カウリスマキ新作!『枯葉』めちゃくちゃあったかい気持ちになれる珠玉の1作です。


 

いやーーーーー こりゃまた最高の作品でした。カウリスマキ being カウリスマキ!
っていうか、今までのカウリスマキの作品の中で、一番ポップかもしれない。

短いのがいい。80分。映画やライブ、イベント制作者はそろそろ気づいた方がいい。自分がやっていることは、お客さんの時間を拘束しているという事実を。みんな時間がないこの時代である。みんな、忙しい。やっぱり大学の授業より、そして第九より長いものは見ていて集中力が途絶える。

長い、長ーいライブで「次が最後の曲です」というのに、ホッとしたことは誰もが経験があるのではないだろうか。

それはさておき。

主人公がトーベ・ヤンソンの映画の主人公やってた彼女で、これがまたカウリスマキ・マジックで、しっかりカウリスマキの映画の登場人物になっている。いやぁ、いいわぁ。

登場人物のすべてが素敵。主人公たちとともに、そのお友達たちもすごくいい。特にカラオケで自分歌がうまいと信じている彼、そして主人公のスーパーの職場仲間。

彼女がラジオをつけるとウクライナのニュースが流れてきて、あきらかに設定は現代なんだろうけど、なぜか二人はスマートフォーンを持っていない。ガラケーみたいなのが、それでもやっと出てくる。カウリスマキ作品では初めてではないだろうか。

なんか時代の辻褄があわないのだけど、いや、いいのよ、いいのよ、カウリスマキなんだから。これは彼が作った現代のおとぎ話なの。

宮崎駿や村上春樹みたいなファンタジーがかった世界はとんと苦手なのに、なんで私、カウリスマキのタイプのおとぎ話なら大丈夫なのかなぁ。そこに時代を斜めにみる感覚とか、複雑なものがあるからなのかもしれない。

うん、自分で書いてて気づいたかも。カウリスマキはあぁ見えて結構時代とつながっている。

とにかく今回はロマンチックだということにつきる。なんか心があったかくなる。登場人物、セリフはいつもの棒読みで、でもだからこそその視線や細かな動きを見ているものは何かを受け取るんじゃないだろうか。

音楽はいつものことだけど、ダサい音楽が一周回ってかっこよくなっちゃうパターン。これもカウリスマキ・マジックだよね。いやぁ、いいよなぁ。女の子二人のあれなんか、イスケルマの王道行く感じ。フィンランド語の響きもいい。

時々流れるラフマニノフがいいなぁと思ってたんだけど… 違った、あのメロディはチャイコフスキーだった…。もうそれすらもわからなくなっている、オレ。いろいろボケがひどすぎる。

もちろん毎度おなじみ、いい感じのワンコも登場し、これまたいつものいい味だしてるよ!

パンフレットも素敵で、取材も充実してるし、ほんと最高! さすがユーロスペース。昨日今日カウリスマキの配給やってんじゃねーぞ、って感じ。さすがです。

公式サイトはこちら。

町山解説あがってた! カウリスマキのこと知らない女の子たちにわかりやすく説明する感じが良い。

でもなにより、このカウリスマキのコメントがすべてを表している。もう最高!

カウリスマキの映画は恋人の片方が亡くなったり、悲惨な結末で終わることが多いんだけど、今回ばかりはさすがの監督も「今回ばかりは愛に勝たせてやろう」と思ったんだそうだ。いいねぇ。

まぁ、それだけ今あるこの世の中が悲惨で、みんなが心を痛めてるってことかもしれない。カウリスマキはほとんど変わらないのに、世の中はどんどん悲惨になってきて、ここでバランスが取れたってことなんだろうか。

とにかくこの映画は、そんな悲惨な時代に生きるわたしたちに贈られた監督からのプレゼントなんだと思う。ありがとう、監督!

PPS
THE MUSIC PLANT次の主催公演は、カウリスマキと同じ、フィンランドからやってきたハーモニカ・カルテット:スヴェング。

そういや、このプロフィール写真、なんかカウリスマキっぽい(笑)




シベリウスにショパン、哀愁のロシアン民謡、日本の童謡や「恋のバカンス」そして「ハウルの動く城」、踊り出したくなるようなタンゴ、敬愛するタラフ・ドゥ・ハイドゥークスに捧げたジプシー風のオリジナル曲などなど。なんでもハーモニカだけで演奏しちゃう脅威の雑食系ハーモニカ・カルテット。

詳細はこちら。

日程:2024年1月23日(火)19:00開演
チケット:¥7,000+オーダー

こちらはラグ・タイム〜🎵  どうぞよろしくお願いいたします。