これ、すごくいい作品でした。リトル・リチャードの素晴らしさが描かれているのももちろんだけど、リサ・コルテスという黒人女性監督さんが制作・監督。女性だから、その視点が素晴らしいのかなぁというと逆に問題発言かもしれないけど、いやはや、実際すごく良くできた作品だった。
リトル・リチャードがすごいのは良くわかったのはもちろん、彼の悲しみや苦しみも代弁しているようで、特に88年のグラミーのシーンでは涙が出た。っていうか、あのみんなに笑われるシーン。私もあの頃、笑ってた一人だったよ。めちゃくちゃ反省。
この映画を見る前の私のリトル・リチャードの知識といえば、ビートルズと一緒に撮った写真が有名なのと、あとたまに洋楽番組に出てくると「おねえ言葉」(死語?!)の字幕が入っていたこと。曲で知っていたのは、しかしながらビートルズのLong Tall Sallyくらいか。
父親に拒絶され大人数の兄弟と一緒に育ったリトル・リチャード。生涯通じて、音楽と宗教が彼の重要な要素であった。最高の才能に恵まれつつも、宗教的には葛藤をかかえ、アンビバレントな状態が彼のあの物凄い表現につながったのかなとも思う。
映画の中でも盛り上がった88年のグラミーのシーンは、当時見た記憶があるが、どうなんだろう。しかし私も所詮MTVで洋楽を聞いていたような柔い洋楽ファン。だから私が聞いていた音楽は真っ白で、黒人音楽のことを全然わかっていないという自覚はある。
第一、この頃日本に伝わってきている洋楽といえば、まったくもって不公平ではあった。その後数年たって、レコード会社に勤め、いわゆるレコ社の宣伝というシステムをある程度理解した私も、子供のころはそうやって与えられる音楽だけを喜んで聞いていたわけだ。周りにそんなことを教えてくれる大人もいなかった。
そもそもソウル・ミュージックといえば、コミットメンツがカバーしてる曲しかしらないくらい私は、超おバカなのであった。
先日湯川先生に会う前にと思って慌ててみた『エルビス』もめっちゃくやかっこよかったけど、なんだろう、黒人のこういう音楽って、もう身体や本能に訴えてくるものがある。あ、エルヴィスも白人だった。でもあれって、あきらかに黒人音楽だよね。
リトル・リチャード、イメージ的にはリベラーチェに近いものもあるよね。ピアノを弾き、人々を楽しませるエンタティナー。二人は同時期に活動していたと思うのだけど、実際、どんな感じだったんだろう。
リトル・リチャードに影響を与えた一人として、紹介されたシスター・ロゼッタ・サープ(あっ、違った、この映画ではロゼータね。字幕監修はバラカンさん)はこちらの映像を何度もYou Tubeで見た。かっこいいよ!! なんかもう人間の本能に訴えかけてくるかっこよさがある。
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