日本のマーケットに興味を持ってくれてありがとう

昨日はいつもこのテのイベントに多大な至力を尽くしているTさんから頼まれて、北欧の某大使公邸でのランチのあと、その国と周辺国の音楽関係者の皆さん15名弱を前に日本の市場についてレクチャーをすることになった。

正直、参加者の皆さんの中には、日本で大きなアーティストを当てている事務所やエージェントも多く、伝統音楽のことしか知らない私がなにを話すことができるんだろうかという中、それでも日本のマーケットについて、また日本の市場に売り込むためのノウハウ(自己流です)を必死に説明したのでした。

っていうか、そもそも斜陽の日本の市場に興味を持ってくれるなんてありがたいじゃないですか? 今やちょっと気を抜けば中国や韓国など、日本より美味しそうでポテンシャルがあるマーケットはたくさんある。人口だってすごく増えている国もある。

でもレクが終わったあと現地のソニーに勤める女性の方が名刺交換しながら「音楽が好きなのがよくわかったわ」「音楽についてこんなに熱く語る人、久々だわ」とか言ってくれて、ちょっと感激。

結局それにつきるんじゃないでしょうか? わたしの仕事って(笑)そこしか取り柄がない(爆)

特に喋る仕事はラジオにしても講演にしてもわたしはまったく得意ではないのだけれど、終わったあと「失敗した…」とか「やらかしてしまった…」とか落ち込むのってバカだよなと思えるくらいにはずうずうしくなった。

「失敗した」して失うものって、なに? わたしのプライド? プライドなんてとっくに捨ててるよ。そうじゃなかったら、自分のバンドのためにクラファンなんてできやしない。

よく言われるのだけど、呼ばれた先で、わたしが仕事の話をすると「なんだかよくわからんけど、楽しそうだった」とか「自分の仕事が好きなんだなぁ、この人」というのはしっかり伝わるんだよね。

学生さんとかが相手だと、楽しそうに仕事をする大人の姿を見せるのは、すごく重要なことだと思う。わたしが子供の頃なんて、楽しそうに仕事してる大人なんていなかったもの。

それに、こういうちょっとした「日本代表!」みたいな仕事が来ると「わたしなんかが…」と躊躇する人多いと思うんだけど、私に言わせたら、ちょっと背伸びをしてでも引き受けたらいいと思う。特に50歳超えたら、もうなんでもありだよ。ずうずうしく引き受けた方がいい(笑)

またわたしのコーナーの終わりにはラジオの方をゲストにお迎えして、ラジオの制作者の立場から話してもらったんだけど、これも面白かった。

日本のラジオにはジャンル分けがないこと、放送局が音楽出版社を持っているという特殊な状況があることなどなど、全然海外では知られていない。ここに理解が得られないと、海外のアーティストなんか扱えないよね。大きく広げられたラジオ局の番組表を見て、みんな目を丸くしていた。こんなにたくさん番組があるのか!と。

わたし以外の講師は、この国を含むこのエリアの音楽においては大巨匠のOさん。Oさんの話もインスパイアリングで面白かった。Oさんの会社は特にパンデミックの時に、音楽業界をまとめるべく頑張ってくれた。本当に感謝だ。

こうやって、みんなでいろんな国の人が集まって、いろいろ話すのはそれだけで楽しい。斜陽の音楽産業だけど、まだまだ自分たちの仕事の可能性があるのではないかと思えてくる。それって、すごく素晴らしいことだと思う。

いや、実際はどこに行っても、イバラの道ばっかりなんだけどね(笑) 成功ってなんだろって最近思う。結局のところ「続けていくこと」じゃないかな。

といいつつ、早くも引退に向けてカウントダウンしている自分もいるのだけど。

写真は大使公邸で出たランチのデザート。下にカスタードが敷いてあって、とてもおいしかった。風景も絶景。すごいなぁ。




今日帰宅したら不在票が入っていて、なんとルナサからお花が届いた! マネも含め、男所帯のバンドだから、こういう気の利いたことしてもらったことないよ。奥さん方の教育が良いのかな(爆) 本当にルナサ、ありがとうね。


花のお礼をメンバーに入れたら、素敵なメールがきたけれど、わたしの返信は「早く日本のことは忘れて次に進みなさい。あなたたちの素晴らしい音楽を待っている人たちが、この地球上にはたくさんいるのだから」

ふふふ、母ちゃんみたいだな、オレ(爆)

いや、ほんと過去の成功を引きづらないで次にいかねば。世界の音楽が日本のリスナーを待っている。