クラウドファンディング、リターン(返礼品)の説明 その5 JPPセット




ルナサは全員お寿司大好き。また食べに行こうね!
でもトレヴァーは2人前くらい食べないと足りないんじゃないだろうか。
このお寿司高かった。3,000円Over。渋谷西武の上のお寿司屋。


というわけで、連日やっておりますクラウドファンディングの返礼品=リターンの説明の続きです。


<JPPセット>

ルナサの今回つくるアルバム『ライヴ・イン・ジャパン』に、JPPとその関連のCD5枚を加えた、合計6枚のセットです。

どれも最高のアルバムです。いやーほんとJPPってかっこいいと思う。だけど何度も言うけど、本当に売れなかったんだよね。なんでだろ。やっぱりルックス?

結局のところ見た目って本当に大事なのよ。悲しいかな日本の音楽市場はそういうことになっているのだ。世界の音楽市場も? いや音楽市場以外のものすべてそうだ。お菓子やプレゼントはパッケージが大事で、中身のことなんかみんな気にしやしない…

…というのは暴言かもしれないけど、ちょっと私の本音。

いやーーーでもいいんだよね。JPP。私は誰がなんと言おうとも彼らの音楽が大好きだ。でも正直彼らと仕事をするのは本当に難しかった。

いや、彼らが悪いんじゃない。めちゃくちゃいい人たち。でも例えば、ウチのどんなバンドでも「日本の市場でやっていこう」という野心みたいなものが多少はある。っていうか、それがなかったら、成功なんて到底無理なのである。

JPPの場合それがなかった。そもそも彼らの活動歴を見てみればわかる。コンサートはだいたいアートセンター系(つまりホール主催で「フィンランド音楽ですよー」みたいなもの。別にJPPでも他のバンドでも観客は違いがわかっていない)が多く、オファーされればその地へ赴くが、自分のリスクで自分のライブをやるなんてことは彼らはしない。

っていうか、ペリマンニという文化そのもの自体、営業主体ということがある。冠婚葬祭あってのペリマンニ。つまりはそういうことなのかもしれない。

結局彼らは彼らの名前で集客しているのではない。しかしコンサートは補助金がある北欧やヨーロッパではやれてしまう。そこが問題でもある。文化の保護は大事だが、逆にそういう弊害もある。

ロックバンドみたいに自分の名前の上に、自分のプロフィールを組み立てるなんて意識や野心はまるでない。

でもバンドって、存在する以上、自分の名前でチケットを売れなければダメだというのが私の持論なんだけど、厳しすぎるかな。ルナサだったらルナサならではのもの、JPPならJPPだけのものを提供し、それにお客さんがお金を払う状況を作らないとダメだと思う。

例えば「アイルランド伝統音楽」って売ってたら、文化センターの音楽わかってない人たちから「ダニーボーイお願いします」とか「庭の千草お願いします」「みんなの知ってる曲お願いします」と言われかねない。

でも誰もルナサにそういうリクエストしないよね…つまりはそういうことです。

いや、それでも世界の伝統音楽に興味を示してくれるだけ喜ばないといけないのかもしれない。だいたい多くの文化施設は「テレビに出てる人お願いします」なのだから。

自分の曲を自分の表現を曲げないで伝えるチャンスを与えてくれる文化施設の皆さんには本当に感謝だ。

一方で、ここが伝統音楽系のグループの問題で、いわゆるポップスと違い営業系の仕事はいくらでもあるから、それにかまけて日々を過ごしていれば生活は成り立つものの自分のプロフィールなんて出来上がりはしないのだ。

とにかくWOMEXができてから、伝統音楽の世界も厳しくなった。もうなんというか、自分でリスクを取ってガンガン攻めて行かないと、今のシーンで生き残るのは難しい。

国のサポートだって限界がある。JPPで何か申請しても、もはやフィンランド政府はもっと若い、将来があるバンドをやってくれと言う。いや、わかるよ、わかるけど…

すみません、愚痴になった。リスナー側には、こんなこと関係ないよね。でもマネジメント側にはとても大事なイシューなのだ。でもって北欧のグループってそういうこと往々にしてあるんだよね。それにバンドができるごと、CD作るごとに補助が出ちゃうから、新しいバンドがウヨウヨ。誰も一つのバンドに集中してない。

それはミュージシャンとしては、いろんな音楽にチャレンジしヘルシーなことかもしれない。でもそんなんじゃ自分のキャリアは作っていけない。結局楽しい楽なことだけをしていては何も残らない。人からもらえるギャラをあてにしていては、自分の人生は作れない…

って、でも、そういうの、もう前時代的な考え方かもね。

でも今、ここで強調したいのは、そこではない。状況がどうであれ、彼らの音楽には素晴らしいということに私は疑いを持っていない。私は30年近く伝統音楽と呼ばれる音楽を生業にしてきたけれど、彼らに出会うまで本当の伝統って何か分かってなかったと強く感じている。

こういう、なんというか欲のないピュアな人たち。しかし、とにかく残念ながら日本のマーケットで、それはやっていけない。というか、それをサポートできるプロモーターもいるのだろうが、私には無理だった。

いや、何も言うまい… 単に私の力不足です。

それでも2回来日させることができた。ノルディック・トゥリーも2回かな…  いや、よくやってたよ。それで良しとしないとダメだよね。今これをもう一度やれと言われても、とても無理! もう2度と無理! 

  

 
 

さて続くNordik Treeは、JPPでもおなじみアルト・ヤルヴェラとティモ・アラコティラがスウェーデン人のハンス・ケンネマルクと作ったトリオだ。

スウェーデンのメロディは明るくてキャッチーで、JPPがポップになったような印象のバンドだ。しかもトリオだから、スイング感もバッチリで、すごくいい。

 

あーーー、なんでこれが売れなかったんだろう!! まったくもって不思議だわ。最後にもう一回、もう一回だけノルディック・トゥリーなら呼べるかなぁ!! あぁ!(未練がましい)

しかも欲もない彼らの音楽にアクセスするには、配信とか無理です。そんなところに音源が上がっているわけがない。なのでお客さんは、ウチにCDがあるうちにゲットしてください(笑)

そしてこちらが、ティモ・アラコティラのピアノソロアルバム。


ティモはいつだったか東京マラソンに参加したいし、日本でこのアルバムをローンチしたいから日本に行くと行って、日本にソロで来たことがあった。

自分で航空券とか払うからと言われたが、小さなライブハウスじゃそもそもビザ申請のお金すら出ないよね… それでもどうしてもとせがまれて、無理やり作った公演だった。

絶対にお客30人だよ…と思ってたら、100人近くが平日だったのに公演に来てくれて、なんとか形になった。

その後、ティモは札幌公演を作ってくれた人たちが札幌に呼んでくれたので、札幌へ飛んだ。私はすでにボランティア状態だったし、ツアーメンバーが一人増えれば、札幌のチームにとっては赤字になってしまう。それに私も一緒に行けばご飯代くらい出さないといけなくなるでしょう(笑)。ということで、羽田にティモを送り、そこでバイバイした。札幌は楽しかったようである。

その後、ティモは女性ミュージシャンを連れて日本に戻ってきた。こちらは民音さん主催の大きなツアーだった。それはそれで別の苦労があったのだが、それについてはまた別の機会に書く。

というわけで、ルナサのクラウドファンディング続行中。これを機会にJPPの音楽にも親しんでください。私の力が足りず、全然売れないバンドだったけど、私は大好きです。特にこの2枚組のライブ盤なんて、最高にゾクゾクします。