島田潤一郎『電車のなかで本を読む』を読みました


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あいかわらず素敵な本だよなぁ。「夏葉社」の島田さんの本。でも夏葉社ではなく、こちらは高知新聞での島田さんの連載を青春出版社がまとめ、多少加筆して出したもの。

島田さん。こんなふうに生きられたらいいなぁと憧れつつ、自分には絶対にできない。私が一人レーベルなら、島田さんも一人出版社。

島田さんは、一人出版社のさきがけともいうべき存在の方で、業界内にファンが多い。あの頃、一人出版社はやって、たくさんできてきたけど、今、どのくらいが生き残っているのか、気になるところ。

先日、とあるイベントで本屋に行き、そこで「夏葉社」コーナーができていて、ファンとしてはそこを素通りはできなかった。積読ひどいのに、また本を買ってしもた。

この本によるとどうやら毎日の通勤の25分で島田さんは本を読むらしい。そして島田さんも1,000冊近くの積読があるという。ちょっとほっとした。私の積読はどのくらいだろう。300冊はあると思う。本当にやばいのだけど…

それでも本に囲まれた生活はいい。今は積読本は、マジで床から積み上げていたりするのだが、一方でうちは壁一面天井までの本棚があって、その半分以上は仕事のファイルが入っているから、これらの仕事のファイルを処分しつつ、そこに本をいれていくのが今後の目標だ。

本は一度読んで、これは別に何度も読み返さないだろうと思うものは、ブログに感想文を書いて、どんどんウチの渋谷ヒカリエ書店とか、神保町のPassageにある自分の棚本屋で売ってしまっている。でも時々何度も読み返したい本があって(プラチナ本と呼んでいる)、それはこうやって、この本棚に入れていくのだ。

というわけで、この本。本当に島田ワールド全開で、とても端正な文章で、本当に染み入る。なんというか斜め読みしたくない本だ。そしてしみじみ味わう…とか言っていたのに、あっという間に1日で読んじゃった。ちょっともったいなかったな。

そして読み始めて「しまった」と思ったのが、これが書評本だからだ。書評本を読むと評されている本も読みたくなり限度がない。でもこの本を呼んで不思議と「あれも読まなくちゃ」というプレッシャーは感じなかった。そういうタイプの書評ではない。なんかそういう「推しの弱さ」みたいなことも島田さんならではなのかも。

とはいえ「あっ、ここ好き、ブログにメモっとこう」と思った箇所が、20箇所以上もある。だから「弱い」ってのは、ちょっと違うのかもな。ちょっと言葉が見つからないんだけど。

でもたとえば「若い人こそ未来。若いからこそ行動できる」という言葉に震えたり…

とある政治家が「みんなをあんまり賢くしてもらうと困るんだよなぁ」と言ったという話も島田さんにかかると

人々が賢くなり知識を持つことを恐れる者たちが、図書館づくりを陰から妨害する。自分の貧しい精神の枠内で人々を指導しようとする者たちが、図書館の発展を喜ばず、人々を図書館から遠ざける」ぼくはこの記述を見ると、冷やりとした気持ちになります。

と、なる。なんかやわらかいでしょ? 優しいでしょ?

そして『サピエンス全史』については

本はときに、地図にも似ています。自分がどこにいるのかわからなくなったとき、本を手にとり、自分が今いる場所をたしかめます。

じーん。沁みる。

子育ての話も。

「そんなに子育てばかりに夢中になって、本業は大丈夫なの?」と言ってくる人がいるというのはびっくりだ。

すごいと思ったのが、知ってる本や作家がほとんどいない。島田さんが読んでる本と私の読んでる本は全然違う。

あ、そうだ。ここに紹介されている本で、一冊だけ私が呼んだ本があった。それは『ニワトリと卵と、息子の思春期』だ。あの本は確かにすごくよかった。鶏を飼い、でもそれはペットでなく家畜だと主張する長男。しっかり育て、そして最後に長男はその鶏を捌く。子供ってすごい。こんなに頼もしい。

…とか書きつつ絲山秋子さんの『夢も見ないで眠った』はまだ読んでないな、と気づき、冒険研究所書店に発注する、なう。やばい。やっぱり本買ってるやんけーーー!!

でもほんと1コラムずつ独立してて、電車の中の25分で読めるから、通勤している人はぜひ。島田ワールドへようこそ。

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ほんとにそうだね。