映画『燈火(ネオン)は消えず』を見た。めっちゃよかった! 普通の人の普通の話なんだけど、心があったかくなる。


素敵すぎる、旦那さんの思い出がすごく素敵すぎる。

やばいのだ。亡くなった人の思い出はどんどん綺麗になるんだもの。一方で生きている人の現実はどんどん厳しくなる。やばい。

でも、亡くなった人を思うだけで、あったかい気持ちになれるってのもわかるんだよなぁ。その人は、まだその人を愛している人たちの中で生き続けてるんだなぁ、と。

いやーーーーーーー いい映画だった。信頼の配給会社:ムヴィオラさんの新作。

いやーーー まじでよかった。なんかムヴィオラさんの映画って、ヨーロッパものだと尖った感じのものが多いけど、アジアものはあったかい映画が多いような気がする。「小さき麦の花」も本当にあったかい映画だったし(あれはやばかった)、実はかなり前の作品だけど「すれ違いのダイアリーズ」も私、かなり好きだったんだよね。

昔の香港ってネオンがすごかったじゃないですか? 私は香港は学生時代(おそらく84年ごろ)一度しか行ったことないんだよな…。

キャセイ・パシフィックで英国に飛んだとき、トランジットしたことが一度だけあるきりだ。

香港の空港は、都市の中心分に近く、夜のフライトだったからネオンが派手だったし、すごく綺麗だったけど、ちょっと怖くもあった。ここで飛行機落ちたら、大変なことになるぞ、と(笑)

で、その名物ネオンの90%が消えた、ってご存知ですしたか? 私は知らなかった。2010年の建築法などが改正されたあと、2020年までに香港にあったネオンのほとんどが消えたのだそうなんです。

独自の文化が消えていくのは、どこでもいっしょ。本当にせつない気持ちになるよね。でも生きているものは生きていかないといけないんだから、需要がなくなれば職人は店をたたむしかない。

この映画は、そんなネオンを作った職人の、奥さんの物語。

娘の教育のため、ネオンづくりを断念したお父さん。でも実は工房をしっかり確保して弟子もいた。出来がけっしてよくない弟子だが、自分を拾ってくれた師匠を慕い続けている。

腕利のネオン職人だった彼の、やり残したという仕事を完成させようと奮闘する妻。一方で自分の人生をつかもうと結婚しオセアニアに移住しようという娘。そうそう、主演の女優さんの演技が半端なかったわー。まじで感情移入。娘役の彼女もすごくよかった。

最後のエンドロールで、実際の職人さんたちが写真で紹介される。何十年もネオンを作り続けてきた人。もう引退した人。もう諦めた人。

でもたとえばポップアートの世界に進出したり、立体的な3Dのネオンを制作する新しい人も出現しているそうだ。ここでも伝統が大きく形を変え、生き残ろうとしている姿がある。最後にはこの映画の俳優さんたちにネオン作りの指導をする職人さんの姿も。

寂しい、切ない。でもそういう人生だけど、なんだかあったまるようなそんな作品でした。

なので、みなさん、ぜひ。私は渋谷のル・シネマで拝見しましたよ。25日までは上映しているみたいだけど、26日以降は未定とあるので、早めに見に行って。泣けるよーー!