#ピーター・バラカン さん推しの名著: #辻信一 『ナマケモノ教授のムダの哲学』を読みました


ピーターさんがラジオに出演し、DJの方におすすめの本を聞かれて、こちらを激推ししてらしたので購入。なるほどピーターさんの生き方にもつながら良書でした。

著者の辻信一さん。この手の本をたくさん出しておられる。サイトも充実。たくさんの大切なメッセージを発信されているので、ぜひ一度覗いてみてください。

「ムダ」というのは、特定のある価値観からの「ひとつの価値判断」にすぎない、と先生は解く。無駄と判断されたモノやコトの中に、その視点をすりぬける、すごい価値観があるだんだよ、ということだ。

確かに既成の価値観をすり抜けたところにピーターさんがいう「ラジオの魔法」そして「Live Magic!」もあるんだよね。なんか通じるよなぁ。ピーターさんが共感したのも納得。

コロナ禍が始まってまもないころ「無駄を愛でよ」と言ったのは坂本龍一さんだったけど、いや、音楽とか芸術ってそういうことろに存在しているもんなのかもなぁ、としみじみ。

ほんと効率だけじゃないところに「グローバル化のしっぺがえし」(こちらも坂本さんの言葉)があるんだよ、と。

あと「わからない」ということ、そういう宙ぶらりんに耐える力も必要だ、と著者の先生は言う。確かに。私たちは常に時間がなく、短絡的に近道やシンプルな回答を求めがちだけど、そうではないのだよ、と。切れ味のいいネット上の言論に惑わされてはいけない。

ピーターさんも読んでて「この部分響いただろうな」という話があった。とある貧しい農作業を団体で行うとある村に脱穀機が導入されて、「歌がなくなってしまう!」と悲しい結論が出たエピソードだ。確かに伝統音楽なんて「ムダ」の極地かもしれない。

でもたとえばこういう作業、音楽がなかったら辛いよね…

まぁ、音楽を演奏する人はサボっているとも言えるのだが…(笑)

そういう意味では、一人オフィスで、いつも効率化合理化を重視している私が生かされているのも、こういった「ムダ」のおかげなのであった。なんか矛盾しているが、これまた開眼(笑)

それにしても自由時間ってなんだろう。本を読んだといえば、感想をブログに書かなくちゃ、記録しておかなくちゃ、じゃないとすぐ忘れちゃう…なんて言っている私なんぞは、まだまだ修行が足りない?

朝起きて、さて今日はなんの本を読もうとじっくり時間をかけて思案し、たまに訪ねてくる友達にその本の内容を話す、それだけでいいじゃないか…と思ったり。あぁ、そういう生活してみたいよなぁ。憧れるんだがなぁ。

自由とは誰にも何も急がされず、自分のペースでやりたいことをやる時間なのだ。その多くを奪われて私たちは本当に「不自由時間」の中でばかり生きている。牢獄にいる人は檻に閉じ込められて自由がないが、反対に時間はいくらでもあったりもする。この矛盾よ!

あぁ、なんか考えちゃうよな、ほんと! でもそういう「自由」が私たちには必要なのであった。

そして著者はどんな人でも各自の世界を持ち、「あなた」として立てられる存在なのだ、と。誰もがそのままでよく、頼り頼られながらそこにいる。ともに生きている、と。

そして「愛」とは時間をムダにすることだとも言う。確かに。時間はいつだって自分のもの。その時間を何かに費やすんだものね。それは「愛」だよね。

そういや、子供。たとえば子供の話が、是枝監督の名作『そして父になる』でもあったよね。そこでも言ってた「子供は時間だ」って。リリー・フランキー演じる電気屋のパパがいう。「時間だよ、子供は! じ・か・ん!」。なるほど、確かにそうかもしれない。

よく愛ってなんだろう、って思うことがあるけど、たとえば長く連れ添った夫婦のように、長く仕事をしているバンドのように(笑)、時間って、生きている上では一番大事なもので、それがすべてのような気がしてきているのだ。

となるとやっぱり「時間」=「愛」であり、「愛」=「ムダ」なのであった。

時間をムダにするということは、効率性、生産性、合目的性などの要請から自由になること。自由に自分の時間を生き、自分の人生を生きること。

そして愛とは、それが何の役にたち、何の得になるかにはかかわらず、惜しげもなく相手のために時間を使うこと。愛はスローで、時間がかかる。だからときどき面倒くさい。でもだからこそ愛。

なんかいいよね。

というわけで、ピーターさんのファンの方には、特におすすめです。

昨日見つけたこの記事。これもまた「愛」だよね。ちょっと不便が幸せを生み出す、とな。


こちらの本は、このリンクから購入できます(AMAZONへのリンク。貧乏ブロガーに愛の手を)

ピーターさんは今年来日50周年。キュレーションをつとめる映画祭が9月に、Live Magic!が10月にあります。それぞれの詳細は公式サイトを参考にしてください。

Peter Barakan's Music Film Festival
Live Magic!




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