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普段読まないタイプの本である。でも高野秀行辺境チャンネルの杉江隊員が絶賛しているんだもの、買っちゃったでしょ。
杉江隊員は「本の雑誌」社に勤めている、浦和レッズ好きの編集者・営業マンなのであるが、本のレコメンが素晴らしいんだ。
スズキナオ『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』(新潮社)たまらんです。最高です。素晴らしいです。ご存知のとおり、私、去年の春に父を亡くし、その四十九日を終えた翌週母が脳梗塞で倒れ、半身不随に。それはそれで受け止めて生活しているわけですが、あの父も母も健康でなんにも pic.twitter.com/CKpFld8CVj
— 杉江由次 (@pride_of_urawa9) January 28, 2024
「抱きしめるように読了しました」と書かれている。これはやばい、読まなくちゃ。
家族かぁ。私は家族というとあまり良い思い出がない。18歳の時大学に受かったのを理由にとっとと家を出て、自由を満喫。これまで一人で生きてきた。
大学時代は、当然のように親に仕送りしてもらったけど、自分で稼ぐようになったら、親のいうこと聞く必要なんてないもんねー
…とまぁ、そんな感じ。正月だからといって実家には帰らず、そのくせ経理はウチの親の税理士さんに親の分と一緒にお願いし(だって無料なんだもの)…
でも親に感謝してないわけではない。たぶん父親が90で、母親が84歳くらいだが、病気もせずこちらに介護や援助を求めないだけでも感謝、感謝、大感謝である。恥ずかしく実家に帰ると「お小遣い」をもらえたりしてる。やばい、60近いのにお小遣い。
母親はなにせ私の経理を見ているので、それも安心なのか、私が口を出されるとキレるのを知っているせいか、あまりこちらのことに口出ししてこない。それは本当に助かっている。
一時は親を自分の主催するコンサートに招待してやったこともあるが、本当にうざいので、途中からやめた。私には気を使う余裕なんかないし、そりゃあ私のコンサートに来れば、スタッフは気を使ってくれてチヤホヤしてくれるだろう。
だけどそうやってスタッフの仕事を増やすのもよくないし、コンサートの場って、友達にこられてもちゃんと対応できなくて困るんだけど、とにかく私は仕事をしているのである。(こっそりチケットを買ってくれて、あとから感想をメールしてくれる友人には本当に感謝!)
が、うちの親はそれが理解できない。現場で私としゃべろうとしつこい。だから呼ぶのをやめた)
というわけで、微妙な距離感の私と両親。親戚の集まりで母親が「洋子さん、この前行ってた国はどこだったかしら、スウェーデン? フィンランド?」なんて自慢げに親戚に話しているのを聞くと、「うっざ!」と思う。
私の仕事において、海外に行くことは必須であるが、それはちっとも偉くない。そんなことは金と暇さえあれば誰でもできることで、そんなことを自慢するなっつーの!
私の偉いところは、日本では無名のミュージシャンをゼロから立ち上げて来日公演を実現させること」なのだ。わかってるのかな。たぶんわかってないよな。だから時々平気で「自分のイベントはやめて、ギャラ仕事だけすれば?」とか言ってくる。
ふっ、サラリーマンしてた両親にはわからないだろうけど、世の中には定期収入よりも大事なものがあるのじゃ!
そのくせ朝日新聞にピーターさんが書いてくれた、私のことをちらっと紹介しているルナサのライブ評のコピーは大事に額装して実家にかざってある。あれは、まぁ、そうね、親孝行したかな。というか、ありがとう、ピーターさん。
でも離れている方が幸せだと言う距離感は絶対にある。そう言う意味では私も親もうまくやってるかなと思う。一緒に住んだら殺人事件起こしそうだもんね…と言ったら、某作曲家さんが大笑いしてた(笑)
私ももうすぐ仕事を引退するが、それでも親と住む気にはなれず、ただもう少し近くで生活できるように調整するかもしれない。実家の整理とか考えるだけでも頭が痛い。
そんなことはともかくこの本。そんな私でもめちゃくちゃあったかい気持ちで読めた。なんというか、著者もいいし、妻もいいし、子供たちもいいし、おじさんおばさん、おじいちゃんおばあちゃん、いとこたちも最高にいい。普通なんだけど、すごくいい。
それにしてもこの本、タイトルがいい。なんと連載時は「家族が一番わからない」というタイトルだったそうだ。このままのタイトルだったら、ここまでの感動はないかもしれない。
ひとつのお話を読んではこのタイトル『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』を振り返り、ひとつ読んではまた『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』と振り返り、
いやー まさに神タイトル。
ちなみに今、一緒に仕事をしている吉原真里さんの編集者である江坂さんは『不機嫌な英語たち』とか、『急に具合が悪くなる』とか、タイトルつけるのがめちゃくちゃ上手なんだよね。江坂さんは「降ってくる」みたいな言い方してたけど、いやー すごいな、神タイトル。
このタイトルつけたの、編集者さんか、もしくは著者さん自身? いずれにしてもタイトルつけた人、天才!
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(最近、アマゾンのアフィリエイトの成績がすこぶる悪い。やっぱりテキストリンクじゃお客は飛ばないって。画像リンクの復活をのぞむ!)