プチ鹿島『ヤラセと情熱 水曜スペシャル川口浩探検隊の真実』を読みました! 


読みました。面白かった!

評判通り最高に面白かった。この「みんなはどこまで喋ってるの?」というのは、まさに、このノン・フィクションのキーワードだと思う。まさに…「どこまで喋ってるの?」(笑)

川口隊長は実は全く語らずに亡くなった。奥さんが追悼本を出しているのだが、隊長は家でも真実(真実ってなんだ?)を語っていなかったようだ。

細かいことは省いてはっきり言おう。私がこの本を読んで思ったこと。それは「男ってバカだなぁ」ということなのだった。この感想に尽きる。

そして同時にすごく「羨ましいな」とも思った。これぞ男世界の男の話。女なんか脇役ですらない。出てくるのは男ばっか。まったくこんなバカは女にはできん!! いや、褒めてます、褒めてますとも!

とにかく面白くてスイスイ読める。プチ鹿島さんという人は、私はよく知らない。でも時々ネット上でもお名前を見かけるのだが、ウチ、テレビないんだよね… 。

正直、芸人さんとかよくわからないのだけど、でもこの本は高野秀行さんもツイッターで褒めてらして、この帯の熱量といい、なんといい、編集者も相当力を入れたにまちがいない…と思わせてくれる何かパワフルなものがある。

それに惹かれて購入した。実際売れているに違いない(笑)


で、購入してから、長らく積読となっていたものをやっと読み始めた。スイスイ、しかも時々笑いながらも読み進み、しかし読んでいる最中の私の感想は一貫して「男はバカ」ということだけだった。

が、それがガラッとギアが違うところに入ったのがテレ朝の「アフタヌーン・ショー」のヤラセ事件で消えたディレクターの話題(第13章)だ。ここで、話題がぐっと別の方向にツイストした。

そして「旧石器発掘捏造事件」。そして「疑惑の銃弾」。そこからはもう最高に盛り上がり(笑)、最後の鵜沢茂郎氏の独白は圧巻だった。特にビックダディの話(笑)。そうかぁ、そういうことなのか。

川口探検隊。私は何度かテレビで見てたと思うけれど、それほど思い入れもなかった。ただ高野秀行さんがインタビューで時々「あの探検は本物だと信じていた」と公言されているのを聞き「高野さんって本当にピュアな人だなぁ」とか「探検家ってどっか抜けてんのよね(失礼!)」みたいなことは常日頃思っていたのだった。

まぁ、言ってしまえば、それが「やらせ」であるのかどうかは関係ない。川口隊長は本当にあぁいう人で、この番組については何を語ることもなく亡くなった。そしてスタッフも「みんなはどこまで喋ってるの?」とくるわけだ(笑)。

この本を読み「すげぇ! やっぱりすげーよ、川口探検隊。番組また見たいよー」と言う人もいるかもしれない。が、私はそこまでバカにはなれない。そんな自分は非常につまらない人間だと認めつつつ、この本の感想としたいと思います。

というか、この感じ、既視感ある…と思ったら、そうだ、高野さんの『ムベンベ』だ。あれはものすごいパワフルなノン・フィクションだった。謎の怪獣を見つけにいって、探検家は真実を見つけるのだ!!と心の中でめっちゃガッツ・ポーズを取り感動にうち震えた。あれとどう違うんだろう。

それを言語化できるほど私は頭がよくない。が、ちょっとこれは大事なことなので、少し真剣に考えてみようかなとも思っている。

この本も結局は似たような流れではある。ヤラセとかヤラセではないとかは正直まったく話のコアではない。そうじゃないところに面白さがある、という点では「ムベンベ」と一緒だ。

実はこの本を読んでいる最中に、たまたま取引先の友人とこの本の話題になり「いやー あの本の感想はもう決まった。<男はバカ>。この一択ですわ」くらいのことをほざいていた私だった。(ちなみに13章に到達する前です)

その友人が「野崎さんは読み始めた本を途中でやめちゃうことはないんですか?」と聞いてきたので、そういや自分は途中で読むのをやめることは滅多にないな…と、ふと思った。

いつも、なんとなく「ブログに感想を書こう」とアウトプット先が見えているから、途中でやめるというのはあまり選択肢としてないのかもしれない。

それも一歩間違えば、それは読書という行為を、ブログ=アウトプットのために消費しているにすぎなくもないのではある。

まぁ、でもやっぱり本は最後まで読まないとダメだね。とにかく最後の方で、ギアが変わったよ。あれは良かった。

そして、再び最後に書いておこう。やっぱり人間の情熱ってバカと紙一重なのだ。で、どちらかというと私も男らしく、バカに生きたいとそう思っている。同時にそうなりきれない自分もいる。つまりはそういうことだ。

下記のインタビューも良いのでおすすめ。良かったら読んでみてください。