映画『チャイコフスキーの妻』を見ました。なるほど〜


映画『チャイコフスキーの妻』。トレイラーを見て、えらく期待していた。世紀の天才の、悪妻アントニーナを描いた映画だということで、超期待してみた。しかも私の大好きなサイコ・スリラータイプ。期待はMAX。普通週末は出歩きたくない私であるが、ちょうど用事もあったし、ついでに公開2日目にして見に行ってきた。

で、結果。うーーーーーん、ちょっと脚本が弱いかなぁ…。やっぱり私は映画のキモは脚本だと思うんだよね。あと全体の構成というか。

でも、すごい圧巻の映像美ではあった。なんだろう、あの色味。色が妙にグレイで妙に青い。脚本に重きを置くよりも、映像を重要視した感じ。そんな制作の方針は理解できなくもない。俳優の演技も鬼気迫るものがあり圧倒される。

そういうわけで、この映画は、世紀の悪妻呼ばわりされた彼女の狂気を美しく描くことには成功しているよね。

そうそう、画面を見ていて、この絵画を思い出した。デンマークのハンマースホイ。



こういう感じ。日がさしているのに暗いような、動いているのに止まっているような、そして人の狂気が感じられるような、始終そういう空気が充満している。

それにしてもこの時代の女の人は大変だなぁというのも思った。その辺はこの監督が十分に表現したかったところでもあろう。セリフも実際に彼女の手紙や日記などに残った発言から起こしているらしい。そういう説得力は確かにある。が、それがわかりにくかったのか???

私は、どうもそのセリフの深みには到達できなかったかも。当時のロシアの環境がいまいち理解できていないというのもある。ちょっと上滑りだけして情報のみ与えられた的な?

彼女はチャイコフスキーにズブズブにのめり込むわけだけど、その理由もいまいちよくわからない。そんなにいい男なのか、チャイコフスキー?!

私の個人的感想だけれど、私は脚本が綿密にかかれた、もっとポップな作品の方が好きだなぁ。特にサイコスリラーであれば。『羊たちの沈黙』とか、そういう真面目なんだけどポップなやつ。

あぁいうふうに見ていて、ある程度楽しいのが、やっぱり良い映画なんだと思う。

だからそういう嗜好の私には、ちょっと期待はずれ。でも絶対にこういう作品が大好きだという人には、めちゃくちゃハマるのではないか。という私も、もう一回くらい見たら「うーん、すごい」とか思うのかも。「深い」とか思うのかも。とにかく映画を見ていて深いところまで行けなかったのは事実。

とはいえ、最初の葬式シーンの群衆の中で、画面上部から捉えた彼女の青白い顔(宣伝用スティルにもなっている)や、いきなり死んだと思っていたチャイコフスキーが起き上がったシーンなどは面白いとは思った。あと全体的に静かなトーンで、その点は期待通り。

あ、あと、長回し。一つのシーンをワンカメで脅威の長回し!! すごいな。それに気づいたら、もうそれが気になって、気になって。だって、ほんとに信じられないくらい長回ししてんだもん。とあるシーンのここにこれがあったかなと思ったら、次にカメラが同じ場所に戻ってきたら違う設定になっている…とか。

このスタイルがこの監督の看板でもあるらしい。これはすごいよね。


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