のこなし、言動に上品さが身についたのかしら… 日本は階級社会ではないというけれど、やっぱりあるよね…
ところがその彼がソ連のスパイと発覚!!!
でもって、さらにおどろいたことに、それがわかったあとも王室はそれを隠蔽していたのだという。
ブラントは地位も社会的信用も失うことがなかった。というのも、1945年のこの時点で、困るのは、こんなスキャンダルが発覚した王室の方だろうということだったらしいのです。そ、そんな!!
お互いの腹をさぐりあった結果、そこに着地させたという結論だったらしい。ありえない。
その後15年、ブラントの件は王室のトップシークレットとされてきた。特にクイーン・マザーは彼を守ったそうで、母という立場であるその力で女王をも封じ込めたらしい。
クイーン・マザーは、可愛く見えて、実はめっちゃ意志の強い女性。っていうか、めっちゃ右寄りの保守寄りの考え方してた。その上、めっちゃ長生きしたし、生きている間は女王に対するパワーも強かった。
可愛いルックスにまどわされがちだけど!! それは映画「英国王のスピーチ」にも出てくる。(あの女優さんも、めっちゃ気がつよそう!)
ブラントのことをマスコミに聞かれたクイーンマザーは「今日はいい天気だこと」と返したそうで、沈黙をガチでつらぬいたそうだ。
可愛いクイーン・マザー。国民の人気はダイアナが登場するまではピカイチだった。
ところがそれを見逃さなかったのが、時のサッチャー政権。
79年11月、サッチャー政権が誕生し、彼女はブラントがスパイだと下院で公表したのです。およよ!!
サッチャーは王室や上流階級の縁故就職やコネ就職を特に嫌った、ということもあるらしい。うわー、そうなのか!?
というわけで、いよいよ記者会見を強要されたブラント。でも結局はあまり多くを語らずクイーンに対しては「女王陛下はこのことを知らなかったと思う」で通したらしい。すごいな。(しかし女王陛下の秘書は間違いなく知っていたと認めたらしい。だから女王も間違いなく知っ低tあ。もう何がなんだか…)
この会見の放送から4年後、ブラントは亡くなったそうです。
しかしそれから何年もたった2014年、カナダを訪ねたチャールズ皇太子がプーチンにあった時、クリミア併合についてプーチンを非難するようなコメントをしたところ、ロシアのジャーナリストが「ブラントからの情報(=英国王室のナチ関連スキャンダル)が公開されるかも…」と言ってきたそうで…。
ロシア、怖すぎる。いや、プーチンが怖いのか。クリミアのことを直接言ったチャールズは、偉かったけど、そんなチャールズなんてひとたまりもない!?
ブラントがロシアにどんな情報を渡したかが問われるけど、英国王室とナチの親密さを示す情報…というのは十分ありうるわけで、その内容はもちろん明らかにされておらず、でもそれが暴露される可能性がある限り、英国の立場は非常に弱い。
ブラントはではなぜスパイになったのか。そこがこれまた面白い。当時ナチと対抗するには、共産主義しかなかった…というのがおおよその見解。
そして、親しい友人も「自分も彼と直接この件について話したことはない」としながらも、おそらく彼が王宮に使える者でありながら、ホモ・セクショアルであったことが原因ではないかと見ているそうです。
当時の英国ではゲイであることは犯罪でした。それがバレれば、間違いなく、王宮での仕事を解雇されていただろう、と。自分のことを認めない国に忠誠を誓って何になるのだ… そういう気持ちが彼をスパイに向かわせたのではないかと、この友人は想像しているそうです。わかる。
*この番組を見て、内容をまとめましたが、私の理解がおよばず、誤解などがあるかもしれません。詳しく知りたい方は、直接このドキュメンタリーをご覧になることをお勧めします。
ちなみにブラントを含むケンブリッジ大出身の五人のスパイは、ケンブリッジ5と呼ばれ、1950年当時英国内で活動していた模様。世界でもっとも成功した諜報活動者たちだったそうです。
そういえば映画「アナザー・カントリー」も、このケンブリッジ5のメンバーモデルになったとされてるよね。思い出した!! 世界中の将来ある若者がイデオロギーに振り回されていた時代だったのかも。
…とか書いてたら、こんな番組が放送になる。見なくちゃ。忘れないで、ちゃんと見れるか!?
面白そう! https://t.co/tkZ9K9zqCZ
— 野崎洋子 (@mplantyoko) December 24, 2022