映画『戦場のメリー・クリスマス』を今さら見ました。初めて見ました。

いやー 嫌になっちゃうんだけど、わたし、この映画、まだ見たことなったのよね。配信でも見れるんだけど、大きな画面で見るか…というわけで、行ってきました。銀座シネ・スイッチ。

思ったより全然ちゃんとした映画ではあった。当時の私はどうもYMOには入り込めず、坂本龍一はなぜ戦場で化粧をしているのか理解できなかったし(今も、どうしてなのかわからない)、そもそもフィーチャーされてたデビット・ボウイとのシーンからも、あんまり興味がわかなった。

子供の私は、どうも男のナルシズムが苦手で(今も得意ではない)、そんなわけで化粧している坂本にもハンサムなボウイにも興味を持てなかった。

なんかミーハーは映画だろうくらいに思っていたし、ちゃんとした映画のレビューに出会うことも当時の自分にはチャンスがなかったと思う。

というわけで、この年齢になって初めてみました。お話としては、非常によく書けたものだと思う。

が、やっぱり坂本さんの演技が良いとは思えず、それは購入したパンフレットにも書いてあったけど、それはご本人もわかっていて、それでも音楽を担当させてもらえるなら、ということで、この役を引き受けたらしい。なるほど。

でも、それが将来的には『ラスト・エンペラー』になるわけだから、まぁ、すごいよね。

一方ビートたけしは悪役ながら非常に魅力ある役だなぁと感じだけど、当時すでに結構な人気者で、すごいハードなスケジュールの中、この映画に参加したのだそうだ。しかし、それがやっぱり映画の世界への突破口となった。

ボウイは、今見ると、かなりかっこいい。が、ちょっとありえないくらい美男子である。そもそも大島監督はロバート・レッドフォードにこの役をお願いしたかったのだそうで、なるほど、なんかわからないでもない。

とても顔立ちがいい。ハンサム。でも二人は相当違うタイプの顔立ちだとは思うけど。ロバート・レッドフォードの方が私は好みだけど、ルッキズムはいかんと思いつつ言わせてもらえれば、レッドフォードは優しそうで、ボウイは冷たそうだもんね。ハンサムと言う意味でも全然タイプが違う。

そのほか、いろいろ思うところはあったけど、なんか腑におちたのは、購入したパンフレットに書いてあった興味深いこと。坂本龍一の「大島監督は絵が描けない」という発言。

普通の監督は絵を描くし、絵を描きたがるものだ、と。確かにボウイの弟とのエピソードは心を打つし、捕虜になった兵隊たちがボウイを思って歌い出すシーンも感動的だったが、どうも取ってつけたようなチグハグ感がぬぐえない。

なので、この「絵が描けない」には、すごく納得がいった。大島監督はロジックの人間であり、左脳の人間。だから監督の中でも目立っている、と。

つまり再び言うが、それが、ある意味、誰もやらないような配役やストーリーへとつながっていくわけだ。なにせ坂本、ボウイ、たけし以外にも、内田裕也やジョニー大倉まで出ていたわけだし。

そして「絵を描く」よりも重要なメッセージを大島監督は大衆に伝えたかったのだと思う。
…って、大島作品、これしか見てない私が何を生意気なことを言うか、って感じだけど。

偉い人は、やっぱりチャレンジしてる、と言うことなんだと思う。うーん、すごいよなぁ。

今現在からあの時代を振り返って見て分かってくることはたくさんある。つまり、あの場所そこれらのアートの偉人たち(坂本さん、たけしさん、ボウイ)は飛び立ち自分のやりたいことを実現させていくわけだ。

チャレンジしない人にはチャンスもやってこない。

それにしても、もっとミーハーな感じかと思ってたけど、思っていたよりも、ずっとちゃんとした映画だったし、感動する作品だった。

あ、そうそう、最後にひとつだけ。Mr. ローレンス役の俳優さんが、のちの『オッペンハイマー』のアインシュタインってのがいいよね。

お元気そうでなによりでした。今でも、まだ当時の面影あるよね。(この映像にちらっと映ります、アインシュタイン)

あのアインシュタインの使い方は、とてもよかった。あそこはフィクションでもノンフィクションでもなんでもいい。すごく映画に効果があった。

まぁ、常識的な大人で、この映画をまだ見たことがないというバカな人は私くらいで、たぶんここ読んでる人には誰もいないだろうけど、まぁ見てない人は見た方がいいですよ、色んな意味で。

この映画から学ぶことはたくさんある。


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