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おもしろかった。ケズナジャット文学から角幡文学まで来たので、ちょっと軽めのものが読みたくなり新書の積読山から救出。
最初はかなりポップで「軽いの読みたいと思ってたけど、これは軽すぎ!」と思っていたのだが、どんどん深くなり、結果、読み応えのある一冊だった。
「ジジイの壁」とあるが、「ババアの壁」も絶対にあるよなと思い、震える。怖い。私も誰かの壁になってたらどうしよう…と思ったりするのだった。マジでよい読書になりました。
著者は元お天気お姉さん、今は研究者でちゃんとした人である。著書も多い。
特にナチスの収容所の例を持ち出したり、フランクルの「夜と霧」の話題が出ると、ひしひしとこの感覚が伝わってくる。そう、日本社会では「群衆の中に消える」のが一番だ。それは収容所における最大の保身の掟なのだ。それは会社とて、なんら変わりはない。
ジジイの壁にひっつく「粘土層」は、息をひそめさえすれば、今ある「自分の立場」を守れるという幻想をいだく。
そしてこの本で著者はSOC=Sense of Coherenceを解いていく。これは首尾一貫性感覚と訳されることが多いらしいんだけど、実は幸せな人「誰もが認める勝者」「勝ち組」「レジエンド」と呼ばれる人たちは、このSOCがみんな高い、と著者はいう。そして本書はそういう人を目指そう、他人を馬鹿にして会社にしがみつくのをやめよう、女性にもそういう危機あるよ、ということを訴えている。
著者によるとSOCが高い人ほど「他人力」を使うのもすごく上手なのだという。SOCの高い人というのは、みんなの力を借りることができる人。ここを勘違いしてはいけない。
あの鉄の女サッチャーさんですら、「女」を武器にしていた、という話があるんだそうですよ、なんと! 実は彼女はああ見えて、みんなを気遣い、母のように接していた。まぁ、そうだよね、実際そういう人じゃないと周りはついてこない。
それにしてもいつかポリタスTVで、渋谷さんがおっしゃっていたように、日本の会社はスタッフをコストと考えてしまうのが敗因なのだということも改めて、この本は明らかにしてくれている。
そして最後はおじさんも、おばさんもみんながんばれ!というポジティブなメッセージでこの本は終わる。うーん、いいなぁ。私もがんばらなくちゃ。河合さんのご活躍もますます期待しております。
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