ボシー・バンド再結成

 先日ボシーバンドの再結成ドキュメンタリーがアイルランドで放送になった。



 

それにしてもボシー早い。この曲なんか特に。アイリッシュ・ミュージックを早くしたのはボシーだ。ボシー以降、アイリッシュ・ミュージックは「早いのがかっこいい」とされてきた。

私が大好きなアイルランドのレジェンド系グループといったら、まずはプランクシティ(クリスティ・ムーアのヴォーカルは苦手だけど)、そしてクラナド。ボシーはその次かな。

なんかどうしても田舎のお友達バンドというのはあると思うんだよね。ドニゴールの。とにかく世界の果てドニゴールの。

その点、プランクシティには都会的なインテリジェンスがあるし、クラナドにも都会的な(いや同じドニゴールなんですけど)ジャズっぽい雰囲気もあった。

でもいつだったか、今、ポール・ブレイディのマネージャーで、そここそデ・ダナンから、プランクシティから、ボシーまで一緒に仕事をしていたジョン・マニスに自分がエンジニアしたバンドで一番すごいのは?と聞いたら、彼はそれは絶対にボシーだと言ってた。

最盛期のボシーは本当にすごかったらしい。今もまぁすごいよね。

そもそもうちの看板バンドであるルナサが出てきた時も、ルナサはボシーの再来とチヤホヤされたもんだ。ボシーがあのままバンドを続け進化していたらルナサになっていただろう、と。ボシーの進化系、それがルナサと言われていた時期もある。

まぁ、私に言わせればルナサの方が圧倒的に洗練されててかっこいいのだが、とにかくボシーがなければルナサも間違いなくなかったわけで、ボシーはすごいんですよ。それは認めないわけにはいかない。本当にすごいバンドだ。

こちらは70年代ノボシーの映像。トリーナの歌の後に始まるこのリールは、ルナサの十八番でもある。(3分12秒すぎたあたりから)

 

ルナサの同曲はこちらの映像で。You Tubeでこんなクリップ発見。確かにこちらいっとき、NHKの地上波の深夜によくながれていたっけなぁ。経緯はわからないけど、誰かが気に入ってかけてたんだろう。(誰も許可してないのだが、レコ協に入っていなくても、こういうのは許可しないとダメなんだろうか。せめてクレジット入れて欲しかったよなぁ)

 

こうして並べて聞くと違いがよくわからるでしょう。

なにはともあれ、そのボシーがドキュメンタリーのために再結成となった。そもそもミホール(すでに故人)抜きのボシーってどうなのよ、と思わなくもないが、まぁ、とにかく再結成。テレビのドキュメンタリー付き。最近はこういうパターン流行っているよなぁ。すごいお金が動いているのかもしれない、と勘繰る。

といえ、ほんと衰えてないのがドーナルのブズーキで、このブズーキが全てを牽引しているのはもう明らか。ドーナルのブズーキはやっぱりすごい。

マット・モロイ師匠はもちろん、クールでかっこいい(見た目も)パディ・キーナン。そしてフィドルのケヴィン・バーク御大。

特にルナサのファンはケヴィン・バークを避けては通れない。ルナサのお師匠と言ってもいいくらいの存在だ。フィドル界のMr.Slowhand。師匠に「バタフライ」なんてやられた日には、もう卒倒。そしてこれまたパディ・グラッキンというすごいフィドル。いやー すごいメンバーだ。

トリーナの歌もいいし、妹のマレードがコーラスで参加するのもいい。ミホールの歌がないのもちょっと寂しいんだけど、サポートで入ったギタリストのショーン・グラハムが、例えばジョン・ドイルあたりだったなら、歌も歌えて良いバランスだったんだろうけど… って言ったら、この重積に潰されることなく頑張ったショーンくんに失礼か。

最後にはポール・ブレイディが観客として登場し、彼の観客としての興奮ぶりが手に取るようにわかる。ポールはこういうところ、ほんとに正直で素直でピュアな人なのだ。

そして、そのポールが自分の視線の先に座っていたのでめっちゃ緊張したと話すギタリストのショーンの姿も可愛かった。謙虚でいい子だね。

というわけで、ぜひご覧ください。当分ここで見られると思うけど、いつ取り下げらえちゃうかわからないからね。早めに、ぜひ。

日本からも見られます。言葉が主にゲール語なので、字幕を英語字幕にしてみると英語だったとしても聞き取りやすいし、便利ですよ。

というわけで、番組の視聴はこちらから。