私だって長いものには巻かれてきた。でもそれは相手が犯罪者でない場合だ。


最近、バラをドライにすることを覚えて、せこせこドライフラワー作っています。綺麗。

それにしても、なんか怒りがおさまらん。私は最初に音楽業界に入ったのが89年で、やめたのが91年。その時は「もう2度と音楽の仕事はするまい」と思った。その時の感情をありありと思い出した。

こんな世界では良い曲を出したからといってヒットするわけがない。こんな政治と忖度と世界では。

メーカー勤務時代、私は放送局担当だった。放送曲には頑張る私を応援してくれる親切な人もたくさんいたけれど(その方たちとは今でも繋がっている)、基本的には人脈とどれだけ放送局に対して美味しい案件をふれるかという世界の中で、持ちカードがない自分にはとても辛い世界だった。

一方で「プロモーションなのでお願いします」と私が言えばブッキングを無料で検討してくれる番組に対し、間に入っているだけで30万近く取ってる電波マフィアみたいなおじさんたちもいた。(あのおじさんたちは、今、どうしているんだろうか)

そして放送局においては、基本音楽出版権を渡さないとかけてもらえない。放送局が音楽出版を持つ。これは海外では独禁法もののありえなさだ。

もっと言えば、公共の電波を使って「なんとか実行委員会」を作る放送局の事業部にも言いたいことはたくさんある。

その事業部ネタが番組部分に侵食してくるのなどはもってのほかだ。番宣?「公共の電波」を破格の値段で国民から借りているという自覚が放送局にはない。

紙媒体も音楽の媒体は基本、広告だ。広告を出さないもの(お金を出さないもの)に発言権はない。私みたいに広告費もほとんど出さずに生き残っているのは、ひとえに「私がやっている音楽を面白いと思ってくれる素敵な編集者さんやライターがいるから」なのである。

そんなふうにもう2度と音楽の仕事はするまいと思った私だったが、メアリー・ブラックにうながさられて95年にこの仕事に戻ったけれど、インターネットの利便性を享受できなかったら、独立することは可能ではなかったと思う。

(ほんとスティーブとアップルには感謝しているのだ。今の私がいるのは彼らのおかげだ)

しかし今回のジャニーズの件にはほとほと呆れた。わたしも知ってたさ。みんな知ってたよね。週刊誌読んでる人なら誰でも知ってることだった。でもそれを無視してきた。

たぶん今回の騒ぎもこのまま有耶無耶に芸能人の不倫や自殺騒ぎでかきけされていくのだろう。その間、国会では重要法案が次々と通過していく。

まぁ、いいや、自分は自分の仕事をするのみ…といつも思ってきたけれど、この国では、ぼおっとしているだけで、国家ぐるみのレイシズムと暴力の片棒を担がされる。本当に。

これからの生き方を考えないといけない。このかたのインタビューが心に響いた。


そして、この方も。私はほんと無知で全然知らなかったけど、まったくもって感動した。音楽業界の「政治と戦略」の時代から「衝動と純粋性」の時代になったというのが良い。

ウチもなんだかんだで生活の基盤は「ケルト」「民族音楽」というニッチなジャンルにあり、放送曲やメディアでガンガン紹介されるようなポップスではない。だから生き残っていけるんだろうなぁ。

いや、音楽は、ただただミュージシャンがピュアで真剣に自分のやっていることに打ち込めば、それが一番強い。芸能界じゃないんだら、音楽やってるんだから、いつまでも政治だの戦略だの、強者に忖度などやっているスタッフ側がバカなんだよな…と思ってきたけれど。


今回のジャニーズの件、いよいよ音楽業界に飛び火してきたと思う。それは音楽業界にとって、実は良いことだと思う。

私もなんだかんだで、この世界に長くいるから、こう見えて過去結構長いものには巻かれてきた。この人の方針には賛成しかねるが、この音楽が少しでも広がるものならば…とか言って我慢してきたことはたくさんある。

でもその「長いもの」が犯罪者だった時は、全然次元が違う。犯罪かそうでないかの違いは本当に大きい。

週刊誌だけが報道している時、喜多川ひろむの件は私たちは目をつぶってきた。芸能界のやくざな世界でしょと見て見ぬふりしてきた。今は時代が違うのだ。

あと忘れてはならないのは、ジャニーズから恩恵を享受してきた人は多いだろうということ。松尾さんもスマイルカンパニーにいることで何かを得てきた。それは否定できない。

と同時に、それによって損をしたり仕事を奪われた人もおどろくほど多いという圧倒的な事実だ。私くらいの立ち位置であれば、知り合いにはそっちの方が多い。そこを忘れないでほしい。ほんとに悔しい思いをしてきた人はおどろくほど多い。