映画『ぼくたちの哲学教室』を見ました。これは本当に心からおすすめしたい映画です。


北アイルランドの小学校のドキュメンタリー『ぼくらの哲学教室』を試写で拝見いたしました。ありがとうございます。原題『YOUNG PLATO』

北アイルランドの貧しいエリアにある小学校のドキュメンタリー。アイルランドのナーサ・ニ・キアナン監督とデクラン・マッグラ監督の二人は、北アイルランドの争いの影が今も色濃く残る貧しい地域にある小学校を、およそ2年がっつり密着して撮影したそう。

そこにはケヴィン・マカリーヴィーというユニークな校長先生がいて子供達と熱心に向かい合っている。この先生のキャラクター最高。

エルビスが大好きで、おしゃれにも気をつかい、身体をせっせと鍛える。彼の教育方針は徹底した哲学。古典の哲学を持って、子供たちに自分で考えることをうながしていく。

「人生は正解のない問いの連続。考えて、考えて、歩む」

「やられたら、やりかえせ」とお父さんに言われたという男の子。校長先生はそれを叱るでもなく否定するでもなく「じゃあ校長先生がお前の役をやるから、お前はお父さんの役だ」と。「どう思う?」そうやって会話が進んでいく。

校長先生は決して「こうしなさい」「これをしてはいけません」とは絶対に言わない。

いやー、子供達最高。彼らがカメラをまったく意識しておらず自然で、素晴らしい表情が映画に収められた。最後の方にはパンデミック中の取材も含まれている。

子供面白いねー。この年の男の子って、ほんと面白い。昨日は大使館主催の試写会だったせいか、外国人の出席者が多く、子供たちがへんなことを言うたびに会場内どっかんどっかん笑いがおきていた。

校長も最高に魅力的だけど、副校長の女性の先生も最高のキャラクター。100分という長さもちょうど良いし、校長先生が出勤して始まり、帰宅するシーンで終わる感じもよい。最後の先生のコスプレにも大爆笑。

でも見れば子供は白人ばかりで、男の子オンリー。こういう環境は一歩間違うと、トランプ政権を生み出した「勝者ではない負け犬白人男性社会」を生みだしてしまう。

今や高級住宅街の方移民の子がいたり、当然ながら教育にお金もかけられるから成績もよかったりする。

だが、いただいた資料によると、この学校は驚くほどの成績も収めているそうだ。自分の頭で考えることを自然に教えていく、友達を手伝うことを教えていく。そういう基本的なことで、その子の学力、そしてこれからの人生はうんと明るいものとなっていく。

いやー 圧巻でした。ケヴィン先生、とっても魅力的。今回の来日で取材などの記事がたくさん出るかしら。期待大。いやー 教育ってすごい。すごい仕事だ。

こういうの見ちゃうと、未来はまだまだ大丈夫なんじゃないかと思える。本当におすすめです。絶対に見にいって!

でもって先生の北アイルランド訛りがフルックのブライアンにもそっくりで、萌え〜(笑)

最後は来日した校長先生と、監督も登壇。会場からの質問にも熱心に熱く答えるケヴィン先生。いやーいやー 最高の気分になれた夜でした。




 『ぼくたちの哲学教室』は。5月27日からユーロスペースにて上映。詳細は公式ページまで。