スヴェング物語 その3

初来日時、イラストレーターのオノナツメさんが、スヴェングをどう発見してくれたのかは記憶がないのだけど、彼女がスヴェングのファンだということを知り、連絡を取ってみたら、あれよあれよというまにご本人にお会いすることができた。

オノさん、こんな素敵なイラストを描いてくれた。これもArt Meets Art 二つの芸術が出会った瞬間。っていうか、こういうのギャラ払って描いてもらったら、たいへんな金額になってしまう(爆)。ありがとう、オノさん。

で、それをポストカードにさせていただき、セカンドの『ヤルータ』発売日にノベルティとさせていただいた。ちなみに左のイラストはのちにTシャツにもさせていただいた。なんか、またコラボしたいなぁ。


新しいミュージシャンやバンドを手がけると、そのバンドが新しい人脈を連れてくる。そうやって本当に私は良い思いもしてきたし、いろんな素晴らしい日本のアーティストの皆さんとも出会うことができた。感謝だ。っていうか、アート=表現ってすごいよね。

そんなことを改めて考えたりした。

初来日のツアーについては、実はもうあまり記憶にない。実際、自分の仕事歴で一番記憶がないのが、この頃だ。とにかくがむしゃらに、下手すると毎月ツアーをやっていた時期。当時はパワーあったよなぁ、自分(笑)。まぁ、若かったし、体力もあったしね。

もう今やそんなパワーはない(笑)

でもスヴェングの初来日の初日は大阪公演で、関西空港に朝早く到着した彼らをハーモニーフィールズさんがいきなり奈良の大仏につれていってくれたのはよく覚えている。

あんまり早くホテルに行っても午後までチェックインできないし、だったら観光しちゃおう、と。これには彼らも大感激。普段のツアーでは、こういうことないからねぇ。

本当にハーモニーフィールズさん、ありがとうございました。

日本での初公演=大阪での初公演が成功し、彼らもすごく喜んで、その日の深夜「大阪わさびオーケストラ」を結成したんだとパシが嬉しそうに翌朝話してくれた。「新しいバンドができたんだよ!」と。

で、その新しいバンドの音楽と言って聞かせてくれた音源には、なにやら怪しげなホテルの部屋での録音「おおさかー わさびー」とひたすら歌うメンバーの歌声が録音されていた…。

…。

男の子って…  ミュージシャンって…  バカだよねぇ(褒めてます!!!)

それにしてもこんな感じで電車乗ってたら、ちょっと目立つよね、ゲーロ(笑)。


スヴェングのツアーは、とにかく楽しかった。自分にとっては初のフィンランド人バンドとの付き合いだったというのもある。

それぞれのメンバーが個性的で、個性的なのが良いとされるフィンランドでは、よくあることだけど、それでもバンドメンバーが全員、素晴らしい人たちで、とにかく感激した。ツアーしやすいという意味では、うちのバンドの中でも彼らが今でもベスト3に入るかもしれない。

エーロは男らしく、とにかくかっこよかったし、パシはひたすら優しくジェントルマン。ヨーコはちょっとエキセントリックだけど頼れるバンドリーダーで、ゲーロはむちゃくちゃアーティスティック。ゲーロ、演奏も毎回毎回変えてくるのがすごい。

演奏面では、あれこれトライするヨーコ先生やハイパーなゲーロより、安定感のあるパシやエーロの演奏の方が私は好きだけど、ギアが入った時のゲーロのすごさはやっぱり特筆すべきものがある。

だから今回の演奏もとっても楽しみ!

そして最初のツアーで覚えているのは、かなり初期段階でヨーコ先生に言われたこと。それは「ハーモニカを中心に俺たちのことはプロモーションしないでくれ」ということ。

ハーモニカおたくのファンではなく(ハーモニカのファンの方、すみません)、ヨーコ先生は「おばちゃんたちを狙え」と言ったのだった。

ヨーコ先生はちなみにシベリウス・アカデミーでバンドマネジメントの教授もしているのだ。

そのヨーコ先生のお言葉だから、私もこれは重く受け止めた。確かにこういうバンドをやっていればハーモニカ・ファンは自動的についてくる。でもそれだけでは、まったく客層が広がらないのだ。

「おばちゃんたちを狙え。おばちゃんたちはコンサート会場にお友達を動員し、会場を楽しく盛り上げ、かつCDやグッズもたくさん買ってくれる」とはヨーコ教授のお言葉。

「俺たちはハーモニカ・ファンが楽屋に来ないように、金属探知機を楽屋の扉に設置しているのさ」というのはジョークだとしても、なるほど、とちょっと開眼だった。

おばちゃんたち誘致のためにも、ヒルパの写真は積極的に載せて良いらしい(笑)。

またヨーロッパのコンサート会場では、アフターショーにフロアを開放し、タンゴのダンスパーティーが行われることが多いのだが、そこでもニコニコとおばちゃんたちの接客に追われ、ダンスに繰り出されるメンバーがいたりする。スヴェング、すごい!

とにかく彼らは女性にすごくモテる! というわけで、日本のお姉さん、おばちゃんたち、よろしくお願いいたします!

話題変わって、エーロとヨーコ先生は公演前に「きゅっといっぱい」その国のローカルな蒸留酒をかますのが好きで、ヨーロッパではイエーガーマイスターがその役割を担うので、私も最初はイエーガーマイスターを楽屋に差し入れていたのだが、

最近になってそれは日本では電気ブランだということに気づき、前回のツアーでは電気ブランが楽屋に登場している。

「不味く」て「強い」というのが条件だそうで…。なるほど…




ツアーの最終日には空になった電気ブラン(笑)ツアー、おつかれ様でした。

ちなみに最近のツアーでは、この習慣はやめているのだそう。「ちょっと健康的になったのさ」とはヨーコ先生の弁。

今日の動画。

エーロのハーモニカをひっくり返して演奏するテク、すごいからぜひ見て! そしてなぜかバーベキュー?!(笑)

それにしてもこのテクニックすごいよな。ハーモニカおたくのファンの皆さんも、お待ちしていますよ〜っっ。


今回は、素晴らしいツアーを作ってくれたハーモニー・フィールズさん主導のツアーです。スヴェング。ただ東京公演はウチで作りました。南青山曼荼羅で、アットホームなライブハウス公演です。


ハーモニカだけで、すべてを演奏してしまうフィンランドからやってきたカルテット。宮崎アニメのテーマ曲や、ハリー・ポッターなどの映画音楽、「恋のバカンス」や「赤とんぼ」もやるよ。シベリウスとショパンも! 詳細はこちら。