小野亮祐+安田寛『バイエルの刊行台帳』を読みました

 


『バイエルの謎』の続き。こちらもなかなか面白かった。ただ追跡のドキュメント的には『謎』の方が面白かったかなぁ。この本ではインターネットの時代になって調査方法もだいぶ違ってきた。

とはいえ、前作の内容を基本的に継承しているので、続けて読むことにストレスはない。もちろんこちらの方が後に出たので、具体的な「調査」自体は前作よりも進んでいる。

ビジネス的な視点から見たバイエルの立場。神様も、大金持ちもいなくなった世の中で、音楽家としてどうやって身をたてていくか。宮廷も教会もない世界で、出版社という存在。これはのちのレコード会社的存在なのかもしれない。

音楽をビジネスに利益を得る人々。お金儲けが基本にある資本主義の世の中よ…みんなセコイなぁ、というか、やるなぁ、というか。

当時は楽譜の印税はパーセンテージではなく買取だったらしい。儲けたのは作曲者ではなく、出版社の方だ。サロンで演奏されるような安直な曲の楽譜の方が、シューベルトの傑作よりもビジネス的価値は高かった。これは今も変わらない。聴衆とは、音楽ビジネスとは…と本当に考えさせられる。

でもアメリカに渡ったり、そこからさらに日本に渡ったり… バイエルのパワーはすごかった。が、それらもすべてタイミングの賜物だと言えなくもない。

それにしてもここで気になるのは、本当は一番この教本が伝えたかった「静かな手」。本書にも何度も出てくる。

ご存知のとおり私はまさに40年ぶりにピアノを弾き始めたので、指遣いがひどい状態だ。ちゃんと指遣いから習うべきか。もう一回『子供のバイエル』をやらないといけないのか。通販で買うこともできるけれど、とりあえず楽譜屋にまた行くか…などと思ったりしている。

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