映画の神様がついているとしか思えないムヴィオラさん配給の名作がまたもや到着。『GONDRA』 いやー、 良かった。ものすごく良かった。
セリフがほとんどない映画なんですが、いやー、浸った。
保守的な田舎町で働く二人の女性の友情。ゴンドラって、上りと下りの二つがすれ違うじゃないですか? それぞれの窓からお互いを思い、育まれた友情。田舎の村の上を進みながら、ふたりが培った創造力。すごい。
終わった後、一緒に見ていた友人たちと感想戦。「あのサンドイッチが愛だった」とか、とにかく細部が良いんだわ。サンドイッチ見て、見て。ほんとうに素敵だから。
最後に嫌なやつがギャフンと言う爽快なシーンも準備され、ゴンドラは揺れて揺れて、どこまでも続いていくのであった。あぁ、良かった(まだ言っている・笑)。
このゴンドラ実在のゴンドラで、いただいたプレス資料には、ジョージア映画祭主宰のはらだたけひでさんが提供した本物の写真が写っていた。すごい!(はらださんもすごい。ジョージアのことならなんでも知っているのか?!)
監督はドイツ人のファイト・ヘルマー。前の作品もセリフがなかったのだそうだ。一方で、撮影は前のムヴィオラさん配給のジョージア映画『金の糸』(こちらも超名作です!)の撮影監督さんなんだよね。そこからの紹介だったのかな。とにかく素晴らしい。
音楽もすごくよくって、印象的な女性シンガーの声はアイスランドのソーレイ・ステファンスドッテル。この人だと思うんだけど、違ってたら、ごめん。アイスランド人、同じ名前の人、多いからさ。
そしてこのゴンドラ。女性二人の乗務員はもちろん、このゴンドラも映画の主役とも言えるんだけど、これ、ほんとコーカサスの小さい村にある本物のゴンドラで、ジョージアで最も長い距離を繋ぐゴンドラとして有名なんだって。
でも数年前に車体は変わっちゃったので、この当時の映像はとっても貴重。
そしてゴンドラから見える景色も圧巻! 全体的に流れるレトロな空気と、画面の色味がたまらない。ちょっとカウリスマキを彷彿される。っていうか、カウリスマキ・ファンは、もう細部に反応しちゃうんじゃないかな。
あれ、わんこは出てきたっけか。記憶なし。でもちょっとした子供たちの表情や、女の子が来ているドレスの柄に。狭い部屋の壁紙や、空に煌めく花火に。カウリスマキ・ファンなら、絶対にときめくことでしょう。
あぁ、いいなぁ。ジョージアの、本当に限られたシーンの中の撮影なんだけど、こんなに旅心誘われる映画はない。ゴンドラから見える圧巻の景色は、すごいけど、パンデミック中に作られたそうで、シーンは限定的だ。
ほとんどが、ゴンドラと、彼女たちのそれぞれの部屋(狭くてベットが置いてあって、それだけで床が見えなかったりする)、あとは乗務員のロッカー・ルームなどのシーンだけなんだけど、それなのになぜか想像力が広がるんだよね。
あぁ、あと車椅子の老人のシーンもよかったなぁ!! あんまり書くとネタバレになるので、このくらいにしておくけど、本当に良かった。
っていうか、これ、マジで当たる気がするよ。セリフがないのが、余計なこと言われないで、とにかく画面に浸れるのよね。そこが良かった。
よく私はこのブログに映画評を書いて「映画は脚本」「一番大事なのは本」とか言いまくってきたけれど、ちょっとこの映画にはやられた。言葉なくてもいいわ、映画。
というか、マジでヒットの予感がする。みなさんもぜひ。11月1日より、都内は新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺。こちらが公式サイト。
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