今週のブログはルナサのメンバー紹介シリーズ。今日はケヴィンです。
ケヴィンは英国バーミンガムの生まれで現在はアメリカ、ブルックリンに在住。ステージでもインタビューでも、ルナサのスポークスマンの役割を担っています。
フルート/ホイッスル/ボーランプレイヤーで、両親がクレア州出身で音楽的な環境のもとで育ちました。確かミルトン・マルベイ、あのアンディ・アーヴァインの歌にも出てくる、あそこです。まぁ、アイルランド音楽の聖地と言ってもいい場所ですね。
ルナサとしての活動の前にはムーヴィングクラウドというグループにいて「Moving Cloud」(1995年)、「フォックスグローヴ」(1998年)の2枚のアルバムに参加していたりもします。セカンドの方は確かCD持ってたけど、ファーストは聞いたことないなぁ…
ケヴィンは伝統音楽家として、とても熱心に活動していて、トミー・ピープルズ、マーティン・ヘイズといった著名アーティストと共演、ショーン・ティレルをはじめとする多くのレコーディングに参加してきました。
他にもクレアFMで伝統音楽を紹介する人気DJを勤めていたこともあり(話がうまいのはそのためです)、多くのアイリッシュ・ミュージックを広く紹介するなど地元の音楽の盛り上がりに貢献しています。
1994年に、ドーナル・クランシー、ムーヴィング・クラウドの中心人物カール・ヘシオンなどが参加し初のソロ「Dフルートアルバム」を発表。これが1枚目のソロ作。 以降、ルナサのメンバーの中では、一番ソロ活動に積極的かも。
2001年、九人のフィドル奏者をゲストに迎えたソロ作第2弾「イン・グッド・カンパニー」も好評。このCD、当時結構売れたよなぁ。ジャケットは、キリアンのパパのジョン・B・ヴァレリー。躍動感のあるペインティングがいいでしょ?
こちらは2012年の作品。
他にもキリアンと二人でこんな作品も出している。男らしくて、かっこいいトラッドです。
最近はこんな作品も発表しているんですね。これは和む…
ケヴィンは英国生まれでありながら一番アイリッシュっぽい性格と言っていいでしょう。
ステージでもバーミンガム出身とは言わず「バーミンガム経由クレア州出身」と紹介される。しゃべる言葉も典型的なクレア訛り。クレアの場合、スターバックスは、シュターバックスと呼ぶのが重要です。
明るくてとても社交的なケヴィンは、とにかく話す事が大好きで、一時たりとも黙っていません。はじめて会った人にも熱心に話しかけ、相手に英語が通じなくてもしゃべりつづけ、ジョークや、アイリッシュ・ミュージック界の裏話やミュージシャン、関係者の物まねで、お腹がねじれるほど笑わせてくれます。
健康おたくで、ツアー先のホテルにジムやプールがあると、そこでトレーニングにせっせと励みます。お酒は一滴も飲まない。そのくせ宴会に参加した時の盛り上げ貢献度はピカイチ。
また(気が付いてもらえないかもしれないけど)ルナサのメンバーの中では一番のおしゃれで服装にはいつも細心の注意をはらい値段の高い服を着ています。好きなブランドはHugo Bossかな。
一方で、ツアー中は割と単独行動、人と一緒にいない時はスイッチを切って、静かにしているのが好きらしく、そんなところに彼の男らしさを感じますね。
いつだったか、ケヴィンが一人で映画を見に行きたいというので、当時公開になったばかりのケン・ローチの『麦の穂をゆらす風』を推薦したところ、ずっしり感動して帰ってきたのを覚えています。あぁいう映画を日本で見る、ってのもなかなかの経験だったと思います。
ところでケヴィンの持ちネタの中に、自分が若いころ、ものすごく太っていた頃の写真を見せて、人をびっくりさせるというネタがあるのですが、ついにその動画ヴァージョンも見つけた。すごい、今のスリムな体型からは想像できない。でも演奏はさすがに良いですね。
こちらも! マーティン・ヘイズも若い!
そのマーティンとケヴィンはジョン・ドイルと一緒にティー・トータラーズというトリオをやっていた。確かにこの3人。お酒は一滴も飲まない(笑)。
このグループ、CD出さないのかな。まぁ、マーティンが忙しいから、難しいのかも。 でも今、活動している最高のアイリッシュミュージシャンたちですよね。この3人。
それにしてもマイケル抜けたあとのルナサで、フルート奏者をつとめるという重積をになったケヴィン、大変なプレッシャーだったと想像します。今でもケヴィンは、インタビューなどで尊敬する奏者は?と聞くと、真っ先にマイケル・マクゴールドリックの名前をあげます。
あとはマット・モロイのことも、すごく尊敬していて、そのマットがフランク・ザッパの大ファンだと聞いてケヴィンはすごくショックだったと言っていました。マットはケヴィンにとっては、神様にも等しい(笑)
あとケヴィンというと、スターバックス…もとい…シュターバックシュが大好きで、旅先でも必ずその位置を確認しています。シュターバックシュと、ジム。これがケヴィンのツアー中の二大重要案件です。今回のツアー、滞在先の近くにいい施設があるといいんだけど。先に調べとこ。
それにしてもシンガーがいないルナサにとって、ケヴィンがステージでのMCが上手いことは、ツアーをする上で、とても重要な要素です。特にアメリカでルナサを見ると顕著なのですが、お客さんはケヴィンのしゃべりをとても楽しみにして来ている。生粋のクレア訛りの英語もいい。
まぁ、なんというか、これはマンチェスター勢の連中(ジョン・ジョー・ケリー、マイケル・マクゴールドリックなど)にも言えることなんだけど、文化って、その文化圏の外で発展した方が、なんか地元より「濃い」傾向にはなりますよね。例えば東京における沖縄料理店とか…
ケヴィンも子供ころ、ご両親の地元だったミルトン・マルベイ(クレア州)に何度も行き、そこで夏休みの間体験した伝統音楽が濃かったということなんでしょう。ジョシー・ヘイズやジュニア・クリハンみたいなベテランプレイヤーはケヴィンにとってはヒーローなんだと思います。
そしてバーミンガムに戻れば戻ったで、そこにあるアイリッシュ・コミュニティはいわゆる本土のコミュニティよりも濃く、伝統文化を愛する人たちに囲まれていたのは想像できますよね。おじさんのマイケルはハーモイカ奏者だったし、そのお仲間のプレイヤーたちに混じってケヴィンは伝統音楽漬けの毎日だったに違いありません。
ケヴィンの場合、伝統音楽をこよなく愛した少年がそのまま大人になった、そんなピュアな感覚がすごくあります。ルナサのバンド立ち上げ時、マイケルを失ったルナサが継続できたのも、ケヴィンの努力があってこそだと思います。
ルナサのクラウド・ファンディング、続行中です!